【1月4日 記】 歌舞伎座で『壽新春大歌舞伎』第一部を観てきました。人生初歌舞伎鑑賞です。
僕は父親が貿易関係の零細企業を経営していて、2度も倒産して自分の学習机にも差し押さえの紙を貼られるなど、そこそこ貧しい環境で育ってきたので、ゴルフとオペラと歌舞伎は自分には一生縁がないだろうと思っていました。少年時代の僕にはそういうものは大金持ちの象徴に見えたのです。
ところがゴルフは会社に入って営業セクションに配属されたら無理やり始めさせられました(日本人が猫も杓子もゴルフをやり出した時代でしたね)。ちっとも楽しくなかったけど。
あとはオペラと歌舞伎ですが、ま、日本人に生まれたら一度歌舞伎に親しんでみたいという気持ちは中年に差し掛かったころからずっとありました。妻に訊いてみたら彼女もほとんど観たことがないと言うので、僕が会社を辞めて暇になったこともあり、それじゃ行こうということになった次第です。
で、歌舞伎に詳しい元部下の女性に懇切丁寧な教えを請うた上でこの公演を選びました。演目は「卯春歌舞伎草紙」と「弁天娘女男白浪」。
前者は歌舞伎らしい華やかなステージが見られそうだし、後者については、白浪五人男であれば 1980年代半ばに下北沢のスズナリに足繁く通った劇団鳥獣戯画の“歌舞伎ミュージカル”で何度か見ていて、ある程度の設定は知っているのでいいかなと思って。
一応ホームページに載っていたあらすじを読んで軽く予習をした上で、イヤホンガイドも予約しました。
さらにたまたま前々日にテレビをつけたら NHK Eテレで、この歌舞伎座公演を含む新春歌舞伎の紹介番組が放送されていて、しばし見入ってしまいました。
当然上記2つの演目もダイジェスト的に紹介されたのですが、それよりも同じ公演の第三部の『十六夜清心』が生中継されて、貞女から悪女に豹変する七之助の見事な演技に完全に魅了され、なるほど歌舞伎の“芸”とはこういうものか!と、ほんの一部ではありますが少しその魅力が解ったような気になりました。
事前にこの番組を見られたのは大変良かったと思います。見終わって暫くは夫婦揃って七五調で喋っていましたが(笑)
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