Wednesday, February 01, 2023

キネマ旬報ベストテン発表&表彰式

【2月1日 記】 2022年公開映画に対する僕の「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」とキネマ旬報ベストテンの選考結果についての総括記事は、例年通り『キネマ旬報』2月下旬号を実際に手にして、全投票結果が載っている採点表をチェックしてからにするが、今日の「発表&表彰式」の無料配信を観てしまったので、先に少し書いておきたい。

まず、授賞式の模様がライブ配信され、それを自宅のテレビの大型画面で見られる時代が来たことを本当に嬉しいと思う。

で、選考結果であるが、これまた本当にキネマ旬報らしい選考結果で、なんだか嬉しくなってしまう。「らしさ」を維持していることも嬉しいし、その「らしさ」を作り上げているセンスの良さも、僕が他のどの賞よりもこの賞を信頼している所以である。

壇上の三浦友和も言っていたように、低予算映画や単館系映画にもちゃんと目を向けている姿勢をとても正しいと思う。

Continue reading "キネマ旬報ベストテン発表&表彰式"

| | Comments (0)

Tuesday, December 27, 2022

掘り出しモノ賞

【12月27日 記】 ひとつ前の記事に書いてしまったが、2022年の掘り出しモノ賞は『大河への道』にしたい。

全然知らない監督だったし、予告編を見てもとりたてて劇場で観たいとは思わなかった。ま、自分が所属している会社の出資作品でもあるしということで、言わばお義理で見に行ったようなものだったが、これが面白かった。

とにかく脚本が良く書けている──と思ったら、森下佳子だった。なるほど、そりゃ面白いはずだ。時代劇的なカタルシスもほどよくあって、現代劇的なギャグやオチもちゃんとある。

そして、最後の完成した大地図の俯瞰を筆頭として、随所に良い画がたくさんあった。カメラマンは柴主高秀だ。

こういう具合に期待せずに観た映画が面白いと満足感が倍増する。こういう作品こそ掘り出しモノ賞に選んでおくべきだと思った。

掘り出しモノ賞は twitter ベースの映画賞である coco賞の投票部門のひとつだった。今はもうこの賞自体が存在しないようだが、僕はこの部門が大変気に入っており、賞がなくなった後も自分で選び続けている。

大抵は年が明けてから選出していたのだが、今年は年内にこれに決めた。

これまでに選んだ作品は下記のとおりである。

Continue reading "掘り出しモノ賞"

| | Comments (0)

Sunday, December 25, 2022

回顧:2022年鑑賞邦画

【12月25日 記】 今年も残すところわずかで、多分もう劇場には行かないだろうから、毎年やっている「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」を選んでみた。今回で 17回目。

毎年書いているように、これは僕が選んだ今年のベストテンではない。純粋な評価とは微妙に違っていて、言うならば僕が応援する10本である。

また、決して「映画賞の上位に入るであろう邦画10本」ではない。客観的な予想ではなくて僕の思い入れの強さを表すものである。

あくまで他の映画賞ではなく「キネ旬の」、10位以内ではなく「20位以内に」、入るだろうではなく「入ってほしい」10本なのである。

今年観た邦画は、ネット上の特別試写会で観た『異端の純愛』を除いて 58本。『異端の純愛』を含めても良いのだが、この映画は来年劇場公開の予定らしいから、来年の選考対象とすることにした。

まず、例年通り本数を考えずに選んだら、次の 14本になった。

まず、この中で『大河への道』は、知らない監督さんだったこともあって全く期待せずに見に行ったのに滅法面白かった。となると、毎年選んでいる「掘り出しモノ賞」にぴったりだなと思って、今回は外すことにした。掘り出しモノ賞については後日アップしたい。

しかし、『大河の道』を外した結果、なんか同じような映画ばっかりが残ったような気もするが、まいっか。

ちなみに、この 14本を選ぶにあたっては『猫は逃げた』も念頭にあったのだが、今泉力哉監督と城定秀夫監督のコラボ作品を両方とも選ぶのはどうかと思い、『愛なのに』を残して『猫は逃げた』を外した。

そこから先は随分悩んだのであるが、結局下記 10本を残した。

  1. さがす
  2. ちょっと思い出しただけ
  3. 愛なのに
  4. 犬王
  5. 恋は光
  6. 神は見返りを求める
  7. マイ・ブロークン・マリコ
  8. いつか、いつも……いつまでも。
  9. 窓辺にて
  10. 夜、鳥たちが啼く

毎年書いているように、これは僕が観た順番に並んでいる。この 10本に序列をつけることはしていない。

Continue reading "回顧:2022年鑑賞邦画"

| | Comments (0)

Wednesday, December 21, 2022

事実に基づいている

【12月21日 記】 昨日、映画『ラーゲリより愛を込めて』に関して、僕は物語が「事実に基づいている」ということについては何の魅力も感じないということを書いた。そのときに書き落としたことをひとつ追加しておきたい。

まず、昨日書いたことを再掲すると、

初めから書くための題材があるノンフィクション的な作品より、ゼロから作り出すフィクションのほうがむしろエライと思っている。

そもそも「事実に基づいている」からと言って、事実ではない。観客が一番感動した台詞や、クライマックスで主人公が取った行動などが脚本家による創造である可能性は低くない。

そういうことに蓋をして、事実に基づいていることを売りにする作品に対してはいつも強い拒否感を覚える。

念のために書いておくと、僕は「好きじゃない」と書いているのであって、「そういう作品があってはいけない」と書いているのではない(「お好きな方はどうぞ」という意味である)。

昨日の記事で「何の価値も認めない」と書いたのは、「そんなもの認めないぞ」という意味ではなく、単に「そういう作品に自分は価値を全く感じない」という意味である。そう「認可」の「認」ではなく「認知」の「認」だ。

Continue reading "事実に基づいている"

| | Comments (0)

Tuesday, December 20, 2022

映画『ラーゲリより愛を込めて』

【12月20日 記】 映画『ラーゲリより愛を込めて』を観てきた。

瀬々敬久は別に好きな監督ではない。予告編を観る限りはどうも僕が大嫌いな典型的なお涙頂戴映画のようだ。

それに加えて、物語が「事実に基づいている」ということについては僕は何の価値も認めない。初めから書くための題材や素材があるノンフィクション的な作品より、ゼロから作り出すフィクションのほうがむしろエライと思っているぐらいだ。

そもそも「事実に基づいている」からと言って、事実ではないのである。観客が一番感動した台詞や、クライマックスで主人公が取った行動などが脚本家による創造である可能性は低くない。そういうことに蓋をして、事実に基づいていることを売りにする作品に対してはいつも強い拒否感を覚える。

にも拘わらず見に行ったのは、昔自分がいた会社の出資作品であるということもないではないが、脚本が林民夫だったからだ。この人は僕の信頼する脚本家である。変にお涙頂戴や希望の押し売りにならずに、バランスを失わずに物語を展開してくれるのではないかと期待したのである。

話は単純で、第二次世界大戦の最後にロシア兵に捕まり、シベリアに抑留されて帰ってこられなかった山本幡男の物語である。山本を演じたのは二宮和也だ。僕は二宮のことは彼がかなり若かったころから買っている。

この山本が、どこまでも前向きで、無類の好人物であり、不屈の精神を持っているという設定だ。同じように10年以上抑留された仲間たちを松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕らが、そして山本との「約束」を信じて日本で待ち続ける妻・モジミを北川景子が演じている。

Continue reading "映画『ラーゲリより愛を込めて』"

| | Comments (0)

Saturday, December 17, 2022

映画『かぐや様は告らせたい -ファーストキッスは終わらない-』

【12月17日 記】 映画『かぐや様は告らせたい -ファーストキッスは終わらない-』 を観てきた。ネットで調べて3館めでやっと席が確保できたのだが、僕が行ったシアターもぎっしり満員!

かつて自分が勤務していたテレビ局が出資/放送していたからお義理で見に行ったわけではない。僕はこのシリーズがめちゃくちゃ好きなのだ。例によって原作は知らないのだが、TVアニメになってからは第1期、第2期、第3期合わせて 37話をすべて観てきた。

橋本環奈と平野紫耀で実写映画化もされたが、これも2本とも観ている。

知らない人のために少しだけ書いておくと、お互いに好き合っていながら自分から告白するのは恥だという明らかに間違った考えに取り憑かれた高校生カップルが生徒会を中心に繰り広げるドタバタを描いた、英語で言うところのロムコム(RomCom = Romantic Comedy)である。

とは言うものの、TVアニメ第3期の最終回で、学園祭の夜に白銀御行が最高の舞台を作り上げた上で、「好きだ」と明確に言葉にはしなかったものの割合しっかりと思いを伝え、それを受けた四宮かぐやはついに御行に抱きついて濃厚なキッスをしてしまったので、その続編をどう作るかは難しいところだ。

しかし、この2人のキャラを考えると、なるほど、今回の映画のようにいろいろこじれてくるのも無理はないのだ(笑)

Continue reading "映画『かぐや様は告らせたい -ファーストキッスは終わらない-』"

| | Comments (0)

Friday, December 09, 2022

映画『夜、鳥たちが啼く』

【12月9日 記】 映画『夜、鳥たちが啼く』を観てきた。佐藤泰志原作、城定秀夫監督。Photo_20221214221801

(今回少しだけネタバレを書いています。全く予備知識なしでこれから映画を観たいという人は読まないでください)

何が起こるというわけでもないのに、なんでこんなに余韻の深い物語を作れるんだろう。

思えば僕も学生時代には作家になりたくて小説を書いてみたりもしたのだが、僕が書きたかったのはまさにこんな風に、ほとんど何も起こらないのにずっしりと重みのある読後感を残す作品だった(書けなかったけど)。

不動産屋の前を通ったときに店のガラスに貼ってあった広告が裕子(松本まりか)の目に入る。それを食い入るように見つめていたかと思うと、慎一(山田裕貴)と息子のアキラ(森優理斗)に「先に遊んでて」と言い残して店内に入って行った裕子は、あの時何を考えていたのだろう。

とか

家に入る直前に、さっきまでやっていた遊びを思い出して「だるまさんがころんだ」をやって振り向いてみたら、慎一は全くこちらを見ていなかったと気づいた時、裕子はどんな思いだったんだろう。

とか、いろいろと考えてしまう。

やっぱり、これは何よりも脚本の高田亮がすごいのだと思う。佐藤泰志の小説はこれまでに5回映画化されており、最初の『海炭市叙景』以外は全部観てきた。いずれも素晴らしい映画だった。そのうちの『そこのみにて光輝く』と『オーバー・フェンス』が高田亮の脚本だった。

Continue reading "映画『夜、鳥たちが啼く』"

| | Comments (0)

Tuesday, December 06, 2022

映画『月の満ち欠け』

【12月6日 記】 映画『月の満ち欠け』を観てきた。佐藤正午はそれほど多くは読んでいないが、間違いなく好きな作家の一人で、直木賞受賞作であるこの作品も読んでいる。

ただし、いつもいつも書いているように、僕は読んだ本についても観た映画についても、全体的に良かったか悪かったかという印象以外はほとんど記憶に残っていない。この小説についても同じである。

ただ、あれは長い年月にわたる複雑な物語だったという記憶はかろうじてあり、それを2時間の映画にするために変に端折ってしまうと、原作を換骨奪胎した作品になってしまうのではないかと心配にもなった。でも、廣木隆一監督ならそんなに変なものにはならないだろうと信じて見に行ったのである。

で、これもいつものことだが、映画を見終わったらいろいろ思い出すかと言えば、そんなこともないのである。だから原作と比べてどうかということは具体的には書けない。ただ、これは原作とは違う風合いの作品になっているのだろうな、というのが僕の印象である。

今回も一応自分の書いた書評を読み直してから映画館に出かけたのだが、そこにも書いてあるように、僕は佐藤正午という作家の特徴としていつも2つのことを思い浮かべる。──ひとつは日常生活における微妙なズレや違和感を描く作家であるということ。そしてもうひとつは、読者を宙吊りにしたまま引っ張って行く作家であるということ。

今回の映画にはその2つの要素は感じられなかった。だから、原作とは違うのだろうと思った。パンフを読むと「純愛小説」などと書いてあって、ああ、この小説をそういう風に読んだのか!と思ったのも事実。もちろん純愛が描かれてはいるのだが、僕はそういう捉え方をしていなかった。

Continue reading "映画『月の満ち欠け』"

| | Comments (0)

Saturday, December 03, 2022

Netflix & Amazon Prime 鑑賞記録

【12月3日 記】 前に一度、自分用の備忘録として Netflix の鑑賞記録をここにアップしたが、そこに Amazon Prime Video も書き加えて更新した(★はオリジナル作品)。

先ほどちょうど『ペリフェラル』The Peripheral のシーズン1(全8話)を見終わったところ。

めちゃくちゃ面白かったけど、あまりに複雑で難しくて、観ていて頭がクラクラした。見終わってから改めて「海外ドラマブログ」のネタバレページを丹念に読んでやっと分かった、と言うか、未だに理解できないとこもあると言うか(笑)

一応見終わったもの(次のシーズンが予想されるものも含む)だけを記録することにしたので、ここには書いていないが、Netflix では今『ザ・クラウン』The Crown『ウェンズデー』Wednesday を並行して観ている。

Continue reading "Netflix & Amazon Prime 鑑賞記録"

| | Comments (0)

Saturday, November 26, 2022

映画『あちらにいる鬼』

【11月26日 記】 映画『あちらにいる鬼』を観てきた。大好きな廣木隆一監督なのだが、内容的にどうにも観る気が起こらなくて先延ばしにしていた作品。脚本は荒井晴彦。

井上光晴と井上の妻、そして当時井上と不倫関係にあった瀬戸内晴美(のちの寂聴)の3人をモデルにして井上荒野が書いた小説が原作。いずれの作家も僕は読んだことがない。しかし、なんで井上荒野がこの3人を取り上げたのか不思議だったのだが、彼女は井上光晴の長女だそうな。知らなかった。

とは言え、これは小説である。ここでは井上光晴は白木篤郎(豊川悦司)であり、瀬戸内晴美/寂聴は長内みはる/寂光(寺島しのぶ)なのだ。

だから、ここで描かれたことが必ずしも実際にあったことではないはずだ。ましてやこの2人に肉体関係があったときには荒野はまだ幼い子供である。彼女が全てを認知できたはずがない。

ただし、両親亡き後これを書くにあたって荒野は瀬戸内寂聴のもとに通ってかなりの取材をしたとのこと。個々のエピソードの真偽は分からないが、全体像としては多分このような世界だったのではないかなと想像できる。

白木はにべもない言い方をすると女癖の悪い男だ。当時の考え方からすると妻にするに最高な女性・笙子(広末涼子)と結婚していながら浮気を繰り返す。映画は白木の妻が白木に言われて(ただし、言われるところは描かれていない)、自殺未遂を図って入院している白木の愛人(蓮佛美沙子)を見舞いに行くところから始まる。

講演会でみはると一緒になった白木は初めて会った瞬間からみはるの着物を褒め、トランプ占いをしてやるなど、気があるのは見え見え。一方みはるのほうも、まずは作家としての井上の筆力に感服し、自分も若い男(高良健吾)と同棲中であるにもかかわらず、次第に井上に惹かれて行く。

一方笙子は夫の悪行にもちろん気がついてはいるが、決して咎めはしない。夫を受け入れ、そして夫が愛した女たちにある種のシンパシーを感じているフシさえある。とりわけ夫と長年の関係にあったみはるにはそうだった。

みはるも白木を妻から奪おうなどとは考えもしなかった。ときには他の若い男とゆきずりの関係になったりもしたが、しかし、そのことと白木への一途な思いは矛盾しなかった。

Continue reading "映画『あちらにいる鬼』"

| | Comments (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

iPhone おすすめサイト ことば アニメ・コミック ウェブログ・ココログ関連 ギャンブル グルメ・クッキング ゲーム サイト更新情報 スポーツ ニュース パソコン・インターネット ファッション・アクセサリ プレイログ ペット 今日のBGM 仕事 住まい・インテリア 学問・資格 心と体 心に移りゆくよしなし事 恋愛 携帯・デジカメ 文化・芸術 文学・歴史 旅行・地域 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ考 映画・テレビ評(05) 映画・テレビ評(06) 映画・テレビ評(07) 映画・テレビ評(08) 映画・テレビ評(09) 映画・テレビ評(10) 映画・テレビ評(11) 映画・テレビ評(12) 映画・テレビ評(13) 映画・テレビ評(14) 映画・テレビ評(15) 映画・テレビ評(16) 映画・テレビ評(17) 映画・テレビ評(18) 映画・テレビ評(19) 映画・テレビ評(20) 映画・テレビ評(21) 映画・テレビ評(22) 映画・テレビ評(23) 書籍・雑誌 書評 書評(02) 書評(03) 書評(04) 書評(05) 書評(06) 書評(07) 書評(08) 書評(09) 書評(10) 書評(11) 書評(12) 書評(13) 書評(14) 書評(15) 書評(16) 書評(17) 書評(18) 書評(19) 書評(20) 書評(21) 書評(22) 書評(23) 経済・政治・国際 美容・コスメ 育児 舞台 芸能・アイドル 趣味 関西・関西人 音楽 音楽追悼文