『脳内ポイズンベリー』
【1月3日 記】 WOWOW で録画しておいた『脳内ポイズンベリー』があまりに面白かったのでひとこと書いておきたい。
佐藤祐市監督は初めて観た『キサラギ』でげっそりして、それ以来観ていない監督だ。そんなこともあって、上映時にはこの映画を見る気は全く起こらなかった。
内容的にも、主人公いちこ(真木よう子)の頭の中でいろんな感情が交錯するさまを擬人化した単なるコメディだと思っていたのだが、そもそもその認識が間違っていた。
脳内にいる5人 ── 優柔不断な議長の吉田(西島秀俊)、ポジティブ思考の石橋(神木隆之介)、ネガティブ思考の池田(吉田羊)、その時その時の一瞬の感情であるハトコ(桜田ひより)、記憶の岸(浅野和之) ── によるやり取りが面白いのだが、それだけの映画ではなかった。
同じような設定のディズニー映画『インサイド・ヘッド』が評判になったのも同じ 2015年だが、(僕は観ていないのにこんなこと言うのは不適切かもしれないが)これはそんな映画とは全く違って、何と言うか、完全に大人の映画である。
大人の恋、大人の心の迷い、大人の幸せを描いた大人の映画であった。
そして、その5人の感情を体現する真木よう子の演技が、もうどうしようもなく素晴らしい。やっぱり良い女優である。
脚本は相沢友子だった。『セクシー田中さん』の件ではえらい騒ぎになり物議を醸したが、この人も相当しっかりとした構成力を持つ作家である。とても良くできた脚本だった。
そもそも妻が観たいと言って録画したのだが、観る前には 15分もしたら妻が「もういい」と言い出すのではないかと思っていたが、彼女も最後まで観てとても面白かったと言っていた。
やっぱり僕は妻の映画を選ぶ眼には到底敵わないと思った次第。
いや本当に面白かった。
桜田ひよりがあまりに子供なのでびっくりしたが、そうか、この当時彼女はまだローティーンだったのだ。でも、この当時からどことなく魅力がある。真木よう子もそうだが、桜田ひよりもやっぱり好きな女優のひとりである。
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