はてしないトイレ談義(8) ~All-Gender Restroom For Everyone
【5月30日 記】 トイレについてはこのブログにも随分いろいろと書いてきました。ここまで書き連ねてきたものについては『果てしないトイレ談義』という共通タイトルでひとつにまとめて別立てにしてあります。
そして、また久しぶりのトイレ談義です。多機能トイレってあるじゃないですか。少し前までは多目的トイレという言い方もありました。この名前、どう考えてもとても変ですよね?
多機能(あるいは多目的)って、うんことおしっこと、それから何ができるの?──みたいなことを僕は以前の記事に書いています。いや、分かるんですよ、これは障碍のある人のためのトイレだって。でも、それを多機能とか多目的とかマルチユースとか言うかな?って感じです。
おまけに、トイレの前でよく音声ガイドが流れていて、例えば「向かって右が男子トイレ、左が女子トイレ、左奥が多機能トイレです」などと言っているのですが、これが何度聞いても「左奥が滝のおトイレです」に聞こえてしまいます。流そうとしたら頭から水を被るのではないかと心配になります(笑)
ま、それは置いといて、今回気になったのは JR有楽町駅で見つけたトイレの掲示です。右の写真をご覧ください(クリックすると拡大します)。
右半分は所謂多機能トイレのドア上の掲示です。ピクトグラムが8枚あって、これはとても分かりやすいです。なるほど多機能というのはおむつの交換や着替えもできるということなのか、と納得してしまいました。
僕はこのピクトグラムだけで充分ではないかと思ったのですが、しかし、その上に文字が書いてあります。
「多機能化粧室」──これはまあ良いでしょう。その下です。
All-Gender Restroom ──これを見て驚きました。そうか、昔は障碍のある人だけのためのものだったのが、男子トイレや女子トイレに入ることに抵抗がある LGBTQ の人たちのためのものにもなったんだ!と。All-Gender Restroom のあとには For Everyone 、さらに日本語で「どなたでもご利用いただけます」と続いており、なんだかしつこい気もしますが…。
そう言えば昔は「だれでもトイレ」と書いた公衆トイレがありました。これを継承したと言うか、拡張したのがこの表記なんですね。うん、時代に相応しくて良いなあと思いました。
しかし、問題はドアの左に貼ってあるポスターなんですよね。ここには「このトイレはバリアフリー・トイレであり、バリアフリーが必要ない人は一般のトイレを使え」みたいなことが書いてあります。
単独のお願いとして見ればその趣旨は分かりますよ。もしも僕が入っている時にこのトイレでないと用を足せない人が来たらと考えるととてもじゃないけど入りにくくて、僕はよっぽど切羽詰まったときにしかこの手のトイレに入ったことはありません。
でもね、だったらどうして For Everyone とか「どなたでも」とか書くんですか? 相反する表現を並べて掲示する感覚が分かりません。
「どなたでもご利用いただけます」と書いてある隣に「使う前にちょっと考えて!」なんて書いてあると、混乱しますよ。で、結局バリアフリーでなくても用が足せる LGBTQ の人はここを使って良いのでしょうか、ダメなんでしょうか?
こういう掲示は利用者を混乱させるだけだとは思いませんか?
僕は多機能だとか for everyone とかじゃなくて、「バリアフリー・トイレ」で良いのではないかと思います。なんならそこに「着替えやおむつ交換などもできます」と添えておいても良いですが、「自分はこのトイレしか使えなくて、今にも漏れそうなのに呑気に遊び用の服に着替えやがって」などと反感を買う惧れもあるので、ここはピクトグラムだけで良いのではないかという気がします。
あとは LGBTQ の人も使えるということをどう表記するかという問題かと思います。そのために All-Gender Restroom という英語表記にしたのでしょうが、これだと障害者用のバリアフリーという側面が霞んでしまいます。
ならば「バリアフリー&ジェンダーフリートイレ」かな?
却々難しい問題です。皆さんはどう思いますか?
(※ 今回の原稿も『果てしないトイレ談義シリーズにマージしておきます)
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