映画『君が最後に遺した歌』
【3月8日 記】 映画『君が最後に遺した歌』を観てきた。
歌が好きなディスクレシアの女子高生が、自分では文字が書けないので、たまたま詩を書いているのを見つけた同級生に詞を書いてもらい、それに自分で曲をつけて歌ってスターになる話。
なんだかわざとらしい展開だと思うかもしれない。僕もそう思う。そもそも字が読めなければ高校の授業について行けないだろう。どうやって進級してきたの? いや、その前に高校受験に合格しないか…。
でも、僕は監督の三木孝浩のファンなのである。彼が撮る青春恋愛ドラマは、どんな話であってもいつもきめ細かく丁寧に撮って、丁寧に編集してある。
この映画で言えば、たとえば春人(道枝駿佑)が言い淀むシーンで、一瞬コーヒーカップを持つ彼の手のアップをインサートしてあったりするところだ。
せっかく観覧車の近くまで来たのに、最初は春人が断って乗らないところが良かった。そして、ヒロインの綾音(生見愛瑠)が、典型的な可愛くて純真な少女ではなく、最初はちょっとふてくされた感じさえするところもユニークだった。
綾音が最初は無伴奏で歌い、続いて自分のギターで弾き語りをし、そして、ついにバンドを従えて歌うのだが、そのたびに歌の魅力が洗われるように現れる。シンプルなエイトビートに乗って心地良い。
劇中で歌われる4曲はいずれも亀田誠治の作曲によるものだ。
そして、2人が結ばれるところで幕を閉じるのではなく、その何年も後まで描いているところも、この手の映画としては珍しいことだ。
だが、作者は綾音にディスレクシアというハンディキャップを与えただけでは満足せず、更なる試練を彼女に与える。── とても安易な設定。メインの観客たる乙女の紅涙を絞るためなら、病気にして殺してしまっても良いというものではないだろうという気もする。
まあ、でも、隣の席の女子高生(多分)はポッポコーン食いながら涙拭きまくってたから、ま、いっか。
一条岬:原作、三木孝浩:監督、亀田誠治:音楽、道枝駿佑:主演というのは『今夜、世界からこの恋が消えても』のチームらしい。僕はあの映画のほうが出来が良かったと思う。前回の脚本は月川翔と松本花奈、今回は吉田智子という差なんだろうか。
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