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Friday, December 29, 2023

掘り出しモノ賞

【12月29日 記】  2023年度の掘り出しモノ賞には『交換ウソ日記』を選んでおきたい。

いつもは大体監督で、そうでなければ脚本家で映画を選んでいる僕が、名前に全く記憶がなかった竹村謙太郎(監督)・吉川菜美(脚本)というコンビの作品を観てみたらとても良かったから。

まさに掘り出しモノの名にふさわしいのではないだろうか。

掘り出しモノ賞というのは、かつて twitterベースの映画賞である coco賞の投票部門のひとつで、僕は毎年投票していたのだが、この賞、このサイトがなくなった今でも、僕はそのコンセプトが大変気に入ってしまい、毎年勝手に選び続けているのである。

この映画を見たのは桜田ひよりが好きだからだ。この映画では珍しくロングヘアの桜田ひよりが見られた。

でも、これは桜田ひよりの魅力に終始する映画ではない。共演の高橋文哉のファンのためだけの映画でもない。とても良質な青春恋愛ドラマなのである。

奇を衒ったところはない。ありがちな展開でもある。でも、とても丁寧に描かれていて、それがこの映画の説得力になっていると思う。

ちなみに、僕がこれまでに選んだ作品は下記のとおりである:

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Thursday, December 28, 2023

回顧:2023年鑑賞邦画

【12月28日 記】  昨日観た『PERFECT DAYS』を最後に、今年はもう劇場には行かないだろうから、恒例の

『キネマ旬報ベストテン』の 20位以内に入ってほしい邦画 10本

を選んでみた。今回で 18回目である。

毎年書いているように、これは僕が選んだ今年のベストテンでもなければ、決して「映画賞の上位に入るであろう邦画 10本」でもない。あくまで僕が応援する 10本であり、予想ではなくて僕の思い入れの強さを表すものである。

これは他の映画賞ではなく「キネ旬の」、10位以内ではなく「20位以内に」、「入るだろう」ではなく「入ってほしい」 10本なのである。

だから、例えば『怪物』や『PERFECT DAYS』は、僕自身とても良い映画だったと思っているし、多分キネ旬ベストテンには入って来る(ひょっとしたら1位かもしれない)と思っているが、しかし、僕はこの2本を外してでも他の映画を推したいのである。

さて、今年は映画館で 59本の邦画を観たのだが、去年ネット上の試写会で観た『異端の純愛』が結局今年の公開となったので、これを含めて 60本の中から選ぶことにした。

とりあえず、例年通り、本数を考えずに年初から観た順番に考察し、選んで行った。途中まではこれは最初から 10本ぐらいにうまく収まるかもと思ったのだが、今年終盤に観た作品が次々に外せなくなって、結局以下の 17本になってしまった。こんなに絞りきれなかったのは初めてではないかな。

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Wednesday, December 27, 2023

映画『PERFECT DAYS』

【12月27日 記】 映画『PERFECT DAYS』を観てきた。

ヴィム・ヴェンダースの映画は映画館でこれまで4本観ている。外国映画をあまり観ない僕としては多いほうだ。

この映画は日本語ではあるが、ヴェンダースが監督した外国映画だと思っていたら、日本の会社が出資した日本映画であり、エグゼクティブプロデューサーとして役所広司の名前がクレジットされていた。

僕の周辺ではなんかやたらと評判が良いのだが、その一方で観る前からどんな映画か想像がつくような気もした。

冒頭は東京の夜明け。こういう風景の切り取り方は巧い。特に都市の風景。

短目のカットを間を空けて繋いで行く。

道具を持って車から離れたと思ったら、次のカットではもう便器を磨いている。

うつ伏せで本を読んでいたかと思ったら、次のカットでは仰向きになって読んでいる。

公衆便所に入って行くところや寝返りを打つところは見せない。時間が淡々と進む。とても特徴的な編集。

翌日のシーンではまた別の箇所が省かれている。でも、主人公の平山(役所広司)は毎日ほぼ同じ生活を送っているので、観客は省略された時間に彼が何をしていたか知っている。

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Sunday, December 24, 2023

続・視聴生活

【12月24日 記】  前にも書いたが、今年はテレビドラマやアニメ、配信のドラマやアニメ、そして映画もそこそこたくさん観ているので、ちょっとドラマ過多な感じである。

いろんなシーンが頭の中でごちゃまぜになって、時々どれがどれだか思い出せなくなる。

特に今観ているアニメが『呪術廻戦』と『魔法使いの嫁』と『葬送のフリーレン』という、呪術だの魔法だのがてんこ盛りになっている上に、Netflix で観ているのが『ロック&キー』 Locke & Key なので、時々ひとつのシーンを思い出しては、「あれは何で観たのか?」「どの魔法?魔術?術式?」と、どれがどれだか分からなくなったりする。

そこにテレビドラマや映画の一場面や台詞とかもいっしょになってきて、結構混沌としている。

いつも書いているように、僕は何を観てもすぐに忘れてしまうのだが、忘れるまでの間にこれだけ断片が入り乱れているのも珍しいことだ。

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Friday, December 22, 2023

映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

【12月22日 記】  映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観てきた。僕としてはノーマークの作品だったのだけれど、あちこちで評判が良いみたいなので。Photo_20231222202001

2018〜20年に放送されたテレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第6期をベースに、目玉おやじの過去と鬼太郎誕生にまつわる物語を描いたのだそうだ。

見始めてすぐに思ったのは、「はぁ、今のゲゲゲの鬼太郎はこういうタッチの絵なのか!」ということ。

ほとんどの登場人物がずんぐりむっくりしていて鼻が上向きで口が横に歪んだ、僕らの世代が親しんできた水木しげるの原画の画風とは似ても似つかない。ねこ娘のなんとスタイリッシュなことか!

で、それはそれとして、鬼太郎誕生までの目玉おやじの話だから、鬼太郎はほとんど出てこない。目玉おやじも目玉だけではなく、人間の姿かたちをしている。当然まだ目玉おやじとは呼ばれていない、鬼太郎をスマートにしたような男だ。

彼は行方不明の妻を探して哭倉村にやってくる。そこは日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族が支配する村だった。その一族の当主が亡くなったところに、人知れず野望を抱いた青年・水木もやってくる。そして、そこで醜い相続争いと残虐な殺人事件が起きる。

──という、僕らが親しんできた鬼太郎というよりも、むしろ横溝正史みたいな物語が展開するのである。

僕らの知っている作風ではないとは言え、しかし、その作画は素晴らしい。これはもうスペクタクルと呼ぶべきレベルである。そして、荘厳な BGM。これはゲゲゲの鬼太郎なのか?と言いたくなるくらい。

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Thursday, December 21, 2023

『肌馬の系譜』山田詠美(書評)

【12月20日 記】 僕はデビュー当時の山田詠美には何となく反感を覚えていて、その後 20年間は全く読まなかった。それが『風味絶佳』を読んで一気に大ファンになった。

しかし、大ファンになった割には5冊しか読んでいない。そして、例によってどんな登場人物によるどんな話だったのかは、どの本についてもほとんど憶えていない。おぼろげに憶えているのは『風味絶佳』だけで、他の4冊については一切の記憶がない。

ただ、彼女がとても巧い作家であるということと、固定観念から自由な作家であるということだけは脳裏に焼きついている。

この本は『肌馬の系譜』というタイトルに猛烈に惹かれて買った。

僕も、この小説に出てくる多くの人物と同様、「肌馬」という言葉は知らなかった。そして、僕の辞書には「肌馬」という項目はなかった。ネット上の辞書にもなかった。これは雄の「種馬」に対する単語で、種付けされて子供を産む牝馬を指すのだそうだが、競馬用語? それとも、まさか作者の造語?

まあ、それはともかくとして、表題作は冒頭でも巻末でもなく、13篇収められているうちの最後から2つ目に置かれている。

冒頭に据えられたのは『わいせつなおねえさまたちへ』だ。如何にも山田詠美らしいエロい作品で嬉しくなる。

主人公は、祖母が所有するアパートの管理人である小島さんに性的な指南を受ける男の子。2人で覗きをする。この小島の言うことにいちいちポリシーが感じられて愛着が湧く。そして、主人公は覗きをしているから目が綺麗だと褒められるようになったと思っている。

ああ、こういうのは彼女でないと書けないなと思う。

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Monday, December 18, 2023

批評の時代から、考察の時代へ

【12月18日 記】  最近、三宅香帆の書いたものをよく読んでいて、それで僕のブログや note にもよく彼女の名前が出てくるのだが、さっき読んだ彼女の note (有料)は「批評の時代から、考察の時代へ」という内容だった。

どういう違いかと言うと、

考察 → 作者が提示する謎を解くこと

批評 → 作者も把握していない謎を解くこと

で、最近は考察的な文章のほうが人気があると言うのだ。

彼女は書いている:

なぜなら正解かどうかわからない解釈なんて、知っても面白くないからだ。製作者(※ママ)が忍ばせた、ひそかな真実を知ることが、考察の楽しみ方なのだろう。

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Friday, December 15, 2023

Netflix『アンブレラ・アカデミー』

【12月15日 記】  Netflix で『アンブレラ・アカデミー』THE UMBRELLA ACADEMY 全30話を見終わった。一番思ったのは、よくもまあ、こんなとっちらかった物語を考えたな、といういこと。

主人公はハーグリーブス家の7人きょうだい。きょうだいと言っても血が繋がっているわけではない。全員が同じ年の同じ日の同じ時刻に生まれた。それを金満家のハーグリーブス卿が養子にして(と言うより、むしろ金で買い取って)育てた。

7人にはそれぞれ異なった超能力があるが、そのうちの一人ベンはすでに死んでいて幽霊になっており、一番下(7号)のヴァーニャには何故か超能力がない、というのが冒頭の設定だ。

こういう物語では一般的にその7人がそれぞれの特性を活かして、力を合わせて悪を倒すというのがありがちなパタンだが、如何せん、この7人はそれぞれが違うことを考えて、バラバラに行動し、いざという時にみんな勝手にどっかに行っていて人数が揃わなかったり、時には殴り合いの喧嘩をしていたりもする。

起承転結の転として仲間割れによるチームの危機が描かれることはよくあるが、この物語では起から結までずっとバラバラなのだ。

そして、育ての親であるハーグリーブス卿は、この手の話では大体は慈愛に満ちた父であるか、厳しい指導者ではあるが実は子どもたちのことを心底思っているかのどちらかであるのだが、これが結構ひどい爺さんなのである。

それに加えて、5号(何故か彼だけは名前ではなく Five と呼ばれる。しかも、時間移動に失敗して彼だけは半ズボンの子供の姿をしている)の能力によって、彼らは頻繁に時間移動していろんな時代に飛んでしまう。

そんなてんこ盛りにとっちらかった設定にすると、却々物語が収束しないのである。なのに、よくもこういう駒を揃えて物語を始めようと考えたものだと感心するのである。

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Thursday, December 14, 2023

映画『市子』

【12月14日 記】  映画『市子』を観てきた。

大抵は監督で映画を選ぶ僕だが、戸田彬弘という監督は僕の知らない人だった。ただ、演劇界ではすでに名のある人のようで、映画も今作が初めてではない。

予告編を観て面白そうだったから、どんなストーリーなのかよく知らないまま見に行ったのだが、これは何と言うか、あまりと言えばあんまりな話である。

しかし、まずは設定や進行の話をする前に驚いたことをひとつ。

この映画は関西圏が舞台なのだが、どの役者の関西弁にもほとんど違和感を覚えなかった。関西出身でない方はそんなことに気がつかないし、たとえ気づいても頓着しないのかもしれないが、こういうケースは本当に稀有なのである。

それで調べてみると、まず主演の杉咲花は東京出身。若葉竜也も東京出身だが、唯一彼だけは東京出身者という設定で標準語で話す。

その2人を除くと森永悠希も倉悠貴も大阪出身。宇野祥平、中村ゆり、大浦千佳も同じく大阪。中田青渚と渡辺大知は兵庫県出身である。よくこれだけ関西出身の役者を集めたと思う。しかも、僕にとっては大浦千佳以外は完全に顔と名前が一致する役者たちである。

映画の中で一箇所だけ関西弁に違和感を覚えたのが石川瑠華だが、彼女は埼玉県出身だった。ちなみに大浦と石川は戸田彬弘監督が主催する劇団のメンバーとのこと。

これだけの関西人に混じって、もちろん一番台詞の多い杉咲花の大阪弁が本当に見事だった。2020年に NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』で半年間、大阪出身の女優・浪花千栄子をモデルとした主人公を演じた(僕は一度も見ていない)とは言え、東京人がここまで自然な大阪弁を喋るのは初めて聞いた。びっくり仰天した。

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Wednesday, December 13, 2023

今あらためてキャンディーズ

【12月13日 記】  伊藤蘭がデビュー50周年なのだそうで、最近よくテレビで昔のキャンディーズの映像を見る。

先日も WOWOW だったか NHK-BS だったかでコンサートの映像を放送していて、それを見て改めて、「ああ、彼女たちはこんなにも激しく動きながら歌っていたのか!」と思った。

あの頃はピンク・レディーとキャンディーズが人気を二分していて、ピンク・レディー派とキャンディーズ派の議論がかまびすしかった記憶がある。

また、同じキャンディーズのファンの間でもそれぞれに(今で言う)推しが異なっていて、僕の友だちの中にもランちゃんとスーちゃんのどっちが可愛いかを言い争っている奴がいたが、僕はその当時はちょうどアイドル離れしていた時期で、それほどの思い入れはなかった。

だからかもしれないが、当時の彼女たちのライブを今見て、改めて「こんなに激しく踊っていたのか!」と驚くのである。

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Monday, December 11, 2023

ココログ20周年に思う

【12月11日 記】  ココログ がこの 12月で 20周年なのだそうだ。僕のブログは 18年半ぐらいかな。

(ご存じない方のために書いておくと、あなたが今読んでおられるこのブログは nifty のココログというサービスで運営されているのである。)

思うのは「あれから 20年も経ったのか」でも「20年なんてあっと言う間だな」でもなくて、「たかが 20年でどうして誰もみんないなくなっちゃうんだろ?」ということである。

ブログというものが、そして、そのユニークな機能であったトラックバックが全盛であったころ、映画の記事を中心にしょっちゅう相互トラックバックをした人たちはもう完全にいなくなった。

20人ぐらいはいたと思うのだが、アカウント自体がなくなっているか、ある時点以降更新することなく打ち捨ててあるかのどちらかである。

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Saturday, December 09, 2023

『処女の道程』酒井順子(書評)

【12月9日 記】 TBS をキー局とする JNN では JNNデータバンクという全国消費者調査を 1971年から実施しており、同じ設問に対する回答の変化を長期間に亘って辿ることができる。

MBS編成部で僕が調査の仕事に携わっていた時には、その中に「女性は結婚するまで純潔を守るべきだ」という設問があった(この設問がいまだにあるのかどうかは知らない。「純潔」という言葉の意味も今の若い人たちにはもう分からないのかもしれないので、設問は残っていたとしてもワーディングが変わっているかもしれない)。

で、この設問に対する Yes の回答率の変化は大変特徴的であったのが印象に残っている。

人の意識というものは時代とともに当然変化するものだが、それをグラフにすると、長期的に増えるにしても減るにしても、大抵は細かくジグザグしながらの変化になる。ところが、「結婚するまで純潔を守るべきだ」と考えている人の比率は 1971年からその時点まで一辺倒に右肩下がりであったのだ。人の意識の変化がこれほど如実に現れる調査結果というものはそうそうあるものではない。

前置きが長くなったが、そういう意味で僕は、人々の貞操観と言うか処女崇拝と言うかは一辺倒に解放、あるいは低下に向かって進んでいるものだと何となく思い込んでいたのであるが、全くそんなことはなかったのだということを、この本を読んで思い知らされた。

そう言われれば確かに、高校の古典の授業で読んだ文学の中では男女の性に対する意識はかなり解放的だったということは思い出した。この本によると、鎌倉時代までは貞操観念はそれほど強くなかったとのことである。それが武士の時代になり、儒教が流行したことなどによって引き締められたのである。

そして、それはまた緩くなったり、また厳しくなったりして、今は「性が解放し尽くされた結果、『もういいや』と引き返す人が出はじめた」時代なのだそうである。この本を読んで、その行ったり来たりの具合に驚いたのである。

そして、もうひとつ。与謝野晶子という人は、『みだれ髪』に見られるような情熱的な歌を詠んだ人であり、まだ恋愛がそれほどポピュラーでなかった時代だけに、僕は性に関してもかなり進歩的な人だったんだろうと勝手に思い込んでいた。

ところが、この本によると、彼女は熱烈な処女の純潔信奉者であり、彼女がライバル視していて未婚の非処女であると思われていた平塚らいてうに対して、あなたはどこそこで誰それとやったと言われているがそれは本当なのか?と雑誌上で名指しで糾弾していたと言うからびっくりである。

この本はそんな風に過去の文献や、明治以降は婦人雑誌の特集記事や読者投稿などをつぶさに分析して、性に対する意識変化の歴史を俯瞰的に著したものである。

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Friday, December 08, 2023

映画『MY (K)NIGHT』

【12月8日 記】  映画『MY (K)NIGHT』を観てきた。

僕は LDH所属のタレントさんたちにはあまり興味が湧かない(ま、そもそもヘテロセクシュアルの男性なので男優にはあまり興味がないということもあるがw)。この映画の主演3人のうち知っているのと言えるのは吉野北人だけだが、それもたまたま僕が勤めていた局のドラマに彼が主演していたからにすぎない。

それでも僕はこの映画をかなり前からマークしていた。それは中川龍太郎監督・脚本だったからだ。しかし、却々見に行けなくてもう少しで見逃すところだった。

刹那(川村壱馬)、イチヤ(RIKU)、刻(吉野北人)の3人は弘毅(村上淳)の会社に所属する「デートセラピスト」。顧客の要望に応じて理想の彼氏を演じ、理想のデートを演出する。「ホテル行く?」という台詞もあったので、肉体的なサービスもあるのかもしれない。

そこに来る客たちは気軽になりきりデートを愉しんで、料金を払ってあっけらかんと帰って行くのかと思ったらそうではなかった。

刻の客の沙都子(安達祐実)は夫の浮気の腹いせに申し込んだのだが全くそんな気になれず、刻がどう取りなしても気分は沈んだままだ。

イチヤの客の miyupo(夏子)はフォロワー7万人のインスタグラマーで、イチヤそっちのけでずっとスマホを触っている。イチヤの役割はただただ彼女が写真を撮るだけで食べなかった料理を平らげるのと写真を撮ることだけ。

刹那の客の灯(穂志もえか)はデートなんかする気はまるでなくて、自分の婚約者になりすまして母親に会ってほしいと言うのだが、言葉遣いからファッションまで何かと要求が厳しい。

そういう導入部分から、3組の物語が交互に織りなされて行く。とてもうまい脚本である。

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Thursday, December 07, 2023

火事です

【12月7日 記】 いくつか前の記事にも書いた通り、脳ドックを受けた。

結果は異常なしだったので、良かったのだが、この日驚いたのは検査前にビルの火災報知器が作動したこと。僕は MRI の順番待ちで廊下で座っていた。

突然警報が鳴って、「火事です。火事です。落ち着いて避難してください」というアナウンスが流れてきた。

結果から先に書くと、これは同じビルの3階のカレー屋さんの厨房から、火が出たわけではないのだが、大量の煙が発生して、それで警報が発動したとのこと。

僕らは検査機関の職員の誘導で非常階段までは避難したが、そこで安全だということが分かって引き返してきたのである。

僕にとっては、結局その分検査開始の時間が遅れたというデメリットを被っただけで済んだが、考えてみれば警報が鳴ったとき、まさに MRI の機械に入っていた人がいたのである。

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Monday, December 04, 2023

「今月のガス代予想」の不思議

【12月4日 記】  マンションによって違うのだろうけれど、ウチのマンションはキッチンとバスにガスのコントロール・パネルがあって、その小さなモニターにガス代の予想とか、それが目標に対してどうなのかといった表示が出る。

これは一体どうやって出しているのかがずっと不思議である。

もちろん使ったガスの量は計量可能で、逐一記録されているのだろう。目標というのは恐らく前年同月かあるいは前月の数字に対して設定されているものだと思う。

しかし、問題は料金である。

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Sunday, December 03, 2023

同期亡くなる

【12月3日 記】 先月末、会社の同期のひとりが突然亡くなった。

家族葬ということだったので、同期一同で弔電と供花を手配することになった。

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Friday, December 01, 2023

映画『隣人X 疑惑の彼女』

【12月1日 記】  映画『隣人X 疑惑の彼女』を観てきた。これはかなり面白かった。X

惑星X で紛争が起き、助けを求めてきた難民を、アメリカ合衆国はいち早く受け入れることにした。それは X には地球人に擬態できる能力があり、しかも人間を決して傷つけない固有性を持っていることが分かったからだ。

しかし、日本では理屈ではなく、ただ何となく国民は不安を持ち、拒絶感を募らせていた。

──などと言うと、自分の隣にいた誰それが実は X だった。そして、また別の人間が別の X に擬態されて…みたいなストーリーを思い浮かべるだろう(と言うか、僕は思い浮かべたのだ)が、決してそういう映画ではなかった。

これは X という存在を措定することによって、人間の無理解さや排他的な意識、そして集団パニック的な行動をえぐり出した映画なのである。

小説現代長編小説賞を受賞した原作がある。しかし、熊澤尚人監督(脚本と編集も担当)はこれをかなり書き換えている。

パンフによると、原作は土留紗央、柏木良子、そしてベトナムからの留学生リエンの3人の女性の視点で描かれているらしいが、映画では土留は出てこない。その代わりに、笹健太郎という男が出てくる。

笹(林遣都)は「週刊東都」の、クビ寸前の契約社員である。この週刊誌が X特集を組むことになり、笹も必死で売り込んでメンバーに入れてもらう。そして、調査会社が出してきたリスト(この辺の設定に如何にもありそうないい加減さを感じる)に従って X ではないかと疑われる人物を調べて暴露する企画が進む。

リストから笹が担当することになった2人の人物のうちのひとりが柏木良子(上野樹里)であり、もうひとりが台湾人のリン・イレン(黃姵嘉、ファン・ペイチャ)である。

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