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Wednesday, February 05, 2025

「キネマ旬報」2月号増刊(1)

【2月5日 記】 今年もまた『キネマ旬報』2月号増刊が届いたので、僕が年末に書いた「『キネマ旬報』ベストテンの20位以内に入ってほしい邦画10本」とつきあわせてみたい。

まず、僕が選んだ 10本を改めて挙げておく:

  • デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章/後章
  • 青春18×2 君へと続く道
  • ミッシング
  • あんのこと
  • 違国日記
  • 劇場版モノノ怪 唐傘
  • ナミビアの砂漠
  • 八犬伝
  • 本心
  • 雨の中の慾情

毎回書いている通り、これは、

他の映画賞ではなく「キネ旬の」
10位以内ではなく「20位以内に」
「入るだろう」ではなく「入ってほしい」

10本である。そして、上記は僕が観た順番であって評価の高い順ではない。

さて、まずは 2024年キネマ旬報日本映画部門の1位から20位(4位、14位、19位は同点で複数作品)までを提示する:

  1. 夜明けのすべて
  2. ナミビアの砂漠
  3. 悪は存在しない
  4. Cloud クラウド
  5. ぼくのお日さま
  6. ぼくが生きてる、ふたつの世界
  7. ルックバック
  8. 青春ジャック 止められるか、俺たちを2
  9. ラストマイル
  10. あんのこと
  11. 箱男
  12. 基盤斬り
  13. 侍タイムスリッパー
  14. 一月の声に歓びを刻め
  15. 正体
  16. ゴールド・ボーイ
  17. 十一人の賊軍
  18. 違国日記
  19. 辰巳
  20. ミッシング

例年通り突き合わせてみると、僕が入ってほしいと思った作品のうち 20位以内に入ったのは、2位の『ナミビアの砂漠』、10位の『あんのこと』、18位の『違国日記』、19位タイの『ミッシング』で、去年と同じ4作品である。

「今回も大きく外すことになるかな?(笑)」と書いたが、去年に引き続いてそれほどでもなかった。

で、今回も僕が推さなかったけれどキネ旬が選んだ作品について先に触れて行こう。

『夜明けのすべて』はまことに素晴らしい作品だった。僕も最初に 10本を選ぶときの候補には入れていたのだが、最後に削った作品だ。

単に他にもっと応援したい邦画があったというだけのことで、この作品が高く評価されることには何の異論もないが、ぶっちぎりの位で、しかも読者選出でも同じくぶっちぎりの1位だったのには少し驚いた。

『悪は存在しない』は観ていない。僕は滝口竜介監督とは少し相性が良くなくて、パスした作品だ。

『Cloud クラウド』は大好きな黒沢清監督で、これもとてもよくできた面白い映画だったが、結果的には選ばなかったというだけ。しかし、この映画がベストテンに入るとは予想していなかった。さすがキネ旬。

『ぼくのお日さま』はずっとリストアップしていたのだけれど、結局見逃してしまった映画。

『ぼくが生きてる、ふたつの世界』も、久しぶりの呉美保監督作品だし、見ようかどうかと思っている間に見そびれてしまった作品。

『ルックバック』はとても上質のアニメで、高く評価されることには何の異論もないが、僕は去年のアニメとしては他の作品のほうを推したということだ。

『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』はパスした作品。前作は面白かったが、所詮続編だし、かつ前作と違って知らない監督だし、多分面白くないだろうと判断してパスしてしまった。

『ぼくのお日さま』もそうだが、僕は基本的に監督で映画を選んでいるので、自分が知らない監督だとパスしてしまいがちだという弱点があるのは確かだ。

『ラストマイル』はちょっと驚いた。いやぁ、確かにこの映画面白かったですよ。でも、この手の作品をキネ旬は選ぶのか! しかも、野木亜紀子が脚本賞も受賞している。

『箱男』もびっくり。これも面白かったけど、まさか 11位とは! この辺りは逆にキネ旬らしいけど。

『基盤斬り』は観ていない。『侍タイムスリッパー』は観たが、いずれにしても時代劇には僕はあまり興味をそそられない。

『一月の声に歓びを刻め』と、先に書いてしまうと、『辰巳』の2本は、「それ、何でしたっけ?」という感じ。

で、調べてみると『一月の声に歓びを刻め』は三島有紀子監督 ──この人も僕とは相性が悪いんですよね。だから即パスしたんだと思う。『辰巳』は、これまた知らない監督だったということもあって、文字通り完全ノーマークだった。

『正体』も良かった。ここに入っていても不思議はない。

『ゴールド・ボーイ』はめちゃくちゃ久しぶりに観た金子修介監督作品で、確かに面白かったし、随所に巧さの見える作品だったが、まさかこんなに高く評価されるとは思っていなかった。多分審査員の中にも金子修介ファンが多くいるんじゃないかなと思う。

最後に、『十一人の賊軍』は見ようかなという気はあったが観ていない。白石和彌監督は嫌いではないのだが、僕とは今イチ相性が良くない気がする。

続いては、逆に僕は推していたがキネ旬には選んでもらえなかった6作品が何位だったかを見てみる。

『雨の中の慾情』は 21位で惜しかった。でも、この映画は最低でもこのくらいには高く評価されて当然だと思う。特にキネ旬の場合は。

『八犬伝』が 28位。ま、30位以内だから順当かな。

『本心』が 36位タイ。ま、これもそこそこかな。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章/後章』が 50位タイ。『ルックバック』ほど万人受けするアニメ作品でないことは分かるのだが、この画力は凄まじかったのに、果たして審査員は皆ちゃんと観てるのかな?という気がする。

同じアニメ作品ということで先に書いてしまうと、『劇場版モノノ怪 唐傘』が選外、つまり誰も1点たりとも入れていないのには納得が行かない。この圧倒的な表現力は、果たして審査員の目に届いていなかったのだろうか?

最後に『青春18×2 君へと続く道』が 102位タイ。まあ、こんなもんなのかな。僕は藤井道人という監督が好きではないと言うか、好きとか嫌いとか言う前にまず観る気にならないのだが、珍しくこれは観て、珍しくこれは良かったんだけどな。

以上がとりあえず例年通りやってみた 2024年の総括。そして、例年通りこの続編も近日中に書く

あと、もう1つだけ書いておくと、主演女優賞は河合優実がぶっちぎりで受賞したが、草笛光子に2票入っていたのは嬉しかった。

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