« シティ・ポップと僕 | Main | 僕とPokémon GO »

Monday, August 19, 2024

野球の球種はなんでややこしくなってきたか

【8月19日 記】  僕らの世代は小さい頃から野球をやり、小さい頃からプロ野球を観てきたが、野球の変化球というのはいつからこんなに増えたんだろう?と思う。

僕らが小学校低学年のころはせいぜいカーブとシュートくらいだった。

まっすぐ来るのが直球、右投手が投げて右打者の外角に曲がるのがカーブ、内角に曲がるのがシュートという簡単な見分けだった。もっともシュートというのは日本だけの呼び方のようだが。

400勝を挙げた金田正一はまさにカーブで一世を風靡した。彼の、縦に落ちるカーブは特にドロップと呼ばれた。

カーブは今でも多くの投手が投げているが、シュートのほうは肘を痛める危険性があるので投げる投手は減ってきている。

そのうちに、落ちながら曲がるカーブに対して、あまり落ちずに平行に近い感じで滑るように曲がるスライダーという変化球が出てきた。

それ以外だとフォークボールというのがあったが、これは当時はまさに魔球という感じの球種だった。代表格はもちろん阪神の村山実だ(その次は大洋の遠藤一彦かな)。

あとは小山正明のパームボールなんてのもあったが、パームなんかは小山しか投げる投手がいない、これも魔球の類だった。

つまり、多くの投手にとってあくまで基本はストレート、カーブ、シュートだったのである。

球種がどんどん増えてややこしくなってきたのはいつごろからだろう?

そんなにボールをひねらなくても握りで変化するということに誰かが気づいたということじゃないかな?と僕は思っている。

最初はスプリット・フィンガード・ファースト・ボールだったかな。当初は SFF なんて略されていたけれど、今では単にスプリットと呼ばれる。直球の握りで指を開いて投げると球が微妙に変化する。

チェンジアップというのもしばらくわけがわからなかった。変化の仕方がネーミングから想像できないからである。

辞書を引くと、

an unexpectedly slow ball thrown in order to surprise the batter

とか

an occasion when the pitcher throws the ball more slowly than usual in order to trick the batter

などと書いてあるから、本来はスピードに変化をつけるという意味だったのかもしれないが、この球種は単なるスローボールではない。スローボールは最初からゆっくりした動作で投げる。チェンジアップとはフォームが違うのである。

ボールを鷲掴みにして直球と同じ速さの腕の振りで投げるこの球は、間違いなく変化する。シュートに近い変化をすることもある。変化の仕方は投げ方によって異なるようだが。

ストレートと同じフォームで投げられるため体への負担が少ないので、今では多くの投手が投げている。

ま、以上のようなことは野球ファンなら誰でも知っていることで、何を今さらという感じかもしれないが、僕が書きたいのは変化球のネーミングについてである。

近年なんで変化球が分かりにくくなってきたかと言えば、そのネーミングのせいだと思う。

昔はカーブとかドロップとかスライダーとかシンカーとか、ボールが辿るコースによって名前がつけられてきた。

ところが、フォークボールやパームボール、ナックルなどを皮切りに、スプリット、ツーシーム、フォーシームなど握り方によるネーミングが増えてきたからである。カットボールなんてのもそうかな。

肘や手首を痛めないためにひねらない投げ方が主流になってきたから、そうなると握り方で名前がつくのも仕方がないと言えば仕方がない。同じ握りでも投手によって変化の仕方は微妙に違うし…。

だから今は名前を聞いてもどれがどんな変化をするか想像がつかない球が多い。野球中継を観て憶えるしかないのである。

そういうのって、新たにファンになる人にとっての障壁になったりしないのだろうか?とちょっと心配しているオールド・ファンの僕であった。

|

« シティ・ポップと僕 | Main | 僕とPokémon GO »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« シティ・ポップと僕 | Main | 僕とPokémon GO »