鈴本演芸場
【12月5日 記】 昨日妻と2人で上野の鈴本演芸場に行ってきた。一度行ってみたいと思っていたのだが、妻のほうから突然「ねえ、寄席に行ってみない?」と誘われて、妻も同じ気持ちでいたことを初めて知った。
テレビ以外で寄席を見たことがないわけではない。うめだ花月やなんばグランド花月には行ったことがある。とは言え、その多くが「番組収録立合い」という仕事上の用件で行ったものだ。
吉本興業の舞台では、まあ、落語は全くやらないというわけではないが、ほとんどが漫才の類で、プラス、何と言ってもメインは「よしもと新喜劇」である。
桂三枝(当時、現在は文枝)の新作落語独演会を聞きに行ったことはあるが、これも仕事で、席が空いていなかったので立ち見かなと思ったのだが、カメラマンが所謂「カメラ席」に少し余裕があると言ってくれて、カメラマンとセンターカメラの直前、すぐ下で見たのだが、カメラマンから「あまり動かないように」と言われて窮屈だったのを憶えている。
しかし、その桂三枝独演会にしても数席だった。昨日の鈴本(12月上席昼の部)は落語が9席。こんなにまとめて落語を聞くのは初めてで、聴き応えがあるとはこのことだ。結構楽しめた。
それ以外に漫才、浮世節、太神楽曲芸、マジック、ギター漫談があったのだが、ギター漫談の芸人が急に来られなくなって、さっき見たばかりのマジックのおねえさんが再登場して穴を埋めた。
曲芸とかマジックなんておじいさんとおばあさんの芸人ばかりで古ぼけたことをやっているのだろうと思っていたのだが、全くそんなことはなく、こちらも面白かった。
そして、本番開始前に所謂「前座」の落語がある。前座だから、可哀想に香盤表に名前も載っていない(「めくり」はあった)。
前座とは言え 10分間も与えられており、しかも、そこそこしっかりした芸であったので驚いたが、彼が一番受けたのは、噺の途中で小道具の手ぬぐいを忘れてきたことを思い出して中座して取りに戻ったところだった。
この前座さんが、始まる前と終わった後にはドンドコ太鼓を叩き、観客への注意事項のアナウンスもやり、演者交代の際には所謂「めくり」をめくり、座布団を裏返したり取り替えたり羽織を片付けたりお茶を持ってきたりする。
ただ単にめくりをめくっているのではなく、場内を移動している客がいると、その客が席に就くのを待ってからめくりをめくる。非常によくできたシステムだ。
あと驚いたのは、席で弁当を食べながらとか、ビールを飲みながら見て構わないということ。歌舞伎とはえらい違いだ。
で、江戸の噺家の名前を僕はほとんど知らなかったので、行く前にググってみたら、なんと9人のうち最初のひとりを除いて全員「真打ち」だったので驚いた。寄席ってみんなそんな感じの構成なんだろうか。
なんであれとても面白かった。妻と「しばらくはもういいけど、またいつか行きたいね」と話した。
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