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Tuesday, April 29, 2025

中間尿

【4月29日 記】  昨日、人間ドックで採尿して、ふと思い出した。あれは4年前かな。尿路結石で泌尿器科を訪れたときのことだった。

どこの泌尿器科でもそうだと思うのだが、受付を済ませるとまず尿検査がある。そして、その際必ず言われるのが「中間尿を取れ」ということである。

その病院は年配の患者が多いので、案内は親切で、ただ「中間尿を取れ」と言われるのではなく、「尿の出始めと終わりを避けて中間の尿を取ってください」などと説明されるのである。

しかし、そのとき、その説明を聞いた年配の患者がこう言ったのである:

そんな難しいことできるかっ!

僕は吹き出しそうになった。

このお爺さんがどういう観点で「難しい」と言ったのかは知らないが、僕の考えでは尿を採取すること自体はそれほど難しいことではない。難しいのはどこからどこまでが「中間」なのかという判断である。

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Monday, April 28, 2025

映画『花まんま』

【4月28日 記】  映画『花まんま』を観てきた。

前田哲は別に好きな監督でもなかったのだけれど、何本か観ているうちに、この人は外連味はないけれど良い映画を撮る人だなと思えてきて、最近は必ず観るようにしている。

この映画もそんな前田哲監督らしい作品だと思うのだが、これまでと少し異なるのは、この映画はファンタジーと言っても良いような話だというところだ。

朱川湊人という大阪府出身の作家が書いた原作小説があって、舞台は東大阪である。早くに両親を亡くし2人で懸命に生きてきた兄妹を、鈴木亮平と有村架純が演じている。

原作は主に2人の幼少期を描いた短編だったそうで、そこに映画は兄と妹が大人になってからのストーリーをかなり書き足した、と言うか、むしろ書き足した部分がメインになっているのではないだろうか。

前田哲監督も大阪府出身だが、鈴木も有村もともに兵庫県出身ということもあって言葉は極めて自然で、会話に淀みがなく、ボケありツッコミありイジリありのナニワ・テースト満載の物語をとても小気味よく演じてくれている。このテンポの小気味よさが関西圏以外の出身者にどこまで伝わるのかは定かではないが。

俊樹(鈴木亮平)は亡くなった父との約束で、妹のフミ子(有村架純)を守ることを第一義に、高校も中退し、自分のやりたいこともろくにやらずに、ただ毎日真面目に働いてきた。フミ子は兄のお陰で大学にまで進学できて、やがて就職先の大学の助教で、カラスの研究に没頭している太郎(鈴鹿央士)と結婚することになった。

俊樹はフミ子がいなくなる淋しさもあって、最初は太郎に素気ない態度をとるが、すぐに思い直して2人を祝福する。

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Saturday, April 26, 2025

映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』

【4月26日 記】  映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』を観てきた。

僕は 2007年の『恋するマドリ』以来、大九明子監督のかなりのファンである。

とりわけ 2015年の『でーれーガールズ』以降の映画については1本たりとも見逃していないのだが、今回の出来は特に素晴らしい。

こんなに心を揺さぶられたのは初めてである。

いつも小さな日傘を差していて、なんとなく冴えない感じの小西(萩原利久)。髪の毛をてっぺんでお団子にして、授業が終わったら一目散に出て行き、食堂では一人姿勢正しくざるそばを食べている桜田(河合優実)。ともに関西大学の学生である(関大がロケで全面協力している)。

小西には、友だちと言えるのはとんでもなく変人で、これまたイケていない山根(黒崎煌代)ぐらいしかおらず、一方桜田にはひとりも友だちがいない。

そんな2人が大学で出会う。まずは小西が桜田に魅かれる。思い切って話しかけてみると、ものの感じ方や価値観がめちゃくちゃ近くて、2人はすんなり友だちになる。

いつも疎外感を抱いて生きてきた小西が、初めて自分と心を通じ合える女性と巡り会えた高揚感が、スクリーン上でなんとも上手に表現されている。

そして、一つひとつの台詞が秀逸で、この本はちょっと書けない気がする。

この映画の原作はジャルジャルの福徳秀介の処女小説なのだが、果たしてこれらの台詞は原作にあったものなのか、それとも脚本を手掛けた大九監督によるものなのかがめちゃくちゃ気になったが、パンフレットを読むとかなり原作に忠実であるらしい。

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Friday, April 25, 2025

しどろもどろのクレディセゾン

【4月25日 記】  前にも書いたが、PASMO から Suica に全面的に乗り換えたのである。で、PASMO へのチャージ金額が引き落とされていた Tokyo Metro To Me Card も退会した(そもそも PASMO のオートチャージのためだけに入会したカードだ)。

なのにクレディセゾンから利用明細発行手数料 330円の請求書が来た。実は先月も来たのだが、それは退会のタイミングと請求のタイミングのラグだろうと思っていたのだが、今月もまた請求されるとなるとワケが分からない。

それでクレディセゾンに問合せをしようとしたのだが、セゾンのサイトではまずカード番号を入れさせられる。しかし、カードは退会した際にハサミを入れて廃棄したのでもう番号は分からない。届いた請求書にカード名とカード番号の記載はあるのだが、カード番号の最後の3桁が XXX になっており、これではログインできない。

念のため、毎月引き落とし額をチェックしていたアットユーネットというサイトにログインしようとしてみた。ここではログインにカード番号は必要ない。しかし、やっぱり退会している(2/15 に「退会を承りました」というメールも届いている)のでログインできない。

そうなると、請求書を送ってきたクレディセゾンに電話で問合せるしかないなと思ったのだが、請求書には記載がなく、ググってみても問合せ先の番号が却々見つけられない。

やっと見つけた 0120 の番号に電話をかけてみたが、ここでも最初に自動音声でカード番号を入れろと言われ、入れないことには先に行けない。挙句の果てに「サービスを終了します」とかなんとか言われて切られてしまった。

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Tuesday, April 22, 2025

thunderbirds

【4月22日 記】  立山に行ったら雷鳥がいた。ホテルの前をひょこひょこ歩いていた。Ptarmigan

で、雷鳥と言うからには英語名はてっきり thunderbird だと思い込んでいたのだが、調べてみたら ptarmigan と言うらしい。

一見してどう発音するのか分からない単語である。

p はサイレントなのだが、冒頭の p がサイレントになる単語は例えば pneumonia (肺炎)とか psychology (心理学)など時々見かけるが、pt で始まる単語は見た記憶がない。

ふーん、という感じ。

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Saturday, April 19, 2025

あの素晴らしい愛をもう一度

【4月19日 記】

あの時同じ花を見て
美しいと言った二人の
心と心が今はもう通わない

と歌ったのは加藤和彦・北山修の『あの素晴らしい愛をもう一度』(作詞:北山修、作曲:加藤和彦)だが、同じ花を見て同じように美しいと感じることは必ずしも「愛」ではないと思う。

いや、「愛ってそんなもんじゃない」と言いたいわけじゃなくて、そういう現象って必ずしも愛とは限らない、いや、むしろ恋愛以外でもよく見られる現象だと思う。

例えば、僕が通っている英会話学校にたくさんいる外国人教師の中にアニメ好きのカナダ人男性がいる。

放送で言う各クールの初めには必ず「今期は何観てる?」という話になるのだが、僕と彼の選んだアニメがかなりの確率で一致するのである。

これだけたくさんのアニメが放送されているのにもかかわらず、そして、2人が選んだ作品は必ずしも大人気作品とは限らないのに、である。

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Thursday, April 17, 2025

アプリ内課金と“100年日記2”

【4月17日 記】 Facebook にも書いたが、App Store に上がっているアプリには「アプリ内課金」と添えてあるものがたくさんある。Android でも多分同じだろうと思う。

ただ、この「アプリ内課金」が意味するところは多様で、

  1. 課金制に登録するといろんなオプションが使えるようになるが、無料でも基本的な機能は使えて充分役に立つもの
  2. 無料で使えるのはお試し期間のみで、無料期間が終わってしまうと改めて課金制に移行しない限り全く何もできないもの

の2つがある。

中にはアプリの説明文でそのことを説明してあるものもあるが、1)かと思ってダウンロード/インストールすると 2)だったりしてがっかり、なんてことも多々ある。

2)のケースって、考えてみたら、「タダでインストールはさせてやるけど、金払わないと何もさせないぞ」と言われているわけで、こっちだって「ふざけるな。金払ってまで使ってやる気はさらさらないぞ」と言い返したいことだってあるのだ。

大体インストールだけさせてそっから先は有料ってどういう了見なんだ?

最初からそう言ってくれれば無駄なインストール(&アンインストール)する必要はないのに、はなはだ残念である。

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Tuesday, April 15, 2025

『深夜の美学』菅原正豊(構成:戸部田誠)(書評)

【4月15日 記】一般の人はあまりそういうことをしないのかもしれないが、僕は番組のエンディングを真剣に見て、演出家やプロデューサー、制作プロダクションの名前などをチェックしている。

それはお前が放送局に勤めていたからだと言われるかもしれないが、そうではない。僕は中学生ぐらいからずっとそれをやってきた。

当時はプロデューサーという人が何をする人かなんて全く知らなかったが、「でも、この人がプロデューサーの番組は全部面白いな」と気づいたのである。

逆にそういうことに気づいたから、番組制作に興味を持って、放送局に入社したのかもしれない。

ただし、僕が菅原正豊という人名、およびフルハウスあるいはハウフルスという社名をはっきりと認識し、未来永劫記憶に刻み込んだのは就職してからである。多分、『クイズ世界は SHOW by ショーバイ!!』や『夜も一生けんめい。』、『マジカル頭脳パワー!!』など、日テレが大躍進を遂げたころの番組を彼が手掛けていたころだろうと思う。

『タモリ倶楽部』や『メリー・クリスマス・ショー』、『平成名物TV いかすバンド天国』も菅原が作った番組だったということは少し遅れて知った(あるいは、気づいた)のである。

ちなみに、それ以外にも『タモリのボキャブラ天国』、『チューボーですよ』、『THE夜もヒッパレ』、『出没アド街ック天国』、『どっちの料理ショー』、『秘密のケンミンSHOW』など、菅原正豊/ハウフルスが手掛けた大ヒット番組は枚挙に暇がない。

そんな番組の中で僕が一番好きなのは 1986年と 1987年のクリスマスに放送された『メリー・クリスマス・ショー』である。

桑田佳祐、松任谷由実らの超豪華オールスターキャストで作られた音楽バラエティで、幸いにして僕は生で観ており、かつ VHS に録画もしており、今ではそれをデジタルに落とした DVD が僕の宝物である。

このときに出した赤字が元で会社が潰れたというのは有名な話だし、この本の中で菅原が明石家さんまについて語っている部分が彼の制作の姿勢を表しているようでとても興味深い。

司会は、桑田くんと相談して、さんまさんが面白いんじゃないかっていう風になったんだと思いますね。桑田と仲が良かったですから。僕は付き合いがなかったし、正直、あまり得意ではないタイプ。さんまさんは、番組を自分がやりたい色にするタイプだから。でも、やっぱり、“桑田佳祐の番組”というのがあったから、そこはあまり我を出さずにやってくれました。さんまさんは、番組に参加してものすごく感動してくれましたよ。だから、翌年も頼んだら、すぐに出てくれましたから。

それ以外の番組でいうと、『イカ天』は最初の1、2回は見逃したのだが、途中からは熱中して全回隈なく見尽くしたし、『タモリ倶楽部』の「空耳アワー」はこれまたそのうちのいくつかを DVD に保存していて、YouTube で過去映像を漁ったりもしている。

とにかく、この人の作るものはべらぼうに面白いのである。

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Monday, April 14, 2025

『婚活マエストロ』宮島未奈(書評)

【4月14日 記】 表題は婚活マエストロだが、この小説の主人公は一部で「婚活マエストロ」と呼ばれている鏡原奈緒子ではなく、彼女が勤めるドリーム・ハピネス・プランニングのイケていないホームページの文章の執筆を頼まれた、40歳の冴えない独身フリーライター猪名川健人であり、彼の視点で物語は語られる。

ひょんなことから健人は“ドリハピ”のパーティに体験参加したり、助っ人として運営を手伝ったりするようになる。参加したバス旅行パーティではひとりの女性といい感じになるが、結局カップル成立までには行かなかった。

そんな展開を読みながら、正直、この物語がこの後どういう展開をするのか見えなかった。

そして、途中まで読み終えての素直な感想は、成瀬あかりのシリーズ(『成瀬は天下を取りにいく』『成瀬は信じた道をいく』)ほどは面白くないな、と言うか、どっちかと言うと、この小説はそれほど面白くもないなというものだった。

非常にエキセントリックで、でも妙に人を魅きつける成瀬あかりのような人物を主人公にしたあの2作と比べると、こちらの小説は飛び道具に欠ける感じがしてしまうのである。

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Saturday, April 12, 2025

映画『シンディ・ローパー レット・ザ・カナリア・シング』

【4月12日 記】  映画『シンディ・ローパー レット・ザ・カナリア・シング』を観てきた。

観ている最中に何度も目頭が熱くなり、True Colors のところでついに落涙してしまった。

Girls Just Want to Have Fun を初めて聴いたときの衝撃は今もって忘れない。心を揺さぶられた。

この歌は女の子たちを元気にさせる歌だったが、僕は東京支社の営業第一部に配属されて間もない、精神的に一番しんどかった時期で、この歌にとても励まされた。

そう、When the working day is done, boys also want to have fun なのである。そう叫んで踊りだしたくなるような作品だった。あれからずっと Cyndi の熱烈なファンである。もちろんスタジオ・アルバムは全て持っている。

日本公演にも2回行った。1986年9月13日と 1989年9月19日。どちらも日本武道館。

今回の日本公演もチケットを獲ろうと頑張ったのだが、本公演、追加公演ともに果たせなかった。

この映画は本人、シンディの姉と弟、そして関係者たちのインタビューとミュージック・ビデオ、ライブやテレビ出演時の過去映像、及びさまざまな資料映像で構成された、シンディ・ローパーの軌跡を幼少時からたどったドキュメンタリである。

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Friday, April 11, 2025

『南沙織 コンプリート・シングルコレクション』

【4月11日 記】  一昨日の記事で南沙織に触れ、久々にその強い響きを聴いたら、もうたまらなくなって、2枚組CD『GOLDEN☆BEST 南沙織 コンプリート・シングルコレクション』を買ってしまった。

そもそも彼女のデビュー曲の『17才』から 10曲目の『ひとかけらの純情』のうち、唯一カバー・バージョンである 8曲目の『カリフォルニアの青い空』を除いて、すでに全ての音源を持っているのだが、改めて YouTube でいろいろ聴いているうちに他の曲、たとえば『夏の感情』や『想い出通り』、『哀しい妖精』などの音源もどうしても手許に置いておきたくなって、辛抱たまらず買ってしまった。

この CD の良いところは、時折B面の曲を挟みながら、発売順に時系列で収録されているところである。

時間があるときにまとめて一気に聴こうと思ってまだ聴いていないが、もう聴く前からワクワクしている。

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Wednesday, April 09, 2025

春の風が吹いていたら

【4月9日 記】 昨日、友人と2人で三浦半島の三浦・岩礁のみちをハイキングで歩いてきた。11km、3.5h、20,000歩。

ひと気の少ない海岸を涼しい風を浴びて歩きながら、友人は南沙織の『17才』(♪ だーれもいない海)や『潮風のメロディ』(♪ 潮風に吹かれると思い出すあなたのこと)を口ずさんでいたが、僕の脳内で無限ループしていたのは吉田拓郎の『春の風が吹いていたら』だった。

シングルカットはされておらず、かなり初期からの拓郎のファンでなければ知らない曲だ。拓郎のレパートリーでは数少ない非自作曲で、作者は詞・曲ともに伊庭啓子である。

最初にリリースされたのは、拓郎の最初の奥さんである四角佳子(元・六文銭)とのデュエット版だったが、久しぶりに聴きたくなってYouTube を検索してみたら、なんと南沙織とのデュエット版があってびっくり。

友人が南沙織を口ずさんでいたのと偶然の一致であるだけではなく、拓郎ファンなら多分誰でも知っていると思うが、『シンシア』という曲もあるくらいで(これはかまやつひろしとのデュエットだった)、彼は南沙織の大ファンなのである。

(ちなみに、古い時代の話なので知らない人もいるだろうから書いておくと、Cynthia は南沙織の英名での愛称である)

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Monday, April 07, 2025

nanaco 退会

【4月7日 記】  先月スウェーデンとデンマークを旅してこれらの国でのキャッシュレス決済の進展度合いに驚いたのだが、では、日本ではキャッシュレスを使っていないかと言うと、そうではない。

もちろん現金決済もしているが、一方でカードやアプリで決済することもかなり多い。

僕らが社会人になってクレジット・カードを使い始めた頃って、例えばこの店では JCB しか使えない、あの店では VISA でしか払えない、みたいなことがいっぱいあって、それに対応するために何種類ものカードを持っている必要があったが、それと同じことがアプリ決済時代の初期にはあったわけで、その名残で僕の iPhone にもいろんな決済用アプリが入っている。

しかし、これもそろそろ整理すべき時期に来ている。今では多くの店が複数の決済手段に対応していて、そんなにたくさん持っている必要がないのである。

幸いにして、まもなく LINE Pay が PayPay に統合されるので、自然にひとつ減ることになるが、あともうひとつぐらい何かないかと考えたときに思い浮かんだのが、最近全く使っていない nanaco だった。

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Saturday, April 05, 2025

映画『片思い世界』

【4月5日 記】  映画『片思い世界』を観てきた。

広瀬すず、杉咲花、清原果耶という旬の女優3人の共演。

この中では杉咲花が一番好きかな。子役時代から長いキャリアのある女優だが、僕が認識したのは 2013年の TBS金曜ドラマ『夜行観覧車』での鈴木京香と宮迫博之が演じた夫婦の娘役。

当時彼女はまだミドル・ティーンだったが、「めちゃくちゃ巧い!この娘は一体何者だ!」と思って名前を確かめて記憶に刻み込んだ。

清原果耶の名前を憶えたのは 2017年の映画『3月のライオン』前後編で、主人公の神木隆之介と交流する一家の娘役だった。「この娘、なんか、とても良いなあ」と思って名前を調べたのだが、その時点では正直言って将来主演級の女優になるとは思っていなかった。

広瀬すずをいつ知ったのかについては、はっきりした記憶はない。演技力をしっかりと認めたのは映画『海街diary』(2015年)か『ちはやふる』3部作(2016~2018年)あたりだろうか。

姉妹のように仲良く同居している3人の女性の物語なのだが、今日現在の年齢で言うと、26歳の広瀬すずが長女っぽい美咲を、27歳の杉咲花が次女っぽい優花を、そして 23歳の清原果耶が末っ子っぽいさくらを演じている。

冒頭、夜の街をさくらが歩いて来る。前から歩いてきた人を大げさによけ、通りすがりの人が落とし物をしても知らん顔して通り過ぎる。これは何かあるなと思ったのだが、映画を4分の1ほど見終えたところで種明かしがある。

ああ、なるほどそういうことだったのか!と思う。道理で予告編を見ても映画サイトの解説を読んでもどんな映画なのか今イチ分からなかったはずだ。

最初からこの設定を知った上で映画を見ると何か支障があったり感動が損なわれたりするとは僕は思わないが、しかし、この設定については予告編でも解説文でも明らかにされていなかったので、僕としてもここに書くわけには行かない。

書けないけど、ま、観てほしい。そういう物語なのである(笑)

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Thursday, April 03, 2025

甘いもの

【4月3日 記】  成人男性、とりわけ酒飲みに多いのですが、甘いものが苦手って人いるじゃないですか(もちろん、女性やそれほど酒飲みでない人にもいますが)。僕はあれが不思議で不思議で仕方がありません。

だって、子どもは大抵甘いものが大好きじゃないですか。

僕には子どものころから大好きでいまだに好きなものもありますし、子どものころは苦手だったけど今では美味しく食べているものもありますし、子どものころからずっと嫌いな食べ物もありますが、子どものころは好きだったのに大人になったら嫌いになったものなんてひとつもありません。

もちろん、例えばチープなジャンクフード的な食べ物の中には、「子どものころはどうしてあんなものを旨い旨いと言って食べていたのだろう?」と思わないでもないものもあるにはあります。でも、そういうものが今は嫌いかと言えばそんなことは全然なくて、むしろ時々無性に食べたくなったりもします。

つまり、子どものころ好きだったものはそう簡単に嫌いにはならないと思うんですよね。

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Tuesday, April 01, 2025

『楽園の夕べ ルシア・ベルリン作品集』ルシア・ベルリン(書評)

【4月1日 記】 誰かが書いた書評をどこかで読んだら面白そうだったのと、訳者が岸本佐知子だったので選んだ短編集だが、初めて読むルシア・ベルリンは、とても鮮やかで、悲しげな物語を書く人だった。

冒頭の『オルゴール付き化粧ボックス』はまるで 20世紀初頭に書かれた小説のようで、ひょっとしてこの作家は常にこういう設定の物語を書く人なのかなと思ったのだが、読み進むと、作風は作品によってかなり違ってきた。

舞台となっている場所もチリであったりニューメキシコであったりニューヨークであったりする。登場人物の境遇や職業も随分違う。金満家であったり極貧に喘いでいたり、華やかな人生であったりアルコール依存症に沈んでいたり…。

このバラバラは何なんだ?と思いながら読んだのだが、これらは全て作者ルシア・ベルリンの実人生/実体験をベースにして書かれたものであるらしい。ということは作者自身がこのような浮き沈みの激しい人生を送ったということだ。

訳者あとがきにはこう書かれている:

彼女にとって小説を書くということは、浄化のような作業だったのかもしれないと思えてくる。事実のままでは語りえない体験に、フィクションという形で居場所を与えること。消し去るのではなく、新たな真実として存在させること。

そういう記事を読むと、ああ、なるほどなあと思う。

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