映画『未来』
【5月13日 記】 映画『未来』を観てきた。
湊かなえは僕が全く読む気にならない作家のひとりである。1作だけ読んだが、二度と読もうとは思わない。
そもそもテレビのインタビューで「何をどう書いたら読者が嫌な気分になるかをずっと考えている」みたいなことを言っているのを見たのがよくなかったか。
そういう作家だから、表現が一面的になるのは当たり前である。何しろ人の悪いところばかりを抜き出して、それでストーリーを埋め尽くしているのだから。
だから、例えば、最愛の夫(松坂桃李)を失ってどん底状態にあった文乃(北川景子)が、何故早坂(玉置玲央)のような粗野な男と再婚したのかという辺りに、微塵も説得力が生まれてこない。早坂の魅力や良心を一切描かないのだから、そりゃあ当たり前である。
ただ、そんな作家の原作であっても、映画になったら良かった、みたいなことはままあることである。今回も瀬々敬久監督だということで観に行った。
終わり方はとても良かった。これはさすがに瀬々監督だという感じ。
最後に救いがあれば良いというものではない。そこには重みが必要である。そういう終わり方に、ちゃんとなっていた。
俳優陣はとても頑張っていた(とりわけ野澤しおりが良かった)し、バリエーション豊かなカメラワークも魅力的な映像を生み出していた。
ただ、終盤に「大人章子」についての種明かしがあるのだが、こういう構成の物語にしてしまうと、ほとんど冒頭からバレバレである。
人物造形も筋運びも、びっくりするほど作り物感溢れるものになっていた。
絵に描いたような悪い人ばかりに囲まれて悲惨な目に遭っているヒロインに感情移入できるか、そこにごく少数の良い人が手を差し伸べるのを見て胸がすくか?
僕らはそれほど単純ではない。


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