映画『かぐや様は告らせたい -ファーストキッスは終わらない-』
【12月17日 記】 映画『かぐや様は告らせたい -ファーストキッスは終わらない-』 を観てきた。ネットで調べて3館めでやっと席が確保できたのだが、僕が行ったシアターもぎっしり満員!
かつて自分が勤務していたテレビ局が出資/放送していたからお義理で見に行ったわけではない。僕はこのシリーズがめちゃくちゃ好きなのだ。例によって原作は知らないのだが、TVアニメになってからは第1期、第2期、第3期合わせて 37話をすべて観てきた。
橋本環奈と平野紫耀で実写映画化もされたが、これも2本とも観ている。
知らない人のために少しだけ書いておくと、お互いに好き合っていながら自分から告白するのは恥だという明らかに間違った考えに取り憑かれた高校生カップルが生徒会を中心に繰り広げるドタバタを描いた、英語で言うところのロムコム(RomCom = Romantic Comedy)である。
とは言うものの、TVアニメ第3期の最終回で、学園祭の夜に白銀御行が最高の舞台を作り上げた上で、「好きだ」と明確に言葉にはしなかったものの割合しっかりと思いを伝え、それを受けた四宮かぐやはついに御行に抱きついて濃厚なキッスをしてしまったので、その続編をどう作るかは難しいところだ。
しかし、この2人のキャラを考えると、なるほど、今回の映画のようにいろいろこじれてくるのも無理はないのだ(笑)
スタッフはTVアニメと同じだから、TVアニメでの描き方はそのままこちらに持ち越されている。
現実と妄想の混濁。──場面によって心象風景としての背景がぶっ飛んだ形のものに一変する。ロマンティックな BGM。シリアスとコミカルの見事なメリハリ。藤原千花、石上、早坂、伊井野ミコ、子安つばめら、見事に配置されたエキセントリックな脇役たちの面白さ。
構図もコマ割りも絶品。今作で言えば、制服のスカートから伸びたかぐやの足の、膝の裏側のアップの短いカットが挿入される辺りが、もう本当にたまらない。筋運びからしたら不要なカットなのである。でも、こういうのが効いてくる。
今までは御行とかぐやの「勝負」に焦点を当てて、「本日の勝負、かぐやの勝ち」みたいなまとめを随所に挿入していたが、今作ではそういうレベルを超えてしまっていたので、あまりそれは出て来ず、かぐやのペルソナが分裂してしまうという設定で、これがまた面白い。
そして、かたくなだったかぐやが心を開いて、「私も自分をさらけだしたのだから、会長(=御行)も全てを見せて」と言うのに対して、御行は「好きな人に対してだから、弱い自分は見せられない。格好をつけずにいられない」と拒否する辺りがとても素敵だった。
あとは白銀御行と四宮かぐやの幸せをただただ祈るのみである。大満足なアニメだった。
言うまでもないが、これは37話全部を観てきたからであって、全く知らずにこの映画だけを観ても多分半分も面白くないだろうから、念のため(笑)
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