Sunday, July 07, 2024

デイヴィッド・ベニオフについて

【7月7日 記】 Netflix で『三体』を見始めたのだけれど、プロデューサーのデイヴィッド・ベニオフという名前に記憶がある。

調べてみたら、やっぱり僕が 2002年に読んだ小説『25時』の作者だった。その小説家がいつの間にかドラマのプロデューサーになっていたわけだ。

いや、アメリカのテレビ界では珍しいことではない。脚本家が自らプロデューサーを務めること(あるいはプロデューサーが自ら脚本を書くことと言うべきか)はごく普通にある。ひょっとしたらむしろそのほうが一般的かもしれない。

しかし、Wikipedia等でもうちょっと調べてみると、決していつの間にかプロデューサーになったわけではなかった。

まず『25時』がスパイク・リー監督によって映画化される。その際に脚本を担当したのが他ならぬベニオフ自身だったのだ。いや、よく読むと、映画化に際してベニオフがスパイク・リーを指名したとある。

これが 2002年である。そこからもう彼のプロデューサー人生は始まっていたのである。

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Monday, December 18, 2023

批評の時代から、考察の時代へ

【12月18日 記】  最近、三宅香帆の書いたものをよく読んでいて、それで僕のブログや note にもよく彼女の名前が出てくるのだが、さっき読んだ彼女の note (有料)は「批評の時代から、考察の時代へ」という内容だった。

どういう違いかと言うと、

考察 → 作者が提示する謎を解くこと

批評 → 作者も把握していない謎を解くこと

で、最近は考察的な文章のほうが人気があると言うのだ。

彼女は書いている:

なぜなら正解かどうかわからない解釈なんて、知っても面白くないからだ。製作者(※ママ)が忍ばせた、ひそかな真実を知ることが、考察の楽しみ方なのだろう。

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Monday, September 11, 2023

二流の小説家と一流の脚本家の組合せ

【9月11日 記】  実名を書いてファンに襲われるのも嫌だから書かないが、ミステリ系の作家の中には、奇想天外な設定やストーリーを考えて読者の目を欺くことに汲々として、肝心の人物がさっぱり描けていない人が時々いる(そんな作品がどうしてベストセラーになったりするのか不思議で仕方がないが)。

しかし、そういう作品を腕の立つ脚本家が脚色すると、びっくりするくらい素晴らしいドラマになることがよくある。原作では描けていなかった人物に、しっかりとした骨組みができ、その骨組みに対応した肉付けができているのである。

原作が書けていないほうが脚本家の自由度が上がり、手腕を発揮しやすいからなのかなと思う。

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Sunday, July 30, 2023

シミルボン サービス終了

【7月30日 記】 シミルボンが 10月1日(日)24:00 を以て閉鎖し、サービスを終了するとの発表があった。

今この文章を読んでくれている人もシミルボンについては多分ほとんどご存知ないだろうが、僕はこのサイトに 2016年以来ずっと書評を投稿してきた。いずれも自分のブログに書いた書評をほとんど丸ごとコピーしたものである。

シミルボンを運営しているのはブックリスタで、これはソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社が共同で設立した電子書籍事業会社である。

僕は自分のホームページ(現在は閉鎖)のために書いた書評を、当初はオンライン書店 bk1 にもダブルで投稿して掲載してもらっていたのだが、このサイトが大日本印刷の資本によるマルチプラットフォーム型電子書籍配信・販売サイト honto に再編され、僕の投稿した記事のリンクがぐちゃぐちゃにされてしまった(そのことはここに書いた)。

それ以来、全ての書評を新しく自分のブログに移し、リンクは Amazon に張ることにしたのだが、2016年の1月にオープン前のシミルボンの担当者から突然メールをいただき、サイト・オープン時に載せる書評を書いてくれないかとの依頼を受けた。

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Monday, July 10, 2023

三宅香帆に嵌っている

【7月10日 記】 最近三宅香帆に嵌っている。プロの書評家に対してこういう言い方をするのは大変失敬だが、なんか、良い読み方をしていると思うのである。

最初は note で見つけたんだったか? とにかく感じ方、読み取り方がフラットだな、と思った。

それで『女の子の謎を解く』を買って読んでみた。その時の記事がこれだ(このブログにも同じ記事を書いたけれど、note のほうがいろいろ書き足した拡張版なので、こちらを載せておきます)。

その後も note での記事はいくつか読んでいるのだが、問題なのは彼女の記事はほとんどが有料だということ。

無職になって定期収入がなくなるとどうしても定期的な支出が怖いので、月額490円でマガジンを購入するという決断ができない。その結果記事単品を 500円で買うということになって、結局高くついていたりもする。

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Monday, November 28, 2022

【note】 新海誠、稲田豊史、平山瑞穂の作品から“共感”を考える

【11月28日 埋】 note に上げた記事をシェアしておきます:

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Wednesday, August 31, 2022

MONKEY vol.19 「特集 サリンジャー ニューヨーク」雑誌・柴田元幸責任編集(書評)

【8月31日 記】 2019年10月に発売され、2021年6月に買ったまま放ってあった本。仕事を辞めて時間ができた、と言うより精神的な余裕ができたので、漸く読むことができた。

全部は読んでいない。J・D・サリンジャーの短編『いまどきの若者』(The Young Folks)と『針音だらけのレコード盤』(Needle on a Scratchy Phonograph Record)、F・スコット・フィッツジェラルドの『真珠と毛皮』(The Pearl an the Fur)。訳は当然3篇とも柴田元幸である。

それから柴田元幸による R・O・ブレックマンとニコラス・ブレックマンへのインタビューも読んだ。イッセー尾形の小説は冒頭を読んだものの途中で投げ出してしまった。川上弘美の短編は最後まで読んだ。

これで僕が読んだサリンジャー作品は(訳によってタイトルが違ったりするので原題で書くと)年代順に、

  • The Young Folks
  • The Long Debut of Lois Taggett
  • Last Day of the Last Furlough
  • A Boy in France
  • This Sandwich Has No Mayonnaise
  • The Stranger
  • I'm Crazy
  • Slight Rebellion Off Madison
  • Needle on a Scratchy Phonograph Record
    (発表時のタイトルは Blue Melody)
  • The Catcher in the Rye
  • Nine Stories (9篇)
  • Seymour: An Introduction Stories
  • Franny and Zooey(2篇)
  • Hapworth 16
  • Raise High the Roof Beam, Carpenters

の24作ということになった。いろんな人の翻訳で何度も読んだ小説もあれば、翻訳と原文の両方で読んだ小説もある。

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Friday, March 11, 2022

note: エンタメ小説家の失敗学

【3月11日 記】 前に書いた「ロマンポルノ無能助監督日記」(金子修介監督)以来久しぶりに note の連載記事をフォローして読んでいる。

それは「エンタメ小説家の失敗学 by平山瑞穂」である。

僕がこの作家を初めて読んだのは『有村ちさとによると世界は』だった(と言うか、全部で3冊しか読んでいないのだが)。

このタイトルを見て、ピンと来る人は来ると思うのだが、これはジョン・アーヴィングの『ガープの世界』を踏まえたタイトルである。ご存じない方のために書いておくと、『ガープの世界』の原題は The World According to Garp なのである。

そして、作中には In the world according to Garp, というフレーズが何度か出てくる。

そこまで知っていると、この平山瑞穂という作家が、少なくとも『ガープの世界』が好きなんだろうなということは容易に想像がつく。

それで僕はこの『有村ちさと』に飛びついて読んだ。とても面白かった。それで、てっきりこの人は純文学系の作家だと思っていたのだが、その後2冊を読んでみたら、どうもそうではない。

あれっ?と思って調べると、この人のデビューは2004年に第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『ラス・マンチャス通信』という小説だったのだ。僕はその辺のことを全く知らずに、その系譜からはちょっと外れた『有村ちさとによると世界は』を読んで、大いなる感銘を受けたというわけだ。

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Wednesday, May 06, 2020

書評を数える

【5月6日 記】 基本的にデータが好きなので暇があるといろんなものを数えたり分類したりしている。

このブログに書いている書評の数を数えてみた。このブログに置いているのは 2002年以降に読んだ本について書いたものである。

  • 2020年:10本(5/6現在)
  • 2019年:23本
  • 2018年:22本
  • 2017年:12本
  • 2016年:17本
  • 2015年:18本
  • 2014年:17本
  • 2013年:21本
  • 2012年:18本
  • 2011年:22本
  • 2010年:26本
  • 2009年:28本
  • 2008年:28本
  • 2007年:31本
  • 2006年:35本
  • 2005年:33本
  • 2004年:42本
  • 2003年:43本
  • 2002年:44本

それが紙の本であれ電子書籍であれ、1冊の本という単位で読んだものは大体書評を書いているので、書評の数≒読んだ本の数となる。合計490本≒合計490冊。

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Tuesday, September 10, 2019

Lv.10 いいね!

【9月10日 記】 もはや知ってる人はいないだろうが、僕はかつてオンライン・ブックストア<bk1>にずっと書評を投稿してきた。それが honto に統合されてひどい目にあってからはしばらくブランクがあり、何年か置いてから今度はシミルボンに投稿を始めた。

シミルボンについては、オープン前にお声がけをいただいたこともあって、サイトがオープンしたときにはもう僕の書評が載っていた。つまり、開設時からの最古参投稿者なのである。

ところで、そのシミルボンの投稿者にはランクと称号がある。

称号のほうはその都度事務局が独自の判断で授与して行くようだが、ランクにはルールがあって、Lv.6(ロウソク)から Lv.10(タイマツ)までは「いいね!」の数で決まると書いてある。

果たしてそれが単純に「いいね!」の累計なのか、そうでないのかは知らないが。

で、僕のランクは何かと言えば、もうずーっと長い間 Lv.9(タイマツ)だった──最古参投稿者であるにもかかわらず、だ。Lv.10(タイマツ)の人はすでにものすごく大勢いる。僕より投稿数が多い人も多いが、でも、それが決定的な要素ではないと思う。

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