回顧:2025年鑑賞邦画
【12月27日 記】 今年はもう1本、行定勲監督の『楓』を観て映画の見納めとしようと思ったのだが、ちょっと年内は無理そうなので、現時点で恒例の
『キネマ旬報ベストテン』の 20位以内に入ってほしい邦画 10本
を選んでみた。今回で 20回目になる。
毎年同じことを書いているが、これは僕が選ぶ今年のベストテンはない。
かと言って、『キネマ旬報ベストテン』や他の映画賞の予想でもなく、あくまで僕が応援する 10本である。
そして、タイトルに「『キネマ旬報ベストテン』の 20位以内に入ってほしい」と謳っているように、これは他の映画賞ではなく、あくまで僕が信頼するキネ旬の選考基準を意識したものであり、かつ、10位以内ではなく「20位以内に」、「入るであろう」ではなく「入ってほしい」 10本である。
だから、間違いなくキネ旬ベストテンに選ばれるであろう作品は外している。今年で言えば『国宝』がそれだ(間違いなく第1位だろう)。僕が「入ってほしい」と思う作品ではないが、決して評価していないわけではない。
さて、今年は映画館で 61本の邦画を観た。2018年の 68本に次ぐ多さだ。しかし、そのうち森田芳光監督のにっかつロマンポルノ2本は 1980 年代の作品なので、今年はそれらを除いた 59 本の中から選ぶことになった。ちなみにこれは昨年と同数である。
まずは例年通り、本数を考えずに年初から観た順番に選んで行くと以下の 20 作になってしまった。
- 君の忘れ方
- 大きな玉ねぎの下で
- ゆきてかへらぬ
- かなさんどー
- 知らないカノジョ
- 早乙女カナコの場合は
- 悪い夏
- 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
- か「」く「」し「」ご「」と「
- 見える子ちゃん
- フロントライン
- でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
- この夏の星を見る
- 夏の砂の上
- 桐島です
- 遠い山なみの光
- 秒速5センチメートル
- ストロベリームーン 余命半年の恋
- 君の顔では泣けない
- 兄を持ち運べるサイズに
なんと、これを半分にしなければならない。
どうすれば良いのだろうとしばし呆然としたのだが、とりあえず『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』と『桐島です』を外すことにした。その理由は、この2本は放っておいてもキネ旬 20位以内に入るんじゃないかなと思ったからだ。
そういう意味では『遠い山なみの光』なんかはもっと高い確率でキネ旬ベストテンに選ばれる映画だと思うのだが、この映画は今年僕がどうしても推したい映画なので外すわけにはいかない。ということで残留決定!
あと8本は、悩みに悩んだ挙げ句『大きな玉ねぎの下で』、『ゆきてかへらぬ』、『かなさんどー』、『知らないカノジョ』、『早乙女カナコの場合は』、『悪い夏』、『見える子ちゃん』、『兄を持ち運べるサイズに』を切り捨てることにした。
まあ、基本的に応援したい作品というコンセプトなので、できるだけ大御所的な監督を外して、新進のディレクターによるものを選んだつもりだが、中には結構実績のある監督の作品も含まれている。
というわけで、今年僕が選んだのはこの 10本である。
- 君の忘れ方
- 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
- か「」く「」し「」ご「」と「
- フロントライン
- この夏の星を見る
- 夏の砂の上
- 遠い山なみの光
- 秒速5センチメートル
- ストロベリームーン 余命半年の恋
- 君の顔では泣けない
これも毎年書いていることだが、以上は僕が観た順に並べたものであり、決して高く評価した順ではない。
それぞれに寸評をつけておくと、
1)は作道雄監督が知人の息子さんということもあったが、死をテーマにしながら人が死ぬところは決してカメラに収めないという撮り方に、彼の何か決然とした死生観を感じた作品だった。
2)は台詞運びが秀逸で、かつ、メインのストーリー展開もさることながら、脇の部分での細部に凝ったリアリズムが見事な、まさに大九明子監督の最高傑作だと思う。
3)は如何にも中川駿監督らしい、まさに中川駿ワールド。突飛すぎる設定と読めてしまう展開から貶す人もいるだろうが、この映画のポイントはそんなところにはないのだ。
4)については、そろそろ誰かがコロナ禍を正面から扱った映画を撮らなければならない頃だと思っていたところに、「映像派」だと思っていた関根光才監督が正面から取り組んでくれた作品。重厚な大作になった。
5)は、ともに劇場長編映画デビューとなった山元環監督と脚本の森野マッシュのコンビに完全脱帽である。若い力が漲る素晴らしい青春映画。ま、僕が桜田ひよりの大ファンだということもあるけど。
6)は玉田真也という、映画監督としてはあまり知られていない人の作品だが、よくこんな話を構築したなあと感心した。しっとりとした、しかし、ずっしりと胸にこたえるシビアな映画だった。
7)は、この映画の記事にも書いたが、僕が審査員だったら今年は『国宝』ではなく、この作品を選ぶ。石川慶監督と、いつものピオトル・ニエミスキ撮影監督とのコンビによる圧倒的な映像芸術。
8)はひょっとしたら、僕が新海誠監督によるオリジナル・アニメより先にこの奥山由之監督の実写版を観てしまったということに影響されているのかもしれないが、愛おしいほどの、心が揺さぶられる作品だった。
9)は、リアルな設定ではないだけに、多分世間は高い評価をしないのだろうけれど、ベテラン脚本家の岡田惠和と若手演出家の酒井麻衣のコンビによるとても素敵な恋愛ファンタジーなのである。
10)は、男女の入れ替わりモノが明らかに食傷気味な中、この2人は元に戻らないという設定が活きている。坂下雄一郎監督。髙橋海人と芳根京子が難しい役どころを見事に演じきった。
さて、このうちの何本が実際にキネマ旬報ベストテンの 20位以内に入ってくれるだろうか。
如何にキネ旬とは言え、今年は結構マイナーな作品を多く選んでしまったので、前途は厳しいだろうなと思う。
今回もまた、2月に入ってキネ旬が選考結果を発表したら総括記事を書いてみたいと思う。
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【1月8日 追記】変更しました。新しい 10本はこれ。


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