Sunday, June 03, 2018

【6月3日 記】 「神対応」ということばが気持ち悪い。

そもそもここ10年くらいの間に「神」が随分安売りされるようになった気がする。家出少女が自分を泊めてくれる男が現れるのを待つことを「神待ち」と言ったりするのもそれ。「神ってる」という動詞もそれ。

ただし、物事を誇張する際に神が持ち出される、神になぞらえられるのは昔からあったことではある。

例えば「神業」。でも、これは軽々しくは使われなかった。とてもじゃないが人間にはできそうにないような“わざ”に触れて驚嘆したときに思わず口をついて出てくることばだった。

例えば「神の手」。これは指圧などの施術師や考古学の発掘調査をしている人などへの賛辞だが、決してその人たち自身が神だとは言っていない。あくまで手だけが神で、頭や体の他の部分は人間なのである。人間が人間の手で信じられないようなことをするので、手だけは神なのではないかと言ったのである。

例えば「神通力」。これもその力を発揮した人が神だと言うのではない。人間なのにまるで神に通じるような力なのである。

じゃあ、「神対応」という表現は対応した人間のことを神だと言っているのかと言うと、必ずしもそうではないかもしれない。単に「神のような対応だ」と言うにすぎない。ただ、軽々しすぎる、安すぎるという印象はある。

仮にも相手は神だぞ。

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Monday, May 28, 2018

「アメフット」考

【5月28日 記】 日本大学のアメリカン・フットボール部の事件が世間を騒がせているが、この問題をテキスト・メディアが報じるに際して、「アメリカン・フットボール」の2つの略し方を目にする。

「アメフト」と「アメフット」

そして、僕の周りの少なからぬ人が「アメフット」は気持ち悪いと言う(もっともある年代以上の人だけかもしれないが)。

ホームページをやっていたときに何度も書いたことだけれど、それは日本語において多くの略語が「前半後半から2文字ずつ4文字」あるいは「前半後半から2音ずつ4音」という原則に従っているからだ。

ただし、音を基準にする場合、二重母音や長音、撥音、促音などは全て2音と数える。アメフットは5文字5音だから気持ち悪いのだ。

もちろん、古くはベア(ベース・アップ)とかモガ(モダン・ガール)みたいに前後半から1文字ずつ、あるいは1音ずつ持ってきて構成された略語もある。

しかし、かなり以前から2+2形式は主流である。

泥縄とか学割とか──それって「2文字」とか「2音」とか言うよりもむしろ「漢字1文字ずつ」じゃないかと言われるかもしれないが、そうではない。たまたま漢字の切れ目が2文字、2音であったというだけのことである。

鰻丼(うなぎどんぶり)をうなどん、「モーニング娘。」をモームスと略すように、漢字の読みがどこで切れるのかはあまり関係がない。

モームスの例からも分かるように、この略し方は固有名詞にも使われる。無声映画時代のスター阪東妻三郎がバンツマ、木村拓哉がキムタクと略されるのもこの例である。

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Tuesday, May 22, 2018

音頭

【5月22日 記】 深夜ドラマの『やれたかも委員会』が好きだ。ものすごくデトックスになる。で、このエンディングで流れているのが shiori によるカバー『君のひとみは10000ボルト』だ。

この曲、1978年に堀内孝雄が発表したときから思っているのだが、リズムとの兼ね合いを考えると区切れがおかしいのだ。

つまり「きみの・ひとみは・いちまん・ボルト」ではなく「きみのひ・とみはい・ちまんぼ・ると」になっているのである。

特に「き」から「い」までは同じ高さの音なので、メロディラインでアクセントをつけることができない。そうするとどうしても強拍・弱拍でことばが区切れてしまうのだ。

こんな風に切れ目のおかしい歌は時々あるのであって、僕が昔大いに気になったのはイルカの『なごり雪』である。

こちらは「なごり雪も 降る時を知り」とは聞こえずに、「なごり雪も 降る時 お尻」と聞こえてしまう。みんなあんまり気にしていないかもしれないが…(笑)

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Saturday, May 19, 2018

Stars and Stripes から

【5月19日 記】  多分あまり共感してもらえないだろうけれど(笑)、なんか電撃的に分かったような気になったので書きます。

アメリカの国旗のことを星条旗と言います。英語で言うと the Stars and Stripes です。ちなみに、日本人は頭韻というものに気づかずに通り過ごしがちですが、この表現は S で韻を踏んでいます。

で、stars が「星」ですから、引き算すると stripes が「条」ということになります。そこで私は、

そうか、「条」はストライプなのか!

と大いに納得したのでした。

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Tuesday, May 08, 2018

難読と常識とオイラーの等式

【5月8日 記】  時々変なことが気になり始める。今まで何も思っていたなかったのに、急に引っかかり始めるのだ。

最近で言うと、例えば英語の第一人称の代名詞の主格はどうして I と大文字で記すのだろう、というようなこと。

これは、以前やっていたホームページの「ことばのエッセイ」シリーズの中で、僕が繰り返し述べてきたことなのだが、幼少の砌に、あるいは何か物事を習い始めた最初の頃に教えられたことは違和感なく受け入れてしまうのである。

例えば、「人間」を「にんげん」と読ませるのは、これは本来かなりの難読の例のはずだ。でも、小学校に入って割合すぐの頃にこれを習うので、これは「にんげん」と憶えてしまって違和感がない。

「長谷川」を「はせがわ」と読むのも、辞書の巻末付録の難読漢字のコーナーに記載されていて何ら不思議はないが、大体小さい頃にどこかで長谷川さんなり長谷川くんに出会ってしまっているので、それ以降はそういうものとして捉えているのだ。

かくして、それらは「難読」ではなく「常識」となるのである。

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Saturday, April 28, 2018

さとみの変貌

【4月28日 記】 2007年4月に、当時やっていた自分のホームページに『さとみ』という文章を書きました。石原さとみではありません。形容詞や形容動詞につく接尾語「さ」と「み」の比較について書いたものです。

まずは、やや長くなりますが、この文章に少し手を入れてここに再掲したいと思います。

********** 以下再掲

さとみ

私が加入しているメーリングリストにこんな投稿がありました。

「厚い」→「厚さ/厚み」っていうふうに、形容詞から「さ」と「み」の2種類の名詞ができるんだけれど、「速い」→「速さ/速み」とはならない。

  • できるのは「甘い」「苦い」「暖かい」「高い」?
  • できないのは「薄い」「低い」

何故できるものとできないものがあるのでしょうか?

それに対して私は以下の趣旨でコメントしました。私が投稿する前に「み」=「味」なんだろうかという疑問が出されたり、さらに「『高み』なんて言葉あるか?」という指摘もあったりしたので、その辺も踏まえたコメントになっています。


「み」は形容詞・形容動詞の語幹に付きます。

「味」は多分当て字でしょう。ただし、辞書によると「甘味」「苦味」「人間味」などは味や趣きを表す言葉なので、この場合は「味」を使うのが正解なのだそうです。そういう意味では「+み」と「+味」は分けて考える必要があるのかもしれません。

じゃあ「新鮮み」とか「真剣み」とか「面白み」などの場合は「み」なのか「味」なのか、この辺りは大変判別がつきにくいですね。私にもよく判りません。

その他にも、まず区別しなければならないのは、「厚み」の「み」と「高み」の「み」は違うということ。後者は「…な所」という意味です。

「弱み」は弱いところ=弱点、「高み」であれば高いところ、「深み(にはまる)」であれば深いところという意味で(ただし、「深みがある」という表現の場合は別。これは後述)、これを「さ」と比較するのは無理があるので、一旦ここでは除外します。

あと古語では「~を…み」で「~が…なので」という意味を表す用法があります。崇徳院の有名な歌に「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」(川の瀬の流れが早いので…)というのがありますが、もちろんこれは別の用法ですので、これもここでは除外します。

さて、その上で両者を比較すると、「+さ」があくまで客観的な判断基準であるのに対して、「+み」は非常に主観的な表現であると言えます。

  • 「+さ」=客観的
  • 「+み」=主観的

「親しさ」と「親しみ」を比べてみればよく解ると思います。

だから主観的・感情的な要素が入る余地が大きい形容詞・形容動詞には「+み」が成立しやすいとも言えます。

速さには大体基準があって、自動車なら時速 20km は速くないですし、人間が 100m を 10秒台で走ると速いと思うはずです。それに対して、どれくらいなら厚いと感じるかは、それが何であったとしても、場合によって人によってかなり感じ方が違って、それほどはっきりとは定まらないのではないでしょうか。

そういうわけで「速み」は成立しにくいが「厚み」は成立しやすいと言えます。

あるいは、「親しさ」は「どのくらい親しいかの程度」、「親しみ」は「親しく思う気持ち」と言い換えたらもっと解りやすいのかもしれません。

  • 「+さ」=程度、説明
  • 「+み」=気持ち、思い入れ

ただし、「親しみ」の場合は形容詞「親しい」の語幹+「み」ではなくて動詞「親しむ」の連用形が転じて名詞になったものという解釈も成り立ちます。ちょうど動詞「悲しむ」から名詞「悲しみ」ができるようなものですね。

いや、逆に「悲しみ」は「悲しい」の語幹+「み」であるという解釈も成り立つのであって、正直言って私のような素人には判別がつきません。専門の学者はどういう解釈をしているのか訊いてみたいものです。

話は戻りますが、主観的・感情的というところから転じて「+み」は抽象的な、計測不能なものに対しても使えます。

  • 「+さ」=具体的、計測可能
  • 「+み」=抽象的、計測不能

「暖かさ」と「暖かみ」を比べてみてください。

暖かさは摂氏何度という形で測ることができますが暖かみを測る尺度はありません。「深みがある」というのもこの類です。

大体以上が私の解釈ですが、そもそも穴だらけの説明ですし、いずれにしても言葉というものは必ずしもルールに従わないもので、しかもそのルールは時代とともに変化して行きます。

でも、そこが言葉の面白さだと思います。言葉がそういうものであってこそ、面白みがあるというものです。

上で述べたような牽強付会な説明を試みるより、大雑把に感覚的に把握しておくのが良いのではないかと思います。

ところで「茂み」の「み」って何でしょう? 元が形容詞でもなければ、マ行五段活用の動詞でもないですもんね。「茂り」→「茂み」なんでしょうか?
これは私にも全く解りません。


【追記】ある人が「茂み」についてネット上に書いているのを見つけました。

その人は「み」を場所を表す接尾語と捉え、「深み」も「弱み」も「茂み」も全部一緒に「…な所」という説明をしていました。うーん、どうでしょう?

上にも書きましたが、「深い」「弱い」が形容詞であるのに対して、「茂る」は動詞です。ひとまとめにするには少し無理があるように思います。

他に動詞の例があるかな?と考えたら、すぐに「窪み」を思い出すのですが、これはマ行五段活用の動詞「窪む」の連用形を名詞に転用したものであり、非常に一般的な用法です。ところが「茂る」が「茂り」ではなく「茂み」になるところが不思議だと思うのです。

ただ、いずれにしても、意味は「(草木が)茂った所」です。「深み」=「深い所」と同じような意味の構造です。成り立ちが違うのに同じような意味の構造であるところがなんだか気持ちが悪いのですが(笑)

********** 以上再掲

さて、気がついたら主にネット上に若者言葉として新しい使い方の「さ」と「み」が出てきていました。例えば「分かりみ」。

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Sunday, April 22, 2018

スチュワーデス

【4月22日 記】 出張で飛行機に乗ると時々思っていたことなのだが、スチュワーデスという言葉はどうしてなくなったのだろう?

それで、一昨日出張から帰ってから調べてみたら、アメリカの所謂 Political Correctness の流れで性差のない語である Flight Attendant に改められたと言う。

でも、Flight Attendant(日本では Cabin Attendant、「CAさん」)って割合つまらない表現ではないか。翻訳すると「機内接客係」「客室介添人」? まあ、もうちょっと日本語らしく意訳すると「添乗員」「客室乗務員」というフツーっぽい表現になる。

子供のころ、女性はスチュワーデス、男性はスチュワードと教わって、ふーん、面白いなあと思っていたのが、中学に入って英語を習い始めて、なるほど God と Goddess の関係と同じか!と大いに感心した覚えがある。

何よりも、スチュワード、スチュワーデスというのは飛行機でしか使わない表現であることが飛行機に乗ることの非日常的な感覚を高めていたように思う。

そう、そもそも飛行機に乗ること自体が、あの時代は非日常的な体験だった。

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Friday, April 20, 2018

名前をつけることが人を動かす

【4月20日 記】 このところセクハラ財務次官のニュースで持ちきりである。

で、この事件と報道をきっかけに、「実は私もそうだった」という現役のあるいは元記者の女性たちの証言たちも出てきた。そして、その一方で、放送局のほうも「スケベ親父には女性記者をあてがっておいたほうが情報が取れる」と思っていたに違いなく、そこからしてセクハラであるという批判も出てきた。

そんなあれやこれやを見ていて、ふと思ったことがある。

セクハラというのは別に昨日今日始まったことではない。大昔からあったはずだ。というか、大昔からあって、でもそれは男なら許されて女なら辛抱するしかない当たり前のことであり、別段問題にもならないことであったはずだ。

それが問題になるようになったのはもちろん時代が移り社会が変わったからだという言い方もできるのだが、僕は誰かがこれにセクハラというネーミングを与えたことが非常に大きかったのではないかと思うのである。

名前があるから人は初めてそれをひとつのまとまった概念と捉えて観察したり分析したり批判したり改善したりできるのではないだろうか。

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Thursday, April 05, 2018

名にし負はば

【4月5日 記】 妻が長命寺の桜餅を買ってきたのだが、その包の中にあった解説を読んでいてはたと気づいた。

そうか、言問橋、業平橋という名前を何度も聞きながら、僕の頭の中では今の今まで「名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」という歌と、作者である「在原業平」という名前に結びついていなかったのだ。

これは古典文学の中でも僕が大好きな『伊勢物語』に出てくる歌で、もちろん歌も暗記しているし話の内容も憶えている。それでも「言問」が「いざ言問はむ」と結びつかなかった。痛恨の極みである。

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Saturday, March 17, 2018

一次と数次、一事が万事

【3月17日 記】 いつまでもハワイ島に行った時の話を書いているが、やっぱり海外に行くといろんなことに気づき、いろんなことに思い当たり、いろんなことを思い出して、いろんなことを考える。

これは帰国してから不意に思い出したのだが、昔は一次旅券というのと数次旅券というのがあった。

若い人はナニソレ??って言うだろうが、一次旅券というのは1回しか渡航できないパスポートである。あまり記憶が定かでないのだが、僕が生まれて初めて取得したパスポートも一次旅券であったような気がする。

何のためにわざわざ1回しか使えないパスポートを取るのか?と思うのは今の発想で、昔は逆だった。高いお金を払って何年も使えるパスポートを取る必要なんてあるのか?と。

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