Friday, February 26, 2021

掘り出しモノ賞

【2月26日 記】 去年の映画の記事は全部書き終わったと思っていたのだが、ひとつ「掘り出しモノ賞」の更新を忘れていた。

これは twitter ベースの映画賞である coco賞の投票で、ベストテン以外に自分で名前をつけて独自の賞を選ぶことができるようになっていて、僕は毎年そこで「掘り出しモノ賞」と銘打って票を投じていたのである。

これが我ながら楽しかったので、coco賞がなくなってからも選び続けることにして、去年初めてこのブログにも掲載した次第である。

今後はこれを、毎年加筆修正して更新していこうと思う。

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Sunday, February 07, 2021

「キネマ旬報」2月下旬号(2)

【2月7日 記】 今年もキネマ旬報2月下旬号で発表された2020年邦画ベストテンのデータを少し分析してみます。

統計学的には必ずしも正しいやり方ではないのでしょうが、僕が毎年やっているように上位10作品ぐらいに限定してやるのであれば、それなりに傾向は見えると思っています。

キネマ旬報ベストテンは、2020年の邦画部門の投票で言うと「キネ旬編集部」を含む 60人の審査員がそれぞれ合計55点を持って、1位には 10点、2位には 9点、…、10位には1点と入れて行き、その合計得点で順位が決められるわけです。

で、僕は集計表を見ながら毎年それを“分解”して遊んでいます。

作品の合計得点を、投票した審査員の数で割るのです。そうすると、その作品に票を投じた審査員1人当たりの平均得点が出ます。その平均得点と投票人数を見比べて、映画がどんな形で受けたのかを考えるのです。

つまり、投票した審査員の数は多いけれど平均得点は低い場合は広く浅く受けた映画、投票した審査員は少ないけれど平均点が高い場合は一部の観客に熱狂的に受けた映画ということになります。

さて、2020年の結果は:

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Saturday, February 06, 2021

「キネマ旬報」2月下旬号(1)

【2月6日 記】 注文しておいた 「キネマ旬報」2月下旬号が昨日届いたので、例年通り、年末に書いた「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」と突き合わせてみる。

第1位については昨日の記事にも少し書いたが、あらためて第1位から10位までの作品を並べてみる:

  1. スパイの妻(劇場版)
  2. 海辺の映画館──キネマの玉手箱
  3. 朝が来る
  4. アンダードッグ
  5. 本気のしるし 劇場版
  6. 37セカンズ
  7. 罪の声
  8. 喜劇 愛妻物語
  9. 空に住む
  10. アルプススタンドのはしの方

昨日も書いた通り、去年はコロナのせいで本数を絞るしかなかったこともあって、見ていない作品が非常に多い。なんと第1位から第6位まで未見ではないか!

1)をパスした理由は昨日書いた通り。2)は、名匠・大林宣彦監督の遺作なのだが、僕はどうも近年の大林作品を観る気が起こらず、この映画も随分迷った挙げ句に観なかった。

3)は僕とは非常に相性が悪い河瀨直美監督の作品。脚本が大好きな高橋泉だったので、観ようかどうしようか、ものすごく迷ったが、迷っている間に上映期間が終わってしまった。

4)も5)も、あまり監督が好きじゃないんだよなあ。そういう映画は、去年のような環境だと却々映画館に足を運ぶところまではたどり着かない。逆に、6)は全くのノーマークだった。

で、第7位にやっと観た映画が出てきたが、これは僕が「放っておいても賞に選ばれる」という理由で選ばなかったやつ。ちなみにこの映画で宇野祥平が助演男優賞をもらった。怪演。花開いた感じ。おめでとう。

8)もあまり好きな監督じゃないのでパスしたのだが、この作品で水川あさみは主演女優賞を獲っている。これは機会があれば観てみたい。

第9位と第10位にようやく僕が選んだ映画が出てきた。鬼才・青山真治監督の久々の長編作品と、マイナーな上映形式でスタートした全国高等学校会演劇大会最優秀賞受賞作の映画化がともにベストテン入りしたのは大変嬉しい。

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Friday, February 05, 2021

キネマ旬報ベストテン(1位のみ)

【2月5日 記】 毎年1月上旬には発表していたキネマ旬報ベストテンが、一昨年から2月下旬号が出る前日に邦画/外画の第1位と個人賞だけを発表するようになりました。

で、昨日がその日で、深夜に第1位は何だったんだろうと検索してみたら、なんと邦画は黒沢清監督の『スパイの妻』

これ、海外で賞は獲ったものの、僕の周りではあまり評判が芳しくなかったこともあって観てないんですよね。

黒沢清は贔屓の監督だし、一昨年までだったら評判が悪くても観に行ったと思うのですが、コロナ禍の下では映画を観る環境が非常に悪くて本数を絞るしかなく、結局除外するほうの作品に入れちゃいました。

もちろんいつかは何らかの形で観るつもりです。観て、自分の眼で確かめたいです。

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Sunday, December 27, 2020

回顧:2020年鑑賞邦画

【12月27日 記】 今年も「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」を選んでみた。2006年から毎年やってきて、今回が記念すべき 15回目になる。

毎年毎年同じことを書いているが、これは僕が選んだ今年の第1位から第10位ではない。また、決して「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入るであろう邦画10本」ではなく、あくまで「入ってほしい10本」、つまり、言わば僕の応援メッセージである。

そして、入ってほしい対象としているのは『キネマ旬報ベストテン』ではなく(それだとあまりに狭き門だから)、「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内」である。

今年観た邦画は『劇場』を含めて 41本。コロナ禍のせいで例年よりは少ない。この 15年では最低の本数である。

『劇場』は映画館もしくは試写会で観たのではないので、例年のルールからすると外すべきなのだが、劇場公開と Amazon Prime での配信開始が同時だったこともあり、たまたま Amazon で観ただけという位置づけにして、対象に含めることにした。

また、今年は来年公開予定のものを試写会で先に観てしまったという作品はない。逆に『もののけ姫』は(僕は初見だが)再映なので除外して、合計 40本から選ぶことにしたのだが、そこではたと気がついた。

ご存知の通りキネ旬ではドキュメンタリ映画は別部門である。結局今年観たドキュメンタリ映画『さよならテレビ』、『三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実』、『なぜ君は総理大臣になれないのか』を除外することになった。どれも良い出来だったので残念ではある。

それで、最終的には3本減って、37本から 10本を選ぶという広き門になった。ところが最初に何も考えずにリストアップしたら、なんと 17本もあるではないか! そこから 7本削るのは難しかったが、まず落とした 7本を先に書くと、

基準は必ずしも映画の良し悪しではない。僕が思い入れを持って応援したいかどうかの問題だ。

だから、必然的に前から贔屓の監督に肩入れしたくなる一方で、毎年そうなのだが、「この映画は放っておいても賞に選ばれる」と思う作品は除外する傾向にあるのも確かである。今年で言えば『糸』と『罪の声』がそうだ(キネ旬でも選ばれるだろうとは言い切れないが)。

で、残ったのが下記 10本。いつものように、僕の評価が高い順ではなく、単純に観た順番である。

  1. ロマンスドール
  2. mellow
  3. ステップ
  4. 劇場
  5. アルプススタンドのはしの方
  6. ミッドナイトスワン
  7. 空に住む
  8. おらおらでひとりいぐも
  9. さくら
  10. 私をくいとめて

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Sunday, December 20, 2020

映画『私をくいとめて』

【12月20日 記】 映画『私をくいとめて』を観てきた。

僕は大九明子監督がまだあまり売れていなかった頃から彼女の作品を観てきたが、そんな彼女が大ブレイクしたのが 2017年の『勝手にふるえてろ』であった。今作はあの時と同じ綿矢りさ原作だ(僕は彼女の小説は4冊読んでいるが、これは読んでいない)。

大九監督と綿矢りさはよほど相性が良いのだろう。綿矢ワールドの真髄をしっかり読み切って、今作も素晴らしい、前作を凌ぐ良い映画になっていた。なんか、監督と作品を祝福したいような晴れやかな気分である。

最初は“お一人様”に慣れすぎてしまったOL・みつ子(のん)が、取引先の営業マンであり偶然近所に住んでいた多田くん(林遣都)と出会い、恋をする物語かと思ったのだが、そんな一面的な話ではなかった。

もちろん前半で2人のなれそめを描いたので、それを回収するためもあって、最後はこの2人の話に戻っては来るが、この映画が描いているのはもっと深い、例えば他人と関わり合いながらどうやって生きていくか、みたいな問題なのである。

みつ子は自分の心の声に A (Answer の A)と名付け、いつも A と会話している。A の声は男性だ。最初に聞いた瞬間から、この特徴ある声質と喋り方は中村倫也だと分かる。最後のほうで、それまで声だけだった A が姿を表すシーンがあるのだが、これがまた驚かせてくれる(笑)

冒頭は多田くんがみつ子の家に夕飯をもらいに来るシーン。不思議な設定だ。映画の中では托鉢僧に喩えられている。30代で年上ということもあって気後れしているみつ子だが、A にズバリ「あなたは多田くんが好きなのだ」と言い当てられる。

それくらいのことは観客もすぐに察するのだが、一方、多田くんが無邪気に飯を食いたいだけなのか、それとも少しはみつ子に気があるのかが見えない。この辺は林遣都が本当に巧い。実年齢ではのんより上なのだが、絶妙な“年下感”を醸し出して煙に巻いてくれる。

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Saturday, December 19, 2020

映画『STAND BY ME ドラえもん2』

【12月19日 記】 映画『STAND BY ME ドラえもん2』を観てきた。

6年前の前作のときにも書いたのだが、僕はドラえもん世代ではないし、テレビ番組のドラえもんはほとんど観たことがない。にもかかわらず、前作を観たのは絵柄に惹かれたからであり、今作を観ようと思ったのも同じ理由である。

アニメってそういう要素が結構あるんじゃないだろうか。

『アベンジャーズ』シリーズを全く観たことがなかったのに一応『インフィニティ・ウォー』だけ予習して『エンドゲーム』を観に行ったりもした僕だが、『鬼滅の刃』に関しては映画を全く観る気にならないのは、絵柄が好きになれないということもあってのことなのだ。

この映画の絵柄というのはもちろん藤子・F・不二雄の原画を踏まえているのだが、3DCG化によって柔らかい雰囲気が増し、目の覚めるような息吹を原作に加味していると言える。

6年前にも驚いたし、その時にも書いたことだが、本当にこの CG 技術には驚くばかりである。とりわけ素材の質感の違いが見事に再現されているのには感心する。

土は土らしく、樹脂は樹脂らしく、布は布らしく、髪は髪っぽく、皮膚は人間の皮膚とは明らかに違うが紛う方なくアニメの世界の皮膚である。大人になったしずかちゃんの耳許で小さく揺れているイヤリングなんて、まさに作画チームの表現力を誇示するものだと思う。

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Sunday, December 06, 2020

映画『ばるぼら』

【12月6日 記】 映画『ばるぼら』を観てきた。手塚治虫の原作漫画を息子である手塚眞が映像化したもの。

僕が初めて手塚眞の作品を観たのは 1983年の『SPh』。もう 37年も前のことだ。当時は自主映画が少しブームになって少しずつ認められる作品も出てきた頃で、この映画もそういうった流れの中で上映された(場所はスタジオアルタの7Fだった)。

他の多くの監督がが文字通り自主映画を、今の言葉に言い換えればインディーズ映画を作っていたのに対し、手塚は当時から映画監督ではなくヴィジュアリストと名乗り、物語ではなく、ひとえにアートを目指していたと思う。

その2年後に、僕は『星くず兄弟の伝説』を観て(これはそこそこ話題になった作品だ)、その 20年後に『BLACK KISS』を観て、それからまた 15年空いてこの作品が4本目である。

酒色に耽る人気作家・美倉洋介(稲垣吾郎)の話。映画の中でそういう表現は使われていなかったと思うのだが、パンフレットに原作漫画の冒頭が掲載されていて、そこでは洋介自らが「異常性欲がある」と告白している。

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Sunday, November 22, 2020

映画『さくら』

【11月22日 記】 映画『さくら』を観てきた。

なんという切ない映画だ。そして、なんという愛おしい映画だ。

僕は長らく矢崎仁司監督の名前を失念していた。この映画を見る前も、なんとなく名前に記憶はあるのだが、作品を見たことがあったかな?とぼんやり思っていた。それが、この映画を観ている途中で電撃的に思い出した。

そうだ、このテイストはあれだ! 『ストロベリーショートケイクス』を撮った人だ。

あの映画も同じように、飛びっきり切なくて、飛びっきり愛おしい映画だった。僕にとっては14年ぶりの矢崎仁司だ(いや、ちゃんと調べてみると違った。2014年の『太陽の坐る場所』も観ていたのだが、これは若干期待外れで、僕としては珍しくはっきりと残念だと書いている)。

予告編を観たのか役者の顔ぶれだけで決めたのかは憶えていないが、僕は早くからこの映画をマークしていた。そして、映画通の知人が褒めているのを知り、今日観に行った。観て良かった。圧倒的な作品だった。

なんという切ない映画だ。そして、なんという愛おしい映画だ。

どんな筋なのか全く知らずに行ったので、最初はこのストーリーがどっちを向いて転がって行くのか探りながら見ており、従ってやや入り込めない感じもあったのだが、途中からは完全に引き込まれた。

出てくる家族は普遍的な設定ではない。しかし、普遍的でないからこそ逆にものすごいリアリティを以て、生きる苦しみや仄かな希望をそれぞれの観客の胸に、それぞれの形で伝えることができるのだ。

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Saturday, November 21, 2020

映画『おらおらでひとりいぐも』

【11月21日 記】 映画『おらおらでひとりいぐも』を観てきた。

そう言えば沖田修一監督は前作『モリのいる場所』も老人の話だったなあと思い出したのだが、今回についてはオファーを受けて起用されたとのことなので、必ずしも彼の問題意識がそういうところに向かっているということでもなさそうだ。

冒頭にいきなり地球の歴史みたいなCGアニメが出てきて、なんじゃこれは!と思ったのだが、これは主人公の日高桃子(田中裕子)が日々図書館に通って我流で研究しているテーマであり、言わば桃子の脳内の話でもあるのだが、もっと言えば、この映画全体が桃子の脳内の話であるとも言える。

原作は若竹千佐子による一昨年の芥川賞受賞作だ。

桃子(75歳)は夫とは死別、2人の子どもたちも独立して、今は一人暮らし。彼女がやることは、寝て起きて食べる以外では、腰に湿布を貼るのと、図書館に行くのと、医者に通うことぐらいである。

彼女が夜、ひとりで座っていると突然自分と同じチョッキを着た3人の男たち(濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎)が現れる。3人とも口を揃えて「おらだばおめだ」と言う。つまり、この3人は桃子の分身なのである。

桃子の分身なのに全員男だし、しかも3人もいる。3人もいるのはきっと寂しいからだ。

原作ではこの分身は“柔毛突起”として描かれていたらしい(僕は読んでいないので詳細は分からない)が、それを擬人化して、さらに分割したのは監督のアイデアらしい。

このアイデアが映画全編を通じて見事に効いている。

この3人と口を利くときの桃子は田中裕子ではなく、彼女の若い時を演じた蒼井優の声である。そして、回想シーンで桃子の夫を演じているのが東出昌大だ。

さして大事件が起こるストーリーではない。ただ、人が老いて振り返ったときに現れるのは決して「概ね幸せな人生だった」というような単純なものではなく、そこにはものすごく細かい単位で後悔も羞恥も怒りもある。

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