映画出資と回収のシステム(5年後の註記)
【11月2日特記】 5年前に書いた映画出資の仕組みについての記事に、今日註記を加えた。
あまりネット上にこういうことを書いている人がいないためか、それとも製作委員会方式の映画出資というものに一般の方の興味が高まってきたということなのか分からないが、最近やたらとこの記事へのアクセスが増えているのである。
で、アクセスが増えてくると、当然「ちゃんと正しいことを書いていたのだろうか?」と気になってくるのである。なにしろあの記事を上げたのは5年前の春である。ちょうど自分自身がそういうことに興味を持って、一体どうなっているのか、社内の例を中心に自分なりに調べて整理してみて、元々は備忘録のような形で書いた文章である。
それは暫く誰にも見せずに僕のPCの中で眠っていたのである。そして、ある日、意外に知られていないことかもしれないのでネットに上げるのも良いかもしれない、と思い立ってアップロードした文章である。
まあ、限られたものとは言え、一応何例か当たった上で書いているので、とんでもなく的はずれなことは書いていないつもりだし、であれば、5年経った今でもある程度ツボを押さえた整理にはなっていると思う。
とは言え、やっぱり5年前である。今読み返すとすこーし気持ち悪いところが出てきているのも確かである。それで、気になりだすと放っておけなくて、昔の記事にちょっと言い訳めいた【追記】を加えたというわけだ。
どこが気になったかと言えば、
- 全般的な傾向としては、ここのところ日本映画の制作費は高騰の傾向にある。だから、5年前に作った金額の例が全般に低いような気がしている。
- とは言え、依然として超低予算で作っている映画もあるわけで、つまり千差万別になってきている中で、僕の書いた例がスタンダードだと思われるのは間違いである。
- で、個別の数字を見ると、大作映画の場合、昨今の例では制作費とPA費がもっと拮抗している。僕が上げた例は制作費5億、PA費2.5億だが、最近では両方とも額が増え、特にPA費がどんと増えて制作費に近づいている。
(もちろん逆に低予算映画の場合は、PA費のPはともかくAはほとんどゼロに近いこともある) - それから、配給手数料や成功報酬を何%取るかというのはそれぞれの会社によって実績になっているパーセンテージはあるが、どの時点の額に何%かけるかというところまでまちまちで、それこそケースバイケースなので、そもそも一般論として書いてしまうのをためらうくらいである。
- それから、「PA費は配給会社が払う」とあっさり書いてしまっているが、これも契約によって、配給会社によって対応は様々である。特にPA費さえ回収できないくらいの利益しかなかった場合に不足分をどこが被るかというようなことは、それこそ個別の契約書を読んでみないと分からないような状態である。
他にもあるが、主なものとしては以上のような点が気になったので、註記を書いてみたというわけだ。ま、そういうことを頭の片隅においてお読みいただけると大変嬉しい。


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