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Tuesday, January 10, 2023

映画『ファミリア』

【1月10日 記】 映画『ファミリア』を観てきた。閉館が決まっている東映直営の丸の内TOEI。(すみません、ちょっと今回はネタバレっぽいかもしれません)

随分と暑苦しそうな映画だなと思ったのだが、ブラジルからの移住者という珍しいテーマだったのに惹かれて観に行った。出てくる風景も日本の都会とは違って独特の世界である。

監督は成島出。脚本を書いたいながききよたかは実際に豊田市にあるブラジル人が多く住む団地の近所で育ったのだそうだ。

映画が始まったらいきなり構図に圧倒された。

森の中の画面奥のほうで神谷誠治(役所広司)が木の根っこの辺りから陶器に使う土を掘り起こして袋に詰めている画。

そして、ブラジル人が何千人も住んでいる団地の、2つある棟の間に小さな棟をもう一つ建てて連結したみたいな変わった形の建物。よくもまあこんな団地を見つけたものだ、と思ったら、まさにこのロケ地自体こそが、豊田市にある住民のほとんどがブラジル人という団地そのものだった。

その連結棟のかなり高い位置から俯瞰の映像がするする降りてきて、水商売から帰ってきた女たちとこれから仕事に出かける男たちを捉えたかと思うと、その側の道を走る誠治の車などをドローンを使った長回しで追う。

家の周りのシーンでも、固定ではなく結構動きのある長回しを多用していて、とても印象的だった。冒頭の土掘りだけでなく、学とナディアの引き画の2ショットも力強かった。撮影監督は藤澤順一だった。

映画では2つのプロットが語られる。

ひとつはプラント輸出の企業に勤めてアルジェリアに行っていた誠治の息子・学(吉沢亮)が現地で難民だったナディア(アリまらい果)と結婚し、彼女を連れて誠治の家に帰ってくる話。

学はここで父親の手伝いをして陶芸をやりたいと言うが、誠治は最初「陶芸では食えない。考え直せ」と言う。

もうひとつは、誠治の家から徒歩圏にある団地に住んでいるブラジル人の若者たちと、彼らを食い物にしている半グレ集団のストーリー。半グレのリーダー・榎本(MIYAVI)はマルコス(サガエルカス)とその恋人のエリカ(ワケドファジレ)、ルイ(シマダアラン)らに暴行と恐喝を繰り返す。

さて、この2つの交わらない話が映画の終盤で交わるとしたらこういうストーリー進行しか考えられないな、と思っていたら、大体その通りに話は進んで行く。

誠治が若い頃は手のつけられない暴れん坊だったという設定と、学とナディアが一旦アルジェリアに帰ってしまうという展開、あとネタバレになるので書かないが、その後の出来事の積み重ねからすると、最後にはこういう展開しかありえないと思った。

で、思ったのは、これは所謂「社会派」の映画であるように見えるが、見終わってみたら東映伝統の任侠映画であったということ。製作幹事は木下グループで配給はキノフィルムズだったけれど、これは紛れもなく東映のアレだ。

そう、高倉健や藤純子が耐えに耐えて、最後に堪忍袋の緒が切れるやつ。そう、血縁に拠らない家族、いや、「一家」の話。

役所広司はここのところこんな暑苦しい役が多いが、やっぱり巧い。そして、ろくろを回したりするシーンは一体どれほど練習したんだろうと思う。パンフを読むと役所は共演者のブラジル人たちにものすごく尊敬されていたので、なんか納得感があった。

吉沢亮もこの年代では非常に上手い役者である。佐藤浩市や室井滋、松重豊らが脇を固め良い味を出している。それからこの半グレのリーダーは誰だっけ?と思ったら MIYAVI だった。確か本来はギタリスト。『ギャングース』に出ていた。

役所もブラジル人を含む共演者たちも、全キャストが決まってからシナリオを当て書きしたというからすごいではないか。

差別や偏見、思い込みなどについていろいろ考えさせられる面と、型通りの任侠映画の展開が混在する不思議な映画だった。

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