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Saturday, April 05, 2025

映画『片思い世界』

【4月5日 記】  映画『片思い世界』を観てきた。

広瀬すず、杉咲花、清原果耶という旬の女優3人の共演。

この中では杉咲花が一番好きかな。子役時代から長いキャリアのある女優だが、僕が認識したのは 2013年の TBS金曜ドラマ『夜行観覧車』での鈴木京香と宮迫博之が演じた夫婦の娘役。

当時彼女はまだミドル・ティーンだったが、「めちゃくちゃ巧い!この娘は一体何者だ!」と思って名前を確かめて記憶に刻み込んだ。

清原果耶の名前を憶えたのは 2017年の映画『3月のライオン』前後編で、主人公の神木隆之介と交流する一家の娘役だった。「この娘、なんか、とても良いなあ」と思って名前を調べたのだが、その時点では正直言って将来主演級の女優になるとは思っていなかった。

広瀬すずをいつ知ったのかについては、はっきりした記憶はない。演技力をしっかりと認めたのは映画『海街diary』(2015年)か『ちはやふる』3部作(2016~2018年)あたりだろうか。

姉妹のように仲良く同居している3人の女性の物語なのだが、今日現在の年齢で言うと、26歳の広瀬すずが長女っぽい美咲を、27歳の杉咲花が次女っぽい優花を、そして 23歳の清原果耶が末っ子っぽいさくらを演じている。

冒頭、夜の街をさくらが歩いて来る。前から歩いてきた人を大げさによけ、通りすがりの人が落とし物をしても知らん顔して通り過ぎる。これは何かあるなと思ったのだが、映画を4分の1ほど見終えたところで種明かしがある。

ああ、なるほどそういうことだったのか!と思う。道理で予告編を見ても映画サイトの解説を読んでもどんな映画なのか今イチ分からなかったはずだ。

最初からこの設定を知った上で映画を見ると何か支障があったり感動が損なわれたりするとは僕は思わないが、しかし、この設定については予告編でも解説文でも明らかにされていなかったので、僕としてもここに書くわけには行かない。

書けないけど、ま、観てほしい。そういう物語なのである(笑)

そして、この終わり方を見て、「なにそれ!?」と言う人も出てくるだろうが、僕は無理やり結末を作ろうとしない脚本に却って潔さを感じた。

それが目当てで見に行ったわけではないので、映画を見始めた時にはすっかり忘れていたが、この脚本は坂元裕二のオリジナルだった。

僕はとりたてて彼のファンではないので、この脚本について熱弁を振るおうとも思わないのだが、パンフレットのインタビューで彼がこう言っているのが非常に印象に残った:

いまの日本の映像業界はアニメ作品に支えられて成立していますよね。実写作品はアニメが描いているものから逃げずに、ちゃんと向き合うことを意識して作らないといけないんじゃないかって思ったんですよね。多くのアニメには目的意識の強い設定と物語があって、実写もそこを明確にしないと、アニメと向き合うことにならない。「静かな日常を描くものではなく、世界に抗う物語でなくてはならない」と。

その思いで作られたのがこの脚本だとしたら、そこには「なるほど、確かに」と感じる部分と、「え? そう思っていて、そう来るのか」と感じる部分の両方があって面白い。

今回の映画はほとんどがこの3人の会話で成立している。もちろんそこには美咲の同級生だった典真(てんま、横浜流星)や優花の母親の彩芽(西田尚美)らのエピソードも深く絡んでは来るが、基本的にこの3人の結びつきを描いた映画であり、三人三様の役柄を、脚本も女優たちも鮮やかに描き出していたと思う。

真面目で、3人のまとめ役で、でも自分自身はちょっぴり引っ込み思案の美咲。論理的で、行動的で、その一方で優しい優花、そして、自由奔放でちょっとがさつなさくら。

僕はいつもは衣装のことなんかほとんど印象に残らないのだが、この映画では3人がシーンごとに入れ代わり立ち代わり、いろんな衣装で現れるのがとても楽しかった。それぞれがそれぞれにキャラに相応しいスタイルになっていて、それぞれの女優の個性をも感じさせてくれた。。

また、いろんなエピソードの中で、伊島空が演じた青年だけはあまりにあまりな描かれ方で、そのことに対して批判があるかもしれないが、これはどんなに誠心誠意相対しても心を通じ合うことはできない人ってやっぱりいるんだ、ということを表すためにあえてそうしたようだ。確かにそういう現実はある。

ところで、この映画は撮影中に監督以下の乗った車が交通事故に遭って、約半年中断したのだそうだ。土井裕泰監督は復帰したが、カメラマンの鎌苅洋一は途中から小林拓に変わり、そこに応援として近藤龍人や四宮秀俊、飯岡幸子らが加わったという。とても豪華な撮影陣である。

そして、ストリート・ミュージシャンの役で moonriders(今回の表記は全て英小文字だった)が出ていた。台詞はなく、まさにストリートで演奏していただけだが、画より先に演奏が聞こえてきた瞬間に、武川クジラのバイオリンをフィーチャーしたサウンドを、冒頭の1小節聴いただけでファンならば即座に「あ、ムーンライダーズだ!」と分かる音で、とても嬉しかった。

設定については書かないと決めたので、随分まどろっこしい映画評になってしまったが、うん、良い映画だったんじゃないかなと僕は感じている。

それにしてもなんと豪華で、読みどころ満載なパンフレットだ!

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