Sunday, June 28, 2020

グループの名は。

日本語の句読点の使い方がおかしくなってきたのはいつからだろうかと考えた時にすぐに思い浮かぶのは1997年のモーニング娘。の結成です。

どうです? もう、おかしいでしょ? 文の途中で句点(。)が出てきてますから。これだと「モーニング娘」でこの文が終わってるものと思ってしまいます。

僕が一番好きなのはモーニング娘。

みたいにね。

こういうのを「体言止め」と言います。文は通常は用言(動詞や形容動詞、形容詞など)で終わるものですが、余韻を残すためなどの狙いで体言(名詞)で文を終わらせてマルを打つわけです。

ところが、冒頭の文における「モーニング娘。」はマルがあるところで文章が終わっていません。その後にある「の」を見て、「あ、この文はまだ終わってなかったんだ」と気づくわけです。

「モーニング娘。」の場合はまだ良いのですが、2014年以降のこのグループの名前、例えば「モーニング娘。'20」のような場合は、マルとアポストロフィが連続していて、一体どこが繋がってどこが切れているのか、区別するのがかなり難しくなっています。

モーニング娘。は '14年以降はグループ名の最後に当該年の西暦の下二桁を付して「モーニング娘。'xx」としており、例えば '20年の場合はモーニング娘。'20となる。

なんと分かりにくい!

私が今書いているこの文章では、読みやすくするために「モーニング娘。」と書いて、カギ括弧に挟まれた部分(マルまで)がグループ名であることを示しています。上記のような例文ではそうしないとめちゃくちゃ分かりづらいからです。

しかし、では、この書き方が日本語として正しいのかと言うと、規範性の高い表記方法としては正しいとは言い難いのです。なんとならば、「記号は重ねない」というのが従来の日本語表記のルールだったのです。つまり、

  1. 「それはおかしいよ。僕はそうは思わない。」と彼は言った。
  2. 「それはおかしいよ。僕はそうは思わない」と彼は言った。

のどちらが日本語の表記として正しいのかと言えば、2のほうなのです。近年かなり崩れて来ているとは言え、この原則を守って書こうとすると、もう書きようがありません。だから、

  • モーニング娘。が何度もメンバー・チェンジを繰り返すのは…
  • つんくがプロデュースしてきたモーニング娘。の場合は…

みたいな文章を読むたびにつっかえてしまうのです。句点があるのに終わらないって、反則じゃないですか!

なんでこんなことになったかと言うと、それまでの日本語の文章では、グループ名などの固有名詞やタイトルの場合、最後にマルを打つことはめったになかったのです。それを爆発的なヒットで覆してしまったのがつんくだったわけです。

この後、同じハロプロのユニット名として「カントリー娘。」や「ココナッツ娘。」などが続々登場します。そして、この書き方はやがてハロプロ以外にも広がって行き、例えば「ゲスの極み乙女。」(2012年結成)みたいなバンドも現れました。

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Saturday, June 13, 2020

Thanks Theater

【6月13日 記】 先日、motion gallery というクラウド・ファンディングのサイトからメールが来て、映画を4本選んでくれと言われた。

最初は「何だっけそれ?」と思ったのだが、思い出してみると、「未来へつなごう!!多様な映画文化を育んできた全国のミニシアターをみんなで応援ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金」というのを支援したのだった。

金額もリターン内容もすっかり忘れてしまっていたのだが、サイトに行って確かめたら、僕が支援したのは「未来チケットコース」5,000円で、リターンは、

  • 希望する映画館の未来チケット1枚 (2022年内有効)
  • サンクス・シアターの映画作品リストから選んで、4本分をストリーミング再生(1年間)

だった。

それで、今度は Thanks Theater というサイトに行って、候補作品16本の中から僕が選んだのが、

  1. 『14の夜』(足立紳監督、114分、2016年)
  2. 『火星の人』(池田千尋監督、31分、2019年)
  3. 『此の糸』(今泉力哉監督、35分、2005年)
  4. 『微温』(今泉力哉監督、44分、2007年)

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Sunday, June 07, 2020

映画館と人間ドック

【6月7日 記】 緊急事態宣言が解除されて、閉まっていた映画館も漸く開き始めた。一番慎重だった東宝系も先週金曜日に最後に扉を開いた。

僕は観たい映画を常に iPhone に(と言うか、Evernote にと言うか)リストアップしているのだが、4~6月に見ようと思った映画が全部で 15本あって、どれも見逃したくないもんだから折に触れて新しい封切り日が発表されないかをチェックしている。

今日全てを検索してみたら、残念ながら発表しているのはそのうち2本だけである。ま、でも、今一気に公開されてもこちらもなかなかしんどいと思うので、ゆっくり進んでくれたほうがありがたい。館数は少なくても良いから、長めの公開期間にしてほしいなと思う。

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Saturday, May 16, 2020

本で元気に! 文春文庫人気シリーズ 期間限定1話無料公開中

【5月16日 記】 note に文藝春秋の「本の話」というアカウントがあります。多分、これ書いているのは僕の知人(twitter で知り合って、何回か会ったこともある)の女性ではないかと思うのですが、twitter にも同じアカウントがあって、そのツイートで「本で元気に! 文春文庫人気シリーズ 期間限定1話無料公開中」という企画があるのを知りました。

リンクを辿って見に行くと、そこにあったのは三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』の「多田便利軒、繁盛中」でした。てっきり冒頭だけ公開して本の購入ページに飛ばされでもするのかと思っていたら、なんと第1話がまるまる読めるじゃないですか。

あっという間に読んでしまいました。で、気がついたらこれは第2弾で、第1弾では伊坂幸太郎の『死神の精度』から同名の第1話が公開されていて、こちらも一気に読んでしまいました。

コロナで引きこもっている人たちへのサービスなのでしょうが、これはなんとありがたい企画でしょう。

僕にとっては人選がとても良かったです。2人とも全く読んだことのない作家ではなく、かと言って大好きで追っかけている作家でもなく、決して嫌いではないけれど、でも、のめり込んではおらず、まあ、今回のようなチャンスがあると読んでしまうし、読んで面白いと思える作家と作品だったからです。

『まほろ駅前多田便利軒』のほうは大森立嗣監督が撮った映画2本を観ていたこともあって、多田が出てくると瑛太の、行天が話し出すと松田龍平の顔が浮かんできます。で、あの映画を見たときの映画評に、僕は随分不思議なトーンだということを書いたのですが、原作を読んでみて、ああ、あれは原作から映画まで地続きのトーンだったんだと気づきました。

小説の冒頭も、便利屋の多田が預かった子犬の姿を見失って探し回っていると、バス停で他ならぬそのチワワを抱いて座っている、高校の同級生・行天を見つける──という映画と同じシーンだったので、何を読んでも何を観てもすぐに忘れてしまうこの僕にしては珍しく、記憶が甦ってきました。

そうか、大森監督の映画は三浦しをんの小説そのままだったんだ、と何だか妙に嬉しくなってしまいました。

改めて思ったのは、三浦しをんって、巧い書き手ですね。凝った表現ができるかどうかということではなく、読み手に書き手の存在を全く意識させることなく、読み手を物語の世界に導き出してくれます。これでこそ作家だなあという感じ。

このシリーズを一から読んでみるのも良いかもしれません。

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Monday, May 04, 2020

無映画月間

【5月3日 記】 こういう状況でもあるので──いや、そんな曖昧な書き方をしておくと後から読み返したときに意味が分からないので、ちゃんと書いておこう。新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受けて、先月は1回も映画館に行かず1本も映画を見なかった。

調べてみたら、丸々1ヶ月映画を見なかったのは 2004年の6月以来ということになる。

2004/5/23 に大阪・梅田の阪急ナビオTOHOプレックスで『世界の中心で、愛をさけぶ』を観てから、7/31 に東京の新宿トーアで『69 sixty nine』を観るまで、このときは1ヶ月と1週間空いてる。

考えてみたらこの間に2度目の東京転勤をしたのだった。引っ越しやら何やらで、映画を見る余裕がなくなってもそれは仕方がない。

ただ、この後僕は2度目の大阪転勤と3度目の東京転勤を経験しているのだが、その際には丸々1ヶ月にわたって映画を観ないという事態には陥っていない。今が如何に異常事態なのかということが分かる。

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Sunday, April 26, 2020

『翔んで埼玉』を家でもう一度観てみて

【4月25日 記】 『翔んで埼玉』を妻に見せた。『カメラを止めるな!』に続いて、これも僕は映画館で観たのだが、面白かったので WOWOW で放送したときに録画しておいたのだ。

で、これも『カメラを止めるな!』同様、家で観るとそれほど面白くない。2度目ということもあるが、それにしても面白くない(笑)

妻は時々笑い転げてみていたけれど、見終わってから笑顔で「なにこれ、つまんないじゃない」と言った。笑顔で言うくらいだから、面白くなかったと怒っているわけではないのだが、ま、その程度だということだ。

やっぱり映画館で観ることによる効果というものはあるようだ。あるいは、家で観るときには面白さを減少させる何かがあるのだ。

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Sunday, April 19, 2020

『カメラを止めるな!』を家でもう一度観てみて

【4月19日 記】 コロナでずっと家にいる。とは言え、平日は在宅勤務だし、妻もいろいろとやることがあるので、夫婦一緒に何かをしている時間は、食事を除くと極めて少ない。

そんな中で、夜、2人の都合が合ったので、録り溜めたビデオを見ることにした。選んだのは『カメラを止めるな!』。僕は映画館で観たが、妻に見せてやろうと録画してあったのだ。

しかし、あんなに面白かった映画が、家で見るとあんまり面白くない。妻はどんな顔で見ているかと気になって横目で見ると、前半はまあ間違いなく退屈なのを辛抱して観ている感じ。後半は、そこまでではないにしても、そんなに面白そうではない。

見終わって「面白かった?」と訊いてみたら、「半分くらい」との返事。

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Friday, April 03, 2020

映画の災厄

【4月3日 記】 先週末に続いて今週末も都内のほとんどの映画館が休館になる。土日の映画館は混むから閉じてしまおうということなんだろうけど、しかし、となると、つまり、映画は平日に観ろってことなんだろうか?

でも、もし、土日に観ようと思っていた客がみんな都合をつけて平日の昼間に観に行ったら、あんまり意味はなくなるんじゃないだろうか?

ま、映画館に関しては法律に定められた基準に則って換気を実施しているので、それほど危険ではないという説もあることだし、最悪土日さえ避ければ大丈夫だろうと判断した、と言うか、平日にそんなに満員になるはずがないと高を括っているというのが実際のところなのだろう。

しかし、これは映画好き、と言うか、観たい映画がたくさんある人にとっては大変つらい状況だ。

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Monday, January 13, 2020

キネ旬的な評価軸

【1月13日 記】 去年はキネマ旬報ベストテンの発表が遅かったので、今年もそうなのかなと思って検索していると、「キネ旬ベストテンがヒット作を無視するワケ」という記事が出てきて、ちょっと驚いた。

いや、記事の中身は読んでいない。そのタイトルだけで充分驚いたから。

キネ旬は果たしてその年にヒットした映画を無視しているのだろうか?

まさか投票の前に審査委員が全員集まって、「皆さん、多額の興行収入を達成した映画は無視してやろうではありませんか」と怪気炎を上げているとでも思っているのだろうか?

ヒットした配給会社に怨みを持つ人を優先して審査員に選んでいるとでも言うのだろうか?

それは違うだろう。

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Tuesday, December 31, 2019

入ってほしい

【12月31日 記】 2006年からこのブログで「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」という企画をやっている。

私的ベストテンの発表ではない。あくまでも「入ってほしい10本」の発表である。こういうのは珍しいのではないかなと思う。でも、なんとなくやり始めたものが 14年も続いていることから分かるように、僕にはこの形が一番合っているように思う。

仮に今年の自分のベストテンを選べと言われたら、僕には選び切る自信がない。10本選ぶのが難しいし、その10本に順位をつけるのも難しい。

「この映画はとても良い映画だ」と思う映画はたくさんあるが、「でも、必ずしも自分の趣味ではない」と思う作品もたくさんある。その一方で「この映画は確かにそれほど完成度は高くないかもしれない。でも、自分としてはめちゃくちゃ好きだ」という映画もある。そういう映画を応援したい。

採点したり序列をつけたりするのとは違う地平で、推して行きたい作品がある。そういうものを選びたい。

つまり、全てが応援したいかどうかに尽きる──そういう選び方ならできる気がするし、そういう選び方しかできない気もする。

そう思いながら、過去13年を振り返ってみる(括弧内はキネ旬の順位):

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