マイナンバーカードとお薬手帳
【12月28日 記】 前にIT系ベンチャー企業の社長さん2人(いずれも名の売れた方だ)のセミナーを聴講していたら、2人が口を揃えて「マイナンバーカードの失敗は実カードを発行してしまったことだ」というのを聞いて、なるほどと大いに納得した。
もうちょっと正確に再現すると、確か「実カードを発行したのがダサかった」という表現だったと思う。以下は彼らの発言を僕なりに解釈した説明だが、
マイナンバーカードの最大のポイントは個人情報のハブとなることであって、国民がカードを手にすることではない。カードという実体を発行してしまったがために「落としたり盗まれたりしたらえらいことになる」という心配が蔓延し、普及を阻害したという事実がある。
ハナからデータの紐づけだけにしておけば良かった
というのである。
もちろん日本にはまだスマホも持っていなければインターネットにもほとんど繋がっていない人もいるわけで、実カードを発行しなければそんな人たちが登録してくれるはずがない。だから仕方がなかった、という面もあるだろう。
しかし、少なくともそれを前提とする必要はなかったのではないだろうか。
データを集約したり連携したりすることに抵抗がなくても、新しいカードを持たされることを嫌がった人はたくさんいたはずだ。まずはネットを使い倒しているそういう人たちを取り込んで、その延長上で「実券もありますよ」という風にネットに疎い人たちを巻き込むべきだったのではないか?という考え方である。
なるほどと思う。当然賛否は分かれるだろうが、僕は強く同意する。
で、それで思うのは「お薬手帳」はもうちょっとなんとかならんのか?ということである。
僕は紙の手帳を持たされることに強い抵抗感がある。薬を買う度にベタペタ貼られて、薄い手帳がすぐに満杯になる。いつも同じ薬を処方してもらうのに、そのたびに少なからぬスペースを割いて全薬品名を何度も何度も記載される。
あれこそもう紙なんか要らないではないか、と僕は思う。これまた上で書いたマイナンバーカードの例と同じく、「紙の手帳で管理したい方はどうぞ」という形で構わないので、とにかく全国民に紙の手帳を持たせようとするのはやめてほしい。
お薬手帳のアプリはたくさんあるが、薬局では受け付けてくれない。もらった薬を自分で登録するしかないのである(簡単に登録できるように各アプリがいろいろ工夫はしているが)。そして、いくつか試してみたが、正直言ってろくなアプリがない。
これこそ新型コロナウィルスのワクチンの接種証明書みたいに、統一のアプリを出してほしいと思う。
まあ、ココアみたいな、ろくに役に立たなかったアプリの例もあるので、国にどこまで期待して良いか分からないが、そんなに難しいものでもないだろう。ここはひとつ、河野太郎デジタル大臣に期待したいところである。
僕が生きているうちに朗報が届くと嬉しい(笑)
Comments
カードありきの前提が普及を阻害しているのには同意しますね。それよりも腹が立つのが、大コケにこけた、住基カードから全く何も学んでないことです。若いころ、NTTの研究所と協力して住基カードを普及させるべくアプリケーション(パイロットシステムですが)を開発していた身としては本当に情けないです。
Posted by: 宮田収 | Wednesday, December 28, 2022 08:58
> 宮田さん
いつもどうも。住基カードのことはほとんど何も知らないので何も言えませんが、宮田さんってそういう関連の職業の人だったんですね。
Posted by: yama_eigh | Wednesday, December 28, 2022 22:30