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Thursday, May 28, 2026

『俺の恋バナを聞いてくれ』新川帆立(書評)

【5月27日 記】 前に読んだ『女の国会』が面白かったからまた読んでみる気になったのだが、新川帆立がどういう出自の作家なのかは把握していなかった。多分『女の国会』の巻末には略歴が記してあっただろうから、それを読んだはずなのだが、記憶に残っていなかった。

今回この本を読み終えて改めて巻末の略歴を読み、ウィキを引いてみたら、東大卒の元弁護士で、デビュー作の小説で第19回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞したと言う。そして、『女の国会』は山本周五郎賞の受賞作である。なんと幅広い。

この本は6作からなる短編集だが、その第5話「ハングレ」が、もちろん表題である統一テーマに沿った恋愛の話ではあるが、結構本格的なミステリ仕立てになっていて僕は驚いたのだが、なるほど、元々そういう作家だったのかと納得した(確かに『女の国会』にも謎解きはあった。僕はそこにはあまり着目していなかったが)。

おまけに、さらに調べてみると、新川は司法修習中に最高位戦日本プロ麻雀協会プロテストに首席で合格し、1年間だけプロ雀士として活動したと言うから、これまたびっくりである。麻雀小説も書いているようだから、それも読みたくなってきた。

話をこの本に戻すと、これは6人の男性の恋バナを綴った本である。それぞれの主人公は 19歳から 49歳まで。職業はコンサル、無職、院生、医師、大学生、漫画家とバラエティに富んでいるが、いずれも「ちょっと、それ、どうよ」と思わせるところのある人物である。

ただ、新川は彼らを、女性の側からの一方的な、糾弾するような視点では描いていない(と僕は感じた)。あくまで無限に考えられる「恋」のパタンの中からいくつかを提示しているだけだと思う。恋はどんなろくでもない男女でも、どんなどうしようもない状況でも生まれてきて、場合によっては当事者を成長させるのである。

最初の収録作「ハイスペ」では主人公の瓜生尊は29歳の外資系コンサルで、友だちに頼まれて仕方なく合コンに参加したが、全く乗り気でない。

女の見た目は年々衰えていく。俺の年収は年々上がっていく。

みたいなことを考えている、わりと嫌な奴である。合コン当日も、

合コンの店についた途端、今夜はハズレだと思った。
すましきって並んだ四人の女たちは痩せているだけで、よく見るとみんなブスだ。

量産型OLだ。出会いの場に行けば何十人もいる特徴のない女たちである。

などと思っている。その彼が最後には、

クソッと思った。だんだん可愛く見えてくるのが悔しい。

などと言うのである。なーんか、とても良い恋バナではないか。

各話の設定や展開についてはこれ以上は書かないが、男も女も、みんな誰にでも欠点はあって、誰もが考え違いをしていたり、考えが足りなかったり、強引すぎたり投げやりになっていたりするものである ── そういう姿をこの作家は描いている。そして、そういう彼らの恋愛を温かい目で見守っている。

とても後口の良い短編集だと思った。却々人物を描ける作家である。

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