マークと識別
【11月18日 記】 フロッピーディスクを象った「保存」のアイコンを見るたびに、このマーク、一体いつまで使うんだろ?と思う。事実若い人の多くはなんでこれが保存を意味するのか分かっていないらしい。
しかし、それにしても「保存」の新しいマークを考えるのも難しい。USBフラッシュメモリを図案化するか?
しかし、最近ではクラウドに保存するほうが多いのではないか?
かと言って雲マークなんかにしてしまうと「保存」ではなく「アップロード」の意味になってしまいそうだし…。
ことほど左様にアイコンやマーク、ピクトグラムなどを考えるのは難しい。
ピクトグラムと言えば、たとえばすぐに思い浮かぶのがトイレのマークだ。
男子トイレの男性の人形(ひとがた)、女子トイレの女性の人形。この2つが対になっていることによって、全く知らない人でも「あ、トイレなのかな」と思うはずである。
男子トイレのマークは青だったり黒だったりする。女子トイレのマークは大抵赤かピンクだ。そして男子トイレの人物はズボン、女子トイレの人物はスカートを穿いている。
男がネクタイを締めていたり女がリボンを付けていたりするバリエーションもある。
でも、これらはジェンダー・バイアスの最たるものである。
Twitter の初期のころに、うっかり「女の子はいいなあ、スカートが穿けて」と呟いたら、(正式名称は忘れてしまったが)「スカート男子の会」みたいな団体の人から「男だってスカート穿くよ」とのリプをもらったことがある。
抗議っぽいメンションでもなかったし、そんなに怒っている感じでもなかったので良かったが、確かにそうだ、と自分の迂闊さを反省した。
男が黒や青で、女が赤かピンクというのもとんでもない時代錯誤である。男だってピンクを着る。
そう、確か雑誌『メンズノンノ』創刊号の巻頭特集が「ピンクが着たい!」だった。調べてみたらあれは 1986年だ。
しかし、ここからが今日書きたかったことなのだが、何かのテレビ番組で同じようなことをピクトグラムのデザイナーに質問した人がいたのだが、その時のことが僕は忘れられないのである。
男が青とか女がスカート穿いているというのはあまりにステレオタイプではないか?と訊かれたそのデザイナーはこう答えた:
「良いんです。大事なことはひと目で区別がつくことなんです」
そうか、そういう割り切りもとても大切なんだ、と深い感銘を覚えた。
僕らが生きていく上でも、そういう割り切りが必要になってくる局面があるような気がする。「保存」アイコンの新しいデザインもまたそうあるべきである。
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