国立映画アーカイブ「映画監督 森田芳光 Yoshimitsu Morita Retrospective」
【10月15日 記】 国立映画アーカイブが「映画監督 森田芳光 Yoshimitsu Morita Retrospective」という企画をやっていて、今日はそのうちの『(本)噂のストリッパー』(1982年)と『ピンクカット 太く愛して深く愛して』(1983年)を観てきた。
この2本は森田芳光が『の・ようなもの』、『シブがき隊 ボーイズ&ガールズ』を撮った後、日活から招かれて撮った「にっかつロマンポルノ」である。外部からのゲストがロマンポルノの監督をしたのはこれが初めてではなかったかなと思う。
僕は『の・ようなもの』に衝撃を受けて、その後かなりの数の森田作品を観てきたのだが、この2本はにっかつロマンポルノということもあって見逃していた(その次の作品が『家族ゲーム』だ)。
たまたま僕の同年輩の友人が『ピンクカット』主演の寺島まゆみの大ファンで(なんと彼女が歌手として出した LPレコードまで買ったと言う)、この機会に観てみたいと言うので、僕は名前さえ記憶になかったが、なんであれ、よっしゃ行こうということになった。
で、今観てもあまり面白くないかもしれないと、あまり期待しないで観に行ったのだが、これが結構面白かった。特に2本目の『ピンクカット』は何度も笑い声を上げながら観て、我々2人とも大満足で会場から出てきた。
『噂のストリッパー』は昔のフィルムそのままで、解像度も低いし画面は傷だらけであったのに対して、『ピンクカット』のほうは、何をどう処理したのかは知らないがきれいにリマスターされていて見やすかったということもあるが、前者に対してその翌年に撮った後者の出来栄えの進歩に驚かされた。
やはり森田にとって初めてのポルノ、初めての商業映画、初めてのメジャー作品ということもあって、慣れない部分もあったのだろう。
『噂のストリッパー』のチーフ助監督は那須博之、『ピンクカット』のチーフ助監督は金子修介だったのだが、その金子修介が note に連載していた記事があって、慣れないよそ者・素人上がりの監督である森田のアシスタントを務める一方で、この世界の先輩として少し指南めいたこともした、みたいなことを面白おかしく書いていたのを思い出した。
『噂のストリッパー』の主演男優が「ケンちゃん」シリーズの宮脇康之だったのに対して、『ピンクカット』では『の・ようなもの』以来ずっと森田の盟友である(名優ではないがw)伊藤克信を持ってきた辺りを見ても、2本目にして漸く自分のやりたいことができるようになった、という感じではなかったのかなと想像したりもした。
それにしても思ったのは、この 40年余りで「可愛い女の子」の概念が完璧に変わってしまったのではないか、ということだ。
今の若い男性が寺島まゆみや岡本かおりを見て果たして素直に可愛いと思うだろうか?
彼女たちはまさに 80年代初頭のある種典型的な女の子たちであり、そのことに対する郷愁もないではないが、それを抜きにしても、僕らから見ればいまだにやっぱり可愛いのである。
もちろん、同じ時代に出てきた松田聖子や小泉今日子ほどは可愛くない。でも、あの時代にはそこまで可愛くて脱いでくれる女優はいなかったのである。
確かに今はいるでしょ? でも、あの頃は寺島まゆみや岡本かおりが精一杯だったのである。でも、その前の時代には可愛くて脱いでくれる女優なんてほとんどいなかったのだから、彼女たちが出てきてくれて感謝感激だったし、やっぱりちょっとイナタイ感じはしても、どことなく捨てがたく可愛いのである。
ということで、内容についてこれ以上は書かないが、なんか編集するのが嫌になって途中で投げ出してしまったような終わり方をした『(本)噂のストリッパー』(それでも妙な余韻はあったけどw)に対して、『ピンクカット 太く愛して深く愛して』のほうは、「にっかつロマンポルノ」の作法はしっかり守りつつ、かつ設定もストーリーもきっちりできていて、今観ても大変面白かった。
国立映画アーカイブは料金もバカ安だし、結構値打ちがあった。また別の企画、別の作品も観に行こうと思う。


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