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Sunday, January 08, 2023

映画『恋のいばら』

【1月8日 記】 映画『恋のいばら』を観てきた。城定秀夫監督。

あまり日本では評判にならなかった『ビヨンド・アワ・ケン』という香港映画のリメイクであるらしい。脚本は城定監督と『愛がなんだ』や『かそけきサンカヨウ』の澤井香織の共同。めちゃくちゃ面白かった。

莉子(玉城ティナ)はポールダンサーのいるナイトクラブでバーテンのアルバイトをしながらプロのダンサーを目指している。睫毛パーマに可愛いマニキュア、インスタの投稿もおしゃれな女子。カメラマンの健太朗(渡邊圭祐)と交際している。

莉子がバスに乗っていると、他の席も空いているのに隣に桃(松本穂香)が座ってくる。桃は図書館で働く地味なメガネ女子。莉子は桃のことを知らないが、桃は「話がある」と言って莉子を無理やり喫茶店に連れ出す。

桃の話によると、健太朗は桃の元カレで、桃は彼に振られたのだが彼に撮られた写真でリベンジポルノみたいなことをされないか不安で仕方がないと言う。莉子は初めは桃を相手にしなかったが、そういえば自分もベッドの上で健太朗に写真を撮られたことがあったことを思い出し、不安になる。

結局、莉子は桃に連絡を取り、2人で彼の家に忍び込んで、恐らく彼の PC の中にあると思われる写真を消す計画を立てる。桃が持っていた合鍵で開けようとするが、鍵は取り替えられていて入れない。まずは彼から鍵を盗んで合鍵を作るところから始まる…。

華やかで如何にもモテそうな玉城ティナに対して、地味でイケてない感じの松本穂香という対比が非常に面白いし、それぞれに嵌っている。莉子にしてもナルシスト的な自信家ではなく、ダンスでは今イチ抜けきれなかったり、健太朗をだんだん信じられなくなってきたりというやや弱い感じも描かれていて、好感が持てる。

それに対して、やたらとバタバタする桃。多分悪い奴ではないのだろうけれど、天然の女たらしである健太朗の、ものすごく自然な「たらし」ぶりも面白い。

そして、最初はきれいな女性のグラビアを撮っていた彼が、終盤のシーンではマネキンにブラとパンティのセットを着せて撮っているさまもおかしかった。

元となった映画からはかなり書き換えているらしいが、恐らく書き換えたと思われる部分が秀逸である。元の映画では男の職業は消防士であったらしいが、これをカメラマンにしたことによって筋運びはかなりスムーズになった。

そして、よくもまあこんなものを入れ込んだな、と思ったのが海の中に突き出した岩場に莉子と桃が座って会話しているシーン。なんでそんなとこでロケするのか! 全く必然性がないのだけれど(ま、一応莉子が海辺でダンスする動画を前にインスタに上げていたことを踏まえてはいるが)、なんかすごい!と思ってしまった。

あと、公園のブランコに座って独り言で不満をぶちまけているサラリーマンとか、映画館で配られたビーフジャーキーとか(笑) 単に笑わせようとした小ネタかと思ったら、なんと、もう一回ビーフジャーキーが出てくる。いや、もう一回出てくるところも含めて、こんな小道具は不要なのである。

僕はそういう不要なことをする映画が大好きだ。そういうディーテールが映画に息吹を与えるのである。

ネタバレになるので書かないが、ストーリーはわりと予想できないところに進んで行く。意外性があるのでストーリー的にも楽しめる。よく繋がった脚本で、初めのほうで蒔いた種をきれいに刈り取って行く。健太朗と同居しているおばあちゃん(白川和子)の絡み方も面白い。

とても良い感じの映画になった。ニュー城定秀夫でもあり、やっぱり城定秀夫ワールドでもあると思う。

しかし、それにしても、いやはや恋はいばらの道である(笑)

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