『一度読んだら絶対に忘れない英単語の教科書』牧野智一(書評)
【7月20日 記】 去年の9月に買った本だが、この本は僕には全く響かなかった。
もうちょっと面白いか、最悪でも役に立つかと思ったがどちらでもなかった。あまりに面白くないので途中まで読んで放置してあったのだが、読みきらずに置いておくのが好きではないので、無理やり斜め読みで読み終えた。
語源を解説するのを売りにした本なのだが、「接頭辞の ex- が“外へ”という意味を、pre- や pro- が“前に/先に”を表す」など、あまりに基本的な、ほとんどの人が知っているのではないかという例が載っていて、これを読んでも実利がない。
かと言って、このような本を書く時に ex- や pre- についてひと言も書かないというわけには行かないだろうから、難しいところではあるが…。
また、ex-(外に)+ port(港)で「輸出する」みたいな説明は分かるのだが、im-(内側に)+ pose(置く)で「課す」という意味になるみたいな、なんか雰囲気だけで押してくる説明はよく分からない。他のパートも含めて、こういう説得力に欠けるこじつけや無理筋な解説が多すぎる気がする。
それに export なんて単語は、随分昔にしっかり憶えてしまっているので、わざわざそんな解説してもらう意味がない。ただ、よく見たら「中高六年間の英単語が3つのストーリーでつながる!」という宣伝文句が添えてあるのに気がついていなかった。失敗した。
本の構成も、なんだか思いつきでごちゃまぜに集めましたみたいな感じで統一性に欠ける印象がある。
ちょっと残念な本であった。
この『一度読んだら絶対に忘れない◯◯』というのはシリーズになっていて、この共通タイトルで数多くの本が出版されているが、言うまでもなくこのタイトルは大嘘である。世の中に「一度読んだら絶対に忘れない」ものなんかない。
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