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Wednesday, January 31, 2024

三宅香帆の記憶力

【1月31日 記】 最近僕は三宅香帆のことばかり書いているが、また彼女の記事を読んで感心してしまった。

先日読んだのは note で『ゴールデンカムイ』(原作漫画と実写映画)を夏目漱石の『こころ』と対比して、いずれも「生き残った者の罪悪感を描いた物語」であると総括した記事(有料)である。

この読解力、分析力はすごいと思う。

その読み込む力をすごいと思うのも確かだが、しかし、僕にはできないなと思う一番の理由は、度々書いているように、僕は読んだもの、観たものをいつまでもはっきりと憶えていないということだ。

『ゴールデンカムイ』はさすがに映画を見た直後だからまだいろんなことを思い出せるが、例えば『こころ』となると(僕は少なくとも2回読んでいるはずだが)非常に心許ない。

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Monday, January 29, 2024

『ブギウギ』の吉柳咲良を待つ

【1月29日 記】 去年の 12月に NHK BS4K で放送した『アイドル誕生 輝け昭和歌謡』を観て、山口百恵役で出ていた吉柳咲良がとても良かったので名前を憶えておこうと書いた。

そうしたら、暫くして今度は NHK の朝の連続テレビ小説『ブギウギ』に出演が決まったという発表があった。

NHK の朝の連ドラに脇役で出演して注目され、そこから大きな飛躍を遂げた役者は多い。彼女もそんな風になれれば良いなと、僕は大きな期待を抱いている。

──みたいなことを X(twitter)で呟いたら、早速本人が「いいね」してくれた。

『ブギウギ』には実在の歌手や作曲家らをモデルにした登場人物が多数出てくるが、『アイドル誕生』での山口百恵とは違って、今回の彼女が演じるのは架空の歌手である。連続して歌手役での起用というのは、やはり彼女が『ピーターパン』を出発点として多くのミュージカルに出演してきた実績を買うものなのだろう。

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Saturday, January 27, 2024

映画『コット、はじまりの夏』

【1月27日 記】   映画『コット、はじまりの夏』を観てきた。大変良い映画だった。世界の映画賞で 60 を超えるノミネートを受け、42 の賞を獲ったというのも頷ける。

まず驚いたのは画額が4:3であったこと。アイルランドではこれが標準なんだろうか?

それはともかく、冒頭は少し分かりにくいのだが、アイルランドの片田舎に暮らす9歳の少女コット(キャサリン・クリンチ)は、母のお産が終わるまで母方の親戚であるアイリン(キャリー・クロウリー)とショーン(アンドリュー・ベネット)のキンセラ夫妻に預けられて、1981年の夏休み一杯をそこで過ごすことになる。

両親がコットを預けることにしたのは経済的な理由である。それが「口減らし」に他ならないことは、父親のダン(マイケル・パトリック)の台詞の中にときどきあからさまに現れている。

だからと言って、たくさんいる娘たちのうちの末っ子だけ預けてどうする?と思うのだが、逆に言うと、それくらいカツカツの暮らしを送っているということなのかもしれない。後に出てくるが、ダンは過去に博打に負けて牛を手放したりしているのである。

キンセラ夫妻には子供はなく、2人で忙しく牧場を切り盛りしている上に、何かと言うと近所同士のつきあいや助け合いに駆り出される。

アイリンはとても優しい女性だ。コットをお風呂で洗ってやり、「おさがり」の服を着せ、髪を梳かし、水汲みや料理の仕方を教える。

ショーンはぶっきらぼうな男だが、決してダンのようなろくでなしではない。あたかも置き忘れたみたいにしてコットにクッキーをやり、新しい服を買うために街に連れて行ってやり、やがては人で楽しそうに牧場の作業をやるようになる。

コットの足が長いと褒め、だったら足が速いだろうと言い、ドライブウェイの入り口にある郵便受けまでコットに郵便物を走って取りに行かせる。

月夜の浜辺で優しい喩え話を聞かせるシーンはとても美しい。「何も言わなくていい。沈黙は悪くない」という台詞が深く胸に染み込む。

そう、この映画の英題は The Quiet Girl である。

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Friday, January 26, 2024

Mozilla Thunderbird 不具合

【1月26日 記】   昨日から thunderbird で久々に不具合が発生している。

Microsoft の Outlookメール(@live.jp)を読もうとすると、「サーバーへの接続に失敗しました」みたいなエラーメッセージが出るのである。

しかし、メッセージが出るだけで実際には接続しているのである。

正確に言うと、一瞬接続できていない風なのだが、受信トレイを選び直すとちゃんとダウンロードできて、それまでに保存していた各フォルダにもちゃんとメールが残っているのである。

送信のほうも試してみたが、こちらも問題なく送れている。

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Tuesday, January 23, 2024

Netflix & Amazon Prime 鑑賞記録

【1月23日 記】他人に見せるものでも何でもなくて、 完全に僕個人の備忘録でしかないのですが、『ザ・クラウン』を見終えたので一応更新しておきます。

それにしても、『ザ・クラウン』はすごかったです。全60話です。これは圧倒的な労作としか言いようがありません。

毎回1時間前後なので、NHK の大河を凌ぐ長さです。エリザベス女王を演じた女優は4代4名。広大なロケ、膨大なセット。何よりも脚本の出来が秀逸。

最終回で言うと、例えば、女王がリクエストしたバグパイプの演奏が始まると、椅子の拭き掃除をしていた宮廷の掃除係の若い女性が歌い出すところなど、ストーリーの進行上は全く必要のないシーンなのですが、こういうのがジーンと染みてきます。

Netflix では『クイーンズ・ギャンビット』と並ぶ感動の巨編だと思います。

Amazon Prime Video のほうは、最近そそられる作品がなくて、ちょっとご無沙汰しています。

 

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Monday, January 22, 2024

『チーム・オルタナティブの冒険』宇野常寛(書評)

【1月22日 記】 僕は評論家・宇野常寛に結構共感する部分が多い。彼が小説を発表するのは多分これが初めてではないかなと思うのだが、しかし、これを発表するのは勇気が要っただろうなと思う。

何故ならこれを読んで「いろんな有名作家の作品をあれだけ酷評してるからどんな素晴らしい小説を書くのかと思ったら、なんだこんなクソみたいなものを書いたのか」と言われるのが目に見えているからだ。

いや、これを読んでそう言うというより、そう言うために、そんな風に言いたいがために、そう言うことを前提に読む奴が必ずいるだろうと思う。

しかし、僕が思うに、彼は決していろんな作家や作品(小説だけでなく映像作品も)をディスっているのではなく、作者を非難しているわけでも断罪しているわけでもなく、常にその背後にある時代性を批評しているのである。

しかし、そういうことを全く理解できずに感情的になって宇野につっかかってくる読者がいる。彼の著書の中にはそういう読者に対する苛立ちがときどきはっきりと顔を出している。

それを思うと、よくこの本を出したなあ、というよりは、彼は一体どんな心境でこの本を出したのかなと思う。

主人公の僕(森本)は地方都市に暮らす高校生だ。ちょっと斜に構えて、想像力が欠如したまま凡庸な人生を送っている大人たちを、そして、やがてそうなりそうな同級生たちをも軽蔑して、ごく少数の仲間たちとつるんでいた。

そんな彼を理解して何かと目をかけてくれていた葉山千夏子先生が突然死んでしまう。自殺だったとのことだ。そして、そのあとしばらくして、彼とはお互いに一目置き合ってつるんでいた同級生の藤川も失踪してしまう。

この小説の前半はそんな風に進行する。

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Sunday, January 21, 2024

水道使用量に思う

【1月21日 記】 水道料金の推移を見ていてふと思った。

水道代というのは住んでいる自治体によって料金体系や計算基準も違うだろうし、家族構成によって使用量も大きく違ってくるだろう。

我が家の場合、上下水道の使用料ではなく使用量で言うと、兵庫県にいたときは 30㎥ を超えたこともまれにあったが、今の3回目の東京生活では夏場でも 25㎥ を超えることはない。

じゃあ、それはどれくらいの量なのか?

27 が3の3乗であるから、つまり我が家の水道使用量は 3m × 3m × 3m の立方体の入れ物満杯より少ないのである。計算してみると大体一辺が 2.8~2.9m の立方体容器に収まる量で済んでいる。

一辺が 2.8~2.9m の立方体だったら我が家に持ち込めるではないか。玄関からは無理でも、ベランダからだったら入りそうな気がする。いや、幅はなんとか収まっても天井の高さが足りないか。ならば高さを 2m にして 3m × 4m × 2m ならなんとか LDK に収まるか。

ま、そんな計算はどうでも良いとして、いずれにしてもそんなに少ないのか !?

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Friday, January 19, 2024

映画『ゴールデンカムイ』

【1月19日 記】 映画『ゴールデンカムイ』を IMAXレーザーで観てきた。

例によって僕は原作漫画を知らないし、監督も元々はミュージック・ビデオを撮っていた僕の知らない人(久保茂昭)だったが、これは面白そうだと思った。

ちなみに英会話学校の先生(カナダ人)に明日この映画を観ると言ったら、目を輝かせて「え、ゴールデンカムイ!? あれは面白いよ。君は読んだのか? あれは日露戦争の頃の北海道を舞台とした話で、主人公のひとりは日本の青年で、もうひとりは、あの、何て言ったかな、北海道原住民の、あ、そうだアイヌだ、アイヌの娘で、歴史上の実在の人物も出てくるんだ。僕はあの漫画が大好きで全巻読んだ。次回是非感想を聞かせてくれ」と大はしゃぎだった。

で、その日露戦争の二〇三高地の生き残りの「不死身の杉元」(山﨑賢人)とアイヌの少女アシリパ(山田杏奈)が手を組んで、アイヌ民族が倭人に奪われた巨額の金塊を探す話。

その金塊の隠し場所の謎が実に手の込んだ細工になっていて、アイヌから全金塊を奪った男が、網走監獄に収監されている時に、24人の死刑囚に暗号を記した全身入れ墨を施した上で彼らを脱獄させたと言う。24人全員の入れ墨をひとつにしない限り謎は解けない。

その財宝を巡って杉元たちと、鶴見篤四郎(玉木宏)率いる大日本帝国陸軍第七師団と、実は生きていた新選組副長・土方歳三(舘ひろし)が三つ巴の争いをするというもの。

山﨑賢人は『キングダム』に続く長編大作シリーズの主演である。

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Monday, January 15, 2024

映画『ある閉ざされた雪の山荘で』

【1月15日 記】   映画『ある閉ざされた雪の山荘で』を観てきた。

東野圭吾という作家は僕が2、3作読んでげっそりしてそれ以降全く読んでいない作家だが、しかし、この作家の原作がドラマ化されるとどれもこれも結構良いのである(多分脚本家にしてみたら、いいとこ取りで換骨奪胎しやすいのだろうと思う)。

しかも、今回の映画は僕が敬愛してやまない飯塚健監督の作品だ。

重岡大毅、間宮祥太朗、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵という8人の若手(ざっくり言ってアラサー、堀田だけ少し若い)俳優が出演している(他には誰も出てこない)のだが、その8人の顔も名前もちゃんと分かっているというのは、僕のような年寄には珍しいことだ。

その中で僕が特に高く評価しているのは、重岡、岡山、西野、戸塚の4人である。

ものすごく複雑な設定で、とある海辺の別荘で劇団水滸の最終オーディションが合宿形式で行われる。ここまで勝ち残ってきたのは、劇団トップ俳優の本多(間宮)、面倒見が良いリーダー的な雨宮(戸塚)、こじらせ系の田所(岡山)、勝ち気な温子(堀田)、温子といつも対立している貴子(中条)、世間知らずのお嬢様女優・由梨江(西野)と、唯一劇団員ではない久我(重岡)の7人で、トップ女優の雅美(森川)は3次選考で落ちているので、この場にはいない。

ここで演出家が指示したのは、外部との連絡が一切遮断された大雪の山荘という設定。そこで、事件が起きる。その謎を解くのがこの7人に課された課題だが、実際に1人、2人と殺されて消えてしまう。ただし、死体は見つからない。

そんな中で、7人がそれぞれ如何にもその人物らしい反応を示し、疑心暗鬼や対立、混乱もある中で、主に久我が謎を解いていくような展開だ。

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Sunday, January 14, 2024

年賀状減少数

【1月14日 記】   年賀状をクリスマスカードに切り替えてから 18年、そのクリスマスカードもやめてしまって 2年になる。

にも拘らず、いまだにちょこちょこ年賀状をくれる人がいるのは、なんかありがたいと言うか、一方で申し訳ないような気持ちにもなるが、ありがたいとか申し訳ないとか言う以前に、こちらから出していないのに何故くれるのか、気持ち悪いとか不愉快とか言う気はないが、純粋に不思議である。

中には、8年前まで住んでいた西宮市の郵便番号で今の東京の住所宛に年賀状を送ってくる人もいるから、送るほうの人の中にも単に惰性でやっている人もいるんだろうけれど。

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Friday, January 12, 2024

映画『カラオケ行こ!』

【1月12日 記】  映画『カラオケ行こ!』を観てきた。

近年、今泉力哉監督+冨永昌敬監督(『あの頃。』、今泉監督・冨永脚本)や今泉力哉監督+城定秀夫監督(『愛なのに』と『猫は逃げた』。監督と脚本を交代して担当)、是枝裕和監督+坂元裕二脚本(『怪物』)、山下敦弘監督+宮藤官九郎脚本(『1秒先の彼』)など面白いコラボが多いが、恐らくこの組合せが一番期待できるなと思ったのが今回の『カラオケ行こ!』の山下敦弘監督+野木亜紀子脚本だった(しかし、僕は知らなかったのだが、この2人はすでにテレビの連続ドラマで一度組んでいたらしい)。

原作は和山やまの漫画。この人の漫画は読んだことはないが、この人の原作がテレビドラマ化された『夢中さ、きみに。』は毎週見ていた。なるほど、かなりユニークな発想で描く人だ。

今回は組長主催のカラオケ大会でなんとしても最下位を避けたいヤクザ・成田狂児(綾野剛)と、突然成田に歌唱指導を請われた中学のコーラス部部長・岡聡実(齋藤潤)の話。舞台は大阪である。

設定としては大変面白い。しかし、映画が始まってみるとあんまり笑えない。

これは非関西出身者である綾野剛、齋藤潤、芳根京子、坂井真紀らの大阪弁が悉く気持ち悪いからではないかという気がした。単にイントネーションの問題ではないと思う。メリハリのつけ方や間の取り方が根本的に違うのである。だから、関西人としては今イチ乗り切れない。

それが証拠に恐らく関西人中心で揃えたと思われる聡実の同級生たちの会話や、狂児の両親を演じた加藤雅也とヒコロヒーのシーンを観ていると何度か吹き出してしまった。

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Wednesday, January 10, 2024

『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』宗像明将(書評)

【1月10日 記】 これはムーンライダーズのファン/マニアにはたまらない本だ。逆に言うと、ムーンライダーズのファン/マニアでなければ面白くもなんともない本だ。

ムーンライダーズのファンではあるけれどマニアでない人は少ないと思う。彼らのアルバムを 5~6枚だけ持っている人は少ないはずだ。

「1枚聴いてみたけど好きな感じの音楽じゃなかった」とか、「1枚買って良かったから 2枚目を買ったが、それはあまりピンとこなかったのでそれっきりになった」とかいう人はいるだろう。しかし、3枚、4枚と買って気に入ってしまったら今度は全部ほしくなるはずだ。

僕は彼らのアルバムを全部持っているわけではない。つまり、ベスト・アルバムやライブ・アルバム、それにメンバーそれぞれのソロ・ワークやユニットとしてのアルバム、そして他のメンバーと組んだ他のグループの作品を全部取り揃えているわけではない。だが、少なくともムーンライダーズとしてのスタジオ録音のオリジナル・アルバムについては全部持っている。

アルバムが出るたびに毎回毎回傾向が違っていて、しかもそれぞれにこれだけ強い印象が残ると、どうしてもアルバムが出るたびに買い揃えてしまうマニアになってしまうのである。

彼らの作品に『マニアの受難』というのがある。僕はこの歌が大好きなのだが、ライダーズのファンになるのはまさにマニアの受難なのである。

この本は鈴木慶一の 72年の生涯を語ったロング・インタビューである。幼少期から現在に至るまでの 70年近くに亘るめちゃくちゃ濃い話が詳細に語られている。その詳細さに鈴木慶一の記憶力のすごさを感じずにはいられない。

聞き手/著者は宗像明将という音楽評論家。僕ははちみつぱいから全部リアルタイムで聴いてきたが、この人は中学時代に『9月の海はクラゲの海』を聞いてファンになったと言うから、そこそこ若いファンである。1998年に『20世紀のムーンライダーズ』(この本は僕も買って読んだ)でライター・デビューしたとある。

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Tuesday, January 09, 2024

Amazon の画像リンク廃止という悲報の続報

【1月9日 記】  どうも少し勘違いしていたようです。

11/30 の記事で「Amazon に切り捨てられてしまいました」と書きましたが、これはアフィリエイト・バーの「画像リンク」及び「テキストと画像リンク」を作成する機能がなくなるというだけで、リンクが張れなくなるわけではなかったようです。

だから、僕はやり方を変えて、つまり、その機能で自動的に URL を生成させる代わりに、Amazon のそのページにある本の表紙の画像を参照して自分のブログに表示し、そこからその Amazon のページにリンクを張るという作業を手書きでやっています。

これで見た目はそれまでと同じ感じになります。リンクURL はアフィリエイト・バーのテキストリンク機能で生成させることによって、アフィリエイトは成り立ちます。

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Monday, January 08, 2024

『骨灰』冲方丁(書評)

【1月7日 記】 賞を獲って一躍名を馳せた作家であっても、自分が読まなければ名前をすぐに忘れてしまうものだ。だが、冲方丁については忘れなかった。その名前の漢字の読み方がとても難しかったからだ。

僕は彼の作品を読んだことはなかったが、彼の原作が映画化された『天地明察』は観た。世間ではあまり評判にならなかったが、僕はこの映画をとても高く評価していた。

で、この映画を観たおかげで、僕は彼のことを勝手にこんな作品、つまり時代がいつであれ科学を取り扱う作家だと思っていたのである。

そんな状態で、去年直木賞候補になった『骨灰』を読んでみたら、これは科学とは対極の「祟り」を描いた物語だった。

大手ゼネコンの IR部に勤める松永光弘が twitter に投稿された悪意のあるツイートの真偽を確かめるために降りた、渋谷に建設中の巨大ビルの地下で悪いものを引き込んでしまい、まずは誰も来ていないのに家のチャイムが鳴り、そのあと家には異臭が漂い始め、彼自身も死んだはずの父親に促されてどんどん異常な行動をしてしまうという話である。

となると、これは僕があまり好きな類の小説ではない。そうか、こういう話を書く人だったのか。これはちょっと「しまった!」かもしれないな、と思いながら先を読んだ。

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Saturday, January 06, 2024

映画『笑いのカイブツ』

【1月6日 記】  映画『笑いのカイブツ』を観てきた。予告編を観て、「知らない監督だけど、面白いかも」と思ったから。「面白いか面白くないか、博打になるかも」という思いもあったけれど、とりあえず何の予備知識もなく見に行った。

これはツチヤタカユキというお笑い作家の、ある意味「狂気」を描いた映画である。

「おもろいかおもろくないか」が彼が生きて行く上での唯一無二の尺度であり、それ以外の「誰かが勝手に決めた常識」を何ひとつ受け入れない。おもろいネタが書けない作家に対しては、彼が何者であっても関係なく罵倒してしまう。それどころか、ろくに挨拶もできない。

自ら LINE のメッセージに書いているようにまさに「人間関係不得意」のひと言に尽きるのである。

だが、十代の半ばから「5秒に一度ボケる」ことを考えてネタを作り続け、ラジオでは伝説のハガキ職人となる。

しかし、一旦企業や番組のスタッフとして働き始めると、他のメンバーと協調して仕事を進めることが全くできず、多くの人たちに嫌われ、疎まれ、追い出される、と言うか、自ら出て行くしかなくなるのである。

僕はこういう人物には全く共感を覚えない。こういう人物にピュアとか不器用とかいう表現を使うのはとんでもない勘違いだと思う。パンフレットには「初めは嫌いでもだんだん好きになる」みたいな表現があったが、僕にはそういう実感もない。

ただ、最近の若い人の中には主人公に共感できない作品を全く評価できない人が少なくないようだが、僕は共感するだけが映画や小説ではないと思っていて、そういう意味では楽しめた。

僕はこういう人物には嫌悪感を抱いてしまうが、だからと言って「こんな奴は死んだらええ」などとは言わない。

どんな人間であっても、「その人が役に立つ道があるのであれば、その能力を最大限活かしてうまく使ってやりたい」というのが僕のスタンスである。自分が彼を好きか嫌いかというのは大きな要素ではない。

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Friday, January 05, 2024

note の「サポート」初体験記

【1月5日 記】  僕が note に書いている文章に初めて「サポート」が付いた。

僕は自分の文章がお金になるとは思っていないので、「サポート」の詳しい仕組みについてはいまだによく分かっていないのだが、自分でも1回か2回は誰かの文章をサポートしたことがあるので、送る側のことは知っている。

要するにお布施みたいなものである。この人のこの文章をサポートしようと思ったら、最低 500円からその著者に送ることができるのである。

しかし、送る(いや、贈る?)ほうは登録してある自分のカードから落ちるのだが、送られた(贈られた)ほうはどういう形で受け取るのかいまだにわからない。

サポートしてくれたのは twitter(X)で長年(と言っても twitter創世記からではないが)相互フォロー関係にある人である。

それで、嬉しかったと言うよりも非常に驚いたので、twitter で(もちろん誰からとは書かず)「note で初めてサポートしてもらった」と呟いたら、それを読んだ別の人が「note は知りませんでした」と言って、わざわざ検索して僕を見つけてくれていくつか読んでくれたようだったのだが、なんとこの方も少し遅れて 500円で「サポート」してくれたのである。

 

なんか恐縮至極です。

しかし、正月から1日で 1000円ですよ。すごくない?

 

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Wednesday, January 03, 2024

NHK『アイドル誕生 輝け昭和歌謡』

【1月3日 記】  NHK『アイドル誕生 輝け昭和歌謡』を観た。地上波でも放送していたが、僕は BS4K から録画しておいたのである。とても面白かった。

都倉俊一役の宮沢氷魚はともかくとして、阿久悠役が宇野祥平、酒井政利役が三浦誠己というめちゃくちゃ地味なキャスティングでこんな企画が通るのはさすがに NHK である。

しかも、宇野翔平も三浦誠己も宮沢氷魚も、人相骨格的には違うのだけれど、どことなく本人の雰囲気があるのだ。

そして、時代のアイドルを演じている若い女優たちもそうだ。

山口百恵役の吉柳咲良、ピンク・レディ役の山谷花純(ミイ)と中川紅葉(ケイ)、桜田淳子役の山口まゆ──みんな造形的にはそれほど似ていないのだが、彼女たちアイドルの魅力のあり方を上手に再現している。

歌手だけではない、裏方では久世光彦役が谷田歩、飯田久彦役が田村健太郎、有馬三恵子役が安藤玉恵と結構シブいところを揃えてある。一番笑ったのは土居甫役で長いもみあげをつけた迫田孝也だ。

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Monday, January 01, 2024

【note】あほの坂田さんへ

【1月1日 貼】 年明け最初の記事は、手抜きして note に書いた記事へのリンクを貼って終わりにします。

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