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Friday, October 25, 2024

映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』

【10月25日 記】 映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』を観てきた。Zot

「人気アイドルグループ日向坂46 の4期生メンバー全員が出演する青春群像劇」という謳い文句の映画を、そのメンバーを一人も知らない奴が観るとは、映画を作った人たちはよもや想定していないだろうが、僕の場合はあり得るのだ。

何故なら、僕は監督で選んでいるから。

熊切和嘉監督は、たまに『#マンホール』みたいな失敗作もあるが、『私の男』を筆頭に、良い映画をたくさん撮っている。

唯一心配だったのは、群像劇だけに、メンバーを知らない僕が見ると誰が誰だか分からなくなるのではないか、ということだった。

だが、映画はそれぞれのキャラをよく描き分けていたので、映画を見ていてこんがらがることはまるでなかった。パンフを読むと、事前にメンバーにインタビューして、それぞれの個性を役柄に織り込んであるのだそうだ。

この映画を見てまず驚いたのは、よくもまあここまで touristy な場所ばかりを選んでロケができたものだ、ということ。僕は一人も知らなかったが、それぞれのメンバーを推すファンが相当数いるはずだ。よくも騒ぎにならなかったものだ。

物語は長野県の高校の東京への修学旅行を描いたもの。女子校という設定にはしていないので、多少男子も絡むストーリーになっている。

各班に分かれて自由行動の日があるのだが、班長の池園(正源司陽子)は張り切りすぎて一日で東京の全部を見て回るスケジュールを立てた。しかし、他の4人のメンバーには行ってみたいところややりたいことなどがそれぞれあって、みんなはぐれたふりをしてバラバラにどこかに行ってしまう。

池園は仕方なくひとりで東京中を巡るが、途中で他のメンバーとも出会い、またカメラは他の4人の動きを追いながらストーリーを編んで行く。日向坂4期生のメンバーは現在 11人なので、上記の5人を除く6人が別班あるいは他校の生徒として登場する。

熊切監督は

元々アイドルの方に興味はなかったのですが、(中略)“真っ当な青春映画”を1本くらいは撮ってみたい気持ちもあり、挑戦することにしたんです。

と言っている。

ほぼ全員が演技未経験で、中には明らかに「こいつ下手だな」と感じてしまう子もいたが、でも全体に清々しくて悪くなかった。みんな瑞々しくて本物の高校生に見えるなと思ったら、11人のうちにはまだ十代のメンバーもかなりいるようだ。

日向坂の曲も使ってはいたが、テーマ曲を日向坂にしなかったのも成功している。ともかく出だしから BGM を活かして非常にテンポ良く進んでいたし。

映像的に凝ったところは特になかったように思うが、この手の作品では、東京の風景をバックに彼女たちが魅力的に撮れればそれで良いと思う。

そして、全体としてちゃんと青春映画になっているところが偉いと思った。基本的に彼女たち、とりわけリーダーの池園の成長物語という形にきれいに取りまとめられていた。

その一方でこれが東京観光地巡りになっているというところもまた面白かった。

しかし、月島で別れて1時間ぐらいの間に築地で昼飯食ってすぐにスカイツリーの近所まで戻るのは無理じゃない?

とか、

そこからそんなに早く新宿には着かないだろう?

とかいろいろ思いながら観た。

途中から出てくる真飛聖が、なんでそんなにあちこちに出現するのか?という謎も最後には解けたし(笑)

ひとりも知らずに観たのだが、その中ではやっぱり主演の正源司陽子が飛び抜けて可愛く魅力的だと思った。

彼女はまだ 17歳、東京でオーディションを受けに行った智紗役の渡辺莉奈はまだ 15歳である。

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