映画『隣のステラ』
【8月22日 記】 映画 『隣のステラ』を観てきた。
福本莉子は東宝シンデレラ・オーディションでグランプリを獲って、出演映画もこれで 15本目、そのうち数本は主演と言えるポジションである。
しかし、その割にはなんか却々ブレイクしてこないという印象がある。ガツンッとアピールしてくる何かが欠けているのである。
事実、今日の劇場の客層も大多数は同じく主演の八木勇征目当てと思われる女性客で、福本莉子目当てと思われる男性層はほとんど見当たらない。
じゃあ、僕が福本莉子のファンだから見に行ったのかと言うと、そうではない。
監督の松本花奈はこれが 12本目の映画。前作『明け方の若者たち』は僕も観ていて、これは結構良かった。他にもテレビドラマや配信版の【推しの子】などとも観ていて、僕は良い監督だと思っているのだが、こちらもなんか抜けきれない感じが残っている。
で、この映画も結局なんとなくブレイクしてこない、抜けきれない感じで終わってしまった。
原作は少女漫画で、もしも幼馴染で隣に住んでいた男の子が売れっ子芸能人になってしまったら、というジャスト・ワン・アイデアで構成されたドラマなので、そこからの展開が難しい。
最初から2人とも内心惹かれ合っていることは見え見えなので、あとは途中でどういったすれ違いを演出するかということになる。確かにこの映画でもそういうすれ違いは設定されていて、そこからハッピーエンドになだれ込んで行く展開なのだが、あまりにありきたりで、んー、もう少しひねりようはなかったのかな?などと考えてしまう。
あとひとつ、何かが足りないのだ。
年配の男性にはこういう青春恋愛ドラマをバカにして見ない人も少なくないが、僕は全くそういうタイプではないので、「ジジイにはこの映画の良さは解らないよ」と突き放さないでほしい。
確かに何かが足りないのだ。
パンフレットを読むと、監督がカーテンの揺れ方にこだわって何テイクも撮り直したみたいなエピソードも書かれていて、確かにそういうことも含めて、非常にきれいな画が撮れていだけにとても残念である。
一番の弱点は脚本かな。この脚本を手掛けたのは川満佐和子という人で、調べてみると 2021年ごろからテレビドラマでの実績はある(僕は全く観ていない)が、映画は初めてのようだ。
これぞ!と言うところがない気がする。それ故、主演の2人の魅力を引き出せていないようにも思う。この主演の2人が共演者の倉悠貴に完全に食われてしまっていると思った(それだけ倉悠貴が巧いということだが)。同じ監督による『明け方の若者たち』と比べてもメリハリがないように思う。
思えば『明け方の若者たち』の脚本は小寺和久だった。そのクラスの脚本家との差は大きい気がする。
八木勇征は、ドラマ・デビューの『美しい彼』の時から見ているが、とにかくイケメンなので、年齢的にはそろそろ限界が近いが、僕はまだもっと売れるのではないかと思っている。
一方で、福本莉子はどうするんだろう? と言うか、東宝さん、グランプリを授けた責任もあるんだから、福本莉子をそろそろなんとかしてやってくださいよ、という感じ。
彼女のファンには悪いが、もしもこの役を原菜乃華や畑芽育が演じていたらもっと魅力的だったのではないか、とか、あるいは監督が三木孝浩や(『美しい彼』を獲った)酒井麻衣だったらもっと胸に迫る作品になったのではないかな、などと考えてしまった。
ところで、パンフレットを読んで、八木勇征の所属事務所の社長役で出演していた野波麻帆が東宝シンデレラのグランプリ受賞者であったことを知った。出演シーンは少なかったが、とてもニュアンスのある表情を見せてくれた。
果たして福本莉子は彼女のような(たとえ小さな脇役でも)存在感も個性もある女優に将来はなれるのだろうか?


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