『方舟を燃やす』角田光代(書評)
【11月22日 記】 角田光代の小説を読むのは実に久しぶり。2016年の『対岸の彼女』以来ということになる。
「以前は人生の暗い面ばかり描いてきたが、あることがきっかけで今では人の希望を描くようになった」みたいなことを角田自身が言っているのを何かで読んだが、久しぶりに読んでみると、確かにそういう部分もあるような気もするが、あんまり変わっていないような気もする。
この小説は柳原飛馬を主人公とする話と望月不三子を主人公とする話が交互に出てくる。飛馬は少年時代から、不三子は高校時代から始まり、ともに人生の長い期間が描かれている。
そこには(以前の?)角田光代らしい、人生におけるトラウマめいた事件を描いた部分も多い。
2人ともある意味でなんとか他人の役に立ちたい、誰かを助けたいと思うのだが、そんなには上手く運ばないのである。
で、この2人の話が却々繋がらない。読んでいる途中で、一体いつになったら繋がるのかとじれてしまう。
しかも、飛馬のエピソードはどれも結構面白いのだが、不三子のほうは(ひょっとしたら僕が男だからかもしれないが)それほど面白くない。
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