Saturday, February 07, 2026

「キネマ旬報」2月号増刊(2)

【2月7日 記】 さて、今年もまたキネマ旬報ベストテンのインチキ得票分析をしてみます。

この分析は統計学的に正しいものではないのかもしれませんが、でも、あくまで1位から 10位ぐらいまでのところでやっている限りはそれほど的外れなものではないと思いますし、実際出てきた結果が面白いので、性懲りもなく続けています。

キネマ旬報ベストテンは、審査員がそれぞれ合計 55点を持って、1位には 10点、2位には9点、…、10位には1点と入れて行き、その合計得点で順位が決められています。今回 2025年第99回の審査員は「本誌編集部」を含めて 64名で、前回より4名増でした。

で、毎回僕が何をやっているかと言うと、それぞれの映画の得点を、「総得点=点を入れた審査員の人数×平均得点」という形に分解してみるのです。

例えば同じ 150点獲得の映画でも、一方は

(a)合計15点=30人×平均5.00点

他方は

(b)合計150点=20人×平均7.50点

だったとすると、(a) は多くの人に広く受けた映画、(b) は特定の人の心に深く刺さった映画と言えるのではないか、ということです。

さて、2025年の結果はこうなりました:

  1. 旅と日々
    220点=33人×6.67点
  2. 国宝
    215点=31人×6.94点

  3. 210点=30人×7.00点
  4. ふつうの子供
    153点=24人×6.38点
  5. 宝島
    140点=22人×6.36点
  6. 愚か者の身分
    98点=16人×6.13点
  7. 「桐島です」
    94点=17人×5.53点
  8. 海辺へ行く道
    86点=15人×5.73点
  9. 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
    83点=15人×5.53点
  10. 見はらし世代
    82点=14人×5.86点

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Thursday, February 05, 2026

「キネマ旬報」2月号増刊(1)

【2月5日 記】『キネマ旬報』ベストテンが発表され、同誌の2月増刊号も手許に届いたので、例年通り、自分が昨年選んだ「『キネマ旬報』ベストテンの 20 位以内に入ってほしい邦画 10 本」とつきあわせてみたいと思います。

いやぁ、今年の選考結果はなんか嬉しかったなあ。てっきり『国宝』が作品賞に選ばれると思っていたのですが、監督賞は『国宝』の李相日、脚本賞も『国宝』の奥寺佐渡子、主演男優賞も『国宝』の吉沢亮 、でも作品賞は『国宝』ではなく『旅と日々』。

── 如何にもキネ旬らしくて、これぞキネ旬と快哉を叫びたくなりました。

そして、助演女優賞に伊東蒼が選ばれたのもめちゃくちゃ嬉しかったです。『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』での彼女は驚異的に素晴らしかったですもん。

僕は助演女優賞には『秒速5センチメートル』の森七菜を推していましたけど、確かに伊東蒼というのもアリですよね。

で、本題に戻って、僕が選んだ「『キネマ旬報』ベストテンの 20位以内に入ってほしい邦画 10本」とのつきあわせですが、まずはその 10本を並べると、

  • 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
  • か「」く「」し「」ご「」と「
  • フロントライン
  • この夏の星を見る
  • 夏の砂の上
  • 遠い山なみの光
  • 秒速5センチメートル
  • ストロベリームーン 余命半年の恋
  • 君の顔では泣けない

これは毎年書いているように、他の映画賞ではなく「キネ旬の」、10位以内ではなく「20位以内に」、「入るだろう」ではなく「入ってほしい」 10本であり、上記は僕が観た順番で評価の高い順ではありません。

で、この中でベストテンに選ばれたのは『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』だけという悲惨な結果でした。

そして、20位まで拡張しても他には『遠い山なみの光』しか見当たらず、今回の成果はわずか2本という、毎年やっているこの企画にあっては歴史的な少なさとなりました。

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Thursday, January 08, 2026

回顧:2025年鑑賞邦画(変更)

【1月7日 記】  昨日、行定勲監督の『楓』を観てとても良かったので、何が何でもこれを恒例の

『キネマ旬報ベストテン』の 20位以内に入ってほしい邦画 10本

に選んでおきたくなった。

一応自分で勝手に設定しているルールは、「年内に観た初公開の映画」ということなので、今年になってから観たこの映画を去年の選考対象に含めるわけには行かない。

ちなみに、このルールは「今年初公開された映画」ではないので、つまり「前年に劇場公開され、年が明けてから観た映画」でも良いわけだから、そんなに気に入ったのであれば 2026年度の 10本のうちのひとつに選べば良いだけのことである。

しかし、前年に公開され、前年のキネ旬の投票結果もすでに出ているわけだから、この映画を選んでももうキネ旬ベストテンの 20位以内に入る可能性はゼロ、つまり選ぶ意味が全くないのである。

であれば、どうせ自分で勝手に設けているルールでしかないわけだし、まだキネ旬の結果も発表される前だから、ここはちょっとインチキして、この『楓』を選び直しておこうと思う。

となると、すでに選んだ 10本からどれを外すかということになるが、そもそも『楓』で一番印象的だったのは髙橋泉の脚本だったわけだから、そうだ、同じ髙橋泉脚本の『大きな玉ねぎの下で』を外そうと思ったのだが、よく考えてみたらこれは 10本を選ぶ際に迷った末に外した作品だった。

そうなると、やっぱりこれは主に新進/若手の監督を応援する意味を込めて選んでいるので、確固たる実績のある石川慶監督に白羽の矢を立てて『遠い山なみの光』を外そうかと思ったが、これは僕の昨年一推しの映画なのでやっぱり外しきれず、随分悩んだ挙げ句、同じ「死」をテーマにした『君の忘れ方』を外すことにした。

作道雄監督は知人の息子さんであるが、こればっかりは仕方がない。

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Friday, January 02, 2026

NHK『火星の女王』

【1月2日 記】 12月に放送された NHKの放送100年特集ドラマ『火星の女王』全3話(各90分)を録画しておいて年末年始に観た。

僕は SF には全く詳しくないが、原作者の小川哲という作家はこの世界では名の通った人らしい。

2125年、人類の火星移住から 40年が経過した火星と地球を舞台に、地球帰還計画を進める ISDA(イズダ/惑星間宇宙開発機構)と、ISDA と対立する「コロニー」の住民たちが描かれる。

一方で、22年前にカワナベ博士(吉岡秀隆)が発見した謎の黒い球形の物体の話がある。

その物体は記者発表直前に共同研究者の白石博士(松尾スズキ)とともに消えてしまったが、カワナベは必ずまだ他所にもあると信じて、今は火星で探索を続け、ついに同じ物体を発見する。その物体を巡る争いがメインのストーリーとなる。

それに加えて、火星から地球に移住しようとしてる盲目のリリ(スン・リン)やその母である ISDA地球支局長のタキマ・スズキ(宮沢りえ)、その部下であり、白石博士の息子であり、リリの恋人でもあるアオト(菅田将暉)らが絡み、多国籍多言語の多くの人物/出演者が登場する。

確かに壮大な SF なのだけれど、こうやってドラマで観ると随所に綻びがあるのはやっぱり原作の責任なのか、それともドラマ化する中で無理が出たのか、その辺のところは僕には分からない。

いずれにせよ、謎の物体の正体が今イチぼやけたままである(そこが余韻なのかもしれないけれど)ということだけでなく、設定の甘さと進行の杜撰さがポロポロ顔を出し、ツッコミどころは結構たくさんあった。

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Wednesday, December 31, 2025

#シン・2025年映画ベスト

【12月31日 記】  X の引用リポストで、ある人が「#シン・2025年映画ベスト」というのに投票しているのを見て、僕もやってみた。

一体この賞がどういう賞なのかまるで知らない(果たして「賞」なのかどうかも分からない)し、これを主宰しているらしい「空翔ぶギロチン」という人が一体何者なのかも一切知らないのだが、「本日〜1/4(日)24:00までが投票期間です」と書いてあったのに釣られて発作的に(笑)投票してしまった。

見た感じ、あまり公的な、オーソライズされた賞なんかではない感じだが、どこかに「今年も」という文言を見たので、少なくとも去年もやっていたのだろう。

ルールはシンプルで今年の映画を 10本選ぶだけ。順位をつけなくても良いらしいし、10本未満でも構わないらしい。

そして、男優、女優、監督をひとりずつ選ぶのだが、こちらも別に選ばなくても良いとのこと。

そのシンプルさと堅苦しくなさに惹かれたとも言える。

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Sunday, December 28, 2025

掘り出しモノ賞

【12月28日 記】 さあ、今年は忘れずに年内に今年の映画の掘り出しモノ賞を選んでおこう。

元々 twitterベースの映画賞であった coco賞の投票部門のひとつに自分が勝手に作った賞に投票できるという企画があって、僕は「掘り出しモノ賞」という名前で欠かさず投票していた。今ではこの賞もサイトもなくなってしまったが、それでも僕が毎年勝手に選び続けているのがこれである。

で、当然のことながら、「あまり知られていない監督の、あまり評判にもなっていなかった作品だけれど、観てみたら大変良かった」という作品を選んでいる。

そうなると今年は『君の忘れ方』、『この夏の星を見る』、『夏の砂の上』、『君の顔では泣けない』辺りかなと思うのだが、このうちの3作は昨日書いた記事で「『キネマ旬報ベストテン』の 20位以内に入ってほしい邦画 10本」に選んでしまったので、今年はそこから唯一漏れてしまった草野翔吾監督の『大きな玉ねぎの下で』を選んでおきたい。

高橋泉という実績のある名脚本家に支えられた部分は大きいものの、引き画を中心としたカメラワークも美しく、神尾楓珠と桜田ひよりの魅力全開の、うるうるする映画になっていた。

ちなみに、僕がこれまでに選んできた作品のリストは下記の通りである:

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Saturday, December 27, 2025

回顧:2025年鑑賞邦画

【12月27日 記】 今年はもう1本、行定勲監督の『楓』を観て映画の見納めとしようと思ったのだが、ちょっと年内は無理そうなので、現時点で恒例の

『キネマ旬報ベストテン』の 20位以内に入ってほしい邦画 10本

を選んでみた。今回で 20回目になる。

毎年同じことを書いているが、これは僕が選ぶ今年のベストテンはない。

かと言って、『キネマ旬報ベストテン』や他の映画賞の予想でもなく、あくまで僕が応援する 10本である。

そして、タイトルに「『キネマ旬報ベストテン』の 20位以内に入ってほしい」と謳っているように、これは他の映画賞ではなく、あくまで僕が信頼するキネ旬の選考基準を意識したものであり、かつ、10位以内ではなく「20位以内に」、「入るであろう」ではなく「入ってほしい」 10本である。

だから、間違いなくキネ旬ベストテンに選ばれるであろう作品は外している。今年で言えば『国宝』がそれだ(間違いなく第1位だろう)。僕が「入ってほしい」と思う作品ではないが、決して評価していないわけではない。

さて、今年は映画館で 61本の邦画を観た。2018年の 68本に次ぐ多さだ。しかし、そのうち森田芳光監督のにっかつロマンポルノ2本は 1980 年代の作品なので、今年はそれらを除いた 59 本の中から選ぶことになった。ちなみにこれは昨年と同数である。

まずは例年通り、本数を考えずに年初から観た順番に選んで行くと以下の 20 作になってしまった。

なんと、これを半分にしなければならない。

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Wednesday, December 24, 2025

映画『星と月は天の穴』

【12月24日 記】 映画『星と月は天の穴』を観てきた。

モノクロ作品である。

ただし、スモーク・サーモンのピンクとか、信号機の赤とか、16歳の娼婦(MINAMO)の口紅とか、瀬川紀子(咲耶)の盲腸の手術跡とか、B子(岬あかり)の口紅とか、ポストにハガキを出しに来た少年が切手を貼るために舐めたときの舌とか、ところどころで部分的に赤い色がつく。

そして、終盤の矢添克二(綾野剛)と紀子の連れ込み旅館での濡れ場では、全体にうっすらと色がつく。

舞台設定は 1969年である。

ほぼ全員が昭和初期から中期の日本映画の俳優たちのような喋り方をする。特に綾野剛は感情をほとんど見せないような喋り方をする。そして、カメラを固定した長回しが非常に多い。映画は淡々と進んで行く。

綾野剛は、ことこの映画に関しては「書かれてあるセリフに感情や表情の豊かさが含まれているので(中略)、”セリフにある情報を補填する芝居”を一切なくすことを心がけていました」と言っている。大変面白い。

これは、小説家の矢添の女遍歴と言うか、男と女の情念と言うか、そういうことを描いた映画である。

今の時代、下手すると「女を物としてしか見ていない男」と指弾されかねない内容でもあったが、まあ、そこには 1960年代という時代性も加味して考えなければならないし、矢添は必ずしもそんな風に一辺倒な描き方はされていない。

まだ 43歳なのに総入れ歯で、それに対するコンプレックスを隠しているという設定が、ある意味マスキュリニズムを嘲笑っている感がある。ひたすら強引で身勝手な男のように見えながら、実はどの女とも究極のところまで行き着けないのは、自身の結婚生活が1年で破綻して、妻が男と逃げてしまった経験がトラウマになっているからだという設定もある。

それらを考え合わせると、少し切ない。

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Sunday, December 21, 2025

高田夏帆と松島くるみ

【12月21日 記】 10月期のテレビドラマで2人の気になる女優を見つけた。それはフジテレビ『小さい頃は、神様がいて』に出ていた高田夏帆と松島くるみだ。

今期は TBS『ザ・ロイヤルファミリー』のような、超豪華キャスティングによる重厚な作りの感動巨編もあったが、岡田惠和脚本・酒井麻衣演出のコンビによる、やや地味めのキャストながら、小さな笑いを誘いつつしっとりと進んで行くこのドラマも大変素晴らしかった。

主演は北村有起哉と仲間由紀恵が演ずる小倉渉・あん夫妻。

そこに同じ建物(TASOGARE STATES)に住む永島夫妻役で草刈正雄と阿川佐和子、渉が勤める食品会社「旨味堂」会長役の角野卓造らのベテラン俳優たちを配し(ま、阿川佐和子は俳優としてはベテランとは言えないし、巧くもないけれど、それなりに味のある演技をしていた)、加えて同じく TASOGARE STATES に住む若い同性カップルに、最近ともに出番が増えている小野花梨と石井杏奈を置き、小倉夫妻の子どもたちには小瀧望と近藤華という新進の俳優を充てているのだが、今回僕が注目したのはそのいずれでもない。

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Friday, November 28, 2025

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』

【11月22日 記】 僕は普段は吉永小百合の映画は観ないのだが、ムビチケを2枚もらったので、妻と2人で映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』を観てきた。監督は大御所・阪本順治。

吉永小百合が、登山家の田部井淳子をモデルにした多部純子を演じている。

田部井淳子が女性で初めてエベレスト登頂に成功したのは彼女が 35歳か 36歳のときだ。さすがにその頃の純子はのんが演じているが、中年以降は吉永小百合だ。

今年 80歳になった吉永小百合が、実年齢よりかなり若い役を、しかも主演で演じることに対して、僕は軽い嫌悪感を覚える。どんなスターであっても、年齢を重ねた後には引くべきだと思うのである。映画に出演するなとは言わない。脇役の上品なお婆さんを演じていれば良いと思うのである。

サユリストだか何だか知らないが、いつまでも吉永小百合を担いで、彼女の主演映画を撮っている人たちにも反発を覚える。

今回の映画では、彼女より 16歳も年下の佐藤浩市が夫役を務めているのも何だかとても気持ちが悪い。同年代で彼女の相手役を務める男性スターはもういないのである。

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