サブスクリプションに思う
【7月23日 記】 有料コンテンツが次第に増えている気がする。
例えば note なんかでも、最初は無料記事を書いていた人が、読者が増えてくると有料に変えたりすることもある。そして、その多くはバラ売りではなくサブスクリプションである。
「1本100円くらいだったら出してくれるだろう。月額500円くらいならそんなに負担にはならないだろう。だったら有料にしても良いかな」みたいに謙虚に考えて始める人もいるだろう(もちろん、不遜にも「俺様ぐらいになると、ほんとはもっと払ってもらって当然だ」と思ってやっている人もいるのだろうが)。
確かに、1本1本は大した額ではない。しかし、前にどこかに書いたかもしれないが、収入の乏しい年寄りになってしまうと、「毎月定額いくら」というのは却々きついのである。もし来年死んでしまうのであれば余裕で払えるのだが、100歳まで生きるかもしれないと考えると途端に心細くなる。
一月500円でも仮に合計5つのサブスクリプションに支払うと一月2,500円、年間3万円である。もしも一月1,000円なら6万円だ。これを 30年続けると 180万円になる。
大した額じゃないじゃないかと思われるかも知れないが、読みたいなと思うコンテンツは軽く 10 を超えている。だから、やっぱり厳選しないと危ないのである。収入が乏しいだけに払い続けることには不安感が伴うのである。
それにこのサブスクリプションという制度には、内容面から考えても、やはり無駄がある。それは例えて言うなら、「この作家の本は今後全部購入しますよ」と言っているようなものだからだ。
もしも小説がサブスクリプションでしか読めなくなるとしたら、
村上春樹の作品なら、ま、そういう契約をしても良いかもしれないが、川上未映子の作品は今後全部読みたいだろうか?
恩田陸は大好きだけれど、果たして全著作を読みたいと思うだろうか? あるいは読む暇があるだろうか?
いくら成瀬のシリーズが面白かったからと言って、現時点で宮島未奈の作品を今後も必ず読むと言い切れるだろうか?
などといろいろ悩むのではないだろうか。
世の中はまさにサブスクリプション時代だが、その制度にはそういう点で少し抵抗感がある。せめて、バラ売りをもう少し残しておいてくれないかな、と思う。できれば安い単価で。
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