映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』
【3月23日 記】 映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』を観てきた。
この映画については予告編以外一切の予備知識なく見に行った。アニメに詳しくない僕はスタッフ一覧を見ても漫画原作の浅野いにおと脚本の吉田玲子しか知った名前がなかったのだけれど、とにかく予告編が面白そうで、何かピンと来るものがあったから。
果たして、何、このべらぼうな世界観! しかもその総体が見事にコントロールされてる!
3年前の 8月31日に突然宇宙からやってきた直径 5km の黒い母艦がその後ずっと東京上空に浮かんでいる。時折そこから小型船が出てきたりはするが、攻撃するでもなくコミュニケーションを図るでもなく、ただそこにいることによって、住民たちは目に見えないストレスを受けている。
僕は作品をいちいち何かに当てはめたりなぞらえたりして「解釈」するのはあまり好きではないが、これは僕らが現代社会で抱いている閉塞感にストレートに繋がっていると思う。
主人公は女子高生の仲良し5人グループの中でも特に仲の良い2人。
小山門出(かどで、CV:幾田りら)は小学校時代はその「門出」を逆さまにしてもじったデーモンというあだ名をつけられていじめられていた。今は国民的漫画『イソベやん』(これはどこから見てもドラえもんをモデルにしている)が好きなメガネ女子。担任の渡良瀬先生に片思いしている。
中川凰蘭(おうらん、愛称は“おんたん”、CV:あの)はツインテールの個性爆発不思議少女だが、かどでと出会うまでは引っ込み思案のおとなしい女の子だった。
声優にこの2人を宛てたのは大成功だったと思う。
そして、もう何とも説明しにくいのだが、ここで設定されている状況、描かれている気分、そして後半から登場する(しかし、彼らの目的は今ひとつ分からない)宇宙人など、このトータルな世界観にはただただ舌を巻いてしまう。
作画がまたすごい。まさに怒涛の描写である。
如何にもアナログっぽい線画の人物と、恐らくは写真をトレースして描き変えたと思われる実景っぽい背景との調和がすごい──と思っていたら、背景部分は浅野いにおから漫画で使った画のデータをもらってそれを動かしたというからすごい。
宇宙人と日本政府、米軍、政府に宇宙船攻撃の武器を提供する複合企業、そして一般市民の関わりを非常に意味深長に描いて行く作品かと思ったら、かどでとおんたんの小学生時代の回想が途中から入って来て(原作漫画では終盤になって初めて出てきたらしい)、これがまた想像もしなかった展開で、頭がクラクラしてくる。
これ、すごいよ! 久しぶりに興奮した。5/24 に公開される『後章』が待ち切れない!!!
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