宅食セット
【5月5日 記】 今は料理なんか全くできなくても、全く作らなくても充分家で食事ができるようになった。便利な時代になったものだと思う。
僕らの若い頃には今みたいにあちこちにコンビニはなかったし、レンジでチンするだけで食べられる食品もこれほどバラエティに富んではないなかったし、これほど大量に売られてもいなかった。
そして、それ以前に、一人暮らしで電子レンジなんか持っているやつはほとんどいなかった。それはまだ「贅沢」であったのだ。
もっとも、これは鶏と卵であって、一人暮らしでも電子レンジぐらいは持っている家庭が増えたからこそレンチン食品も増えたのであり、レンチン食品が増えたからこそ一人暮らしの人も電子レンジを買うようになったのであり、そういう環境がどんどん広がったからあちこちでコンビニが増えて来た、あるいは、既存のコンビニがそういう商品の在庫を増やして来たのである。
でも、コンビニが増えたほうが先かもしれない。僕らが若かった頃には、レンジはおろかコンロも湯沸かしポットも持っていないやつもいて、でも、割合近所にコンビニはできてきていたので、「家ではお茶の一杯も飲まない。何か飲みたいときはコンビニで買って帰る」というタイプも確かにいた。
僕はそういうタイプではなかったので、まあ、ああいう時代だったおかげで、少しは料理も覚えた。それはそれで良かったと思う。
とは言え、昨今のレンチン及びレトルト食品の充実ぶりには本当に驚くし、ありがたくも思っている。自分で作る気力もなく、作ってくれる人も不在の時にはこれほどありがたいことはない。
そして、時代はこういう風にして変わって行くんだなあと思う。昔は「レンジなしレンチン食品なし」というセットが標準のライフスタイルであったのだが、いろんな環境や考え方が変わって「レンジありレンチン食品あり」の組合せに転じたのである。
さて、この組合せは今度はいつどんな形でどういうセットに転じるのだろうか? その辺は多分誰にも予想できないから面白い。
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