【12月15日 記】 昨夜、Netflix で『ザ・ストレンジャー』 The Stranger 全8話を見終わった。
今回書こうとしているのはそのドラマの内容についてと言うよりも、原作者についてである。
ハーラン・コーベンは僕が大好きなミステリ作家で、新刊が出る度に買って読んでいた。特にマイロン・ボライターを主人公とするシリーズだ。スポーツ・エージェントのマイロンが、自分の顧客であるアスリートの身に降り掛かってくるトラブルを合法的、非合法的に解決/排除して行く物語だ。
主人公のマイロンは元バスケットボールの花形選手で、元FBI捜査官であるが、決してハードボイルド的なヒーローではない。ヨーグルトドリンクが好きでテレビ・オタクで母親と一緒に暮らしている。
最後の「母親と一緒に暮らしている」という部分を読んでも日本人は何も感じないかもしれないが、アメリカでは大人になると親もとを出て行くのがごく自然なことであり、いい年をして母親と同居という設定がマイロンのマザコン度やヘタレ度を上げている。
一方、マイロンの相棒のウィンは FBI時代の同僚ではあるが、マイロンとは対象的に大金持ちのプレイボーイで、おまけに人を殺すことを何とも思わない。そんな奴だからこそ、マイロンが窮地に陥った時には大変心強い味方として敵の前に立ち現れるのである。
この2人の会話の軽妙さに嵌って、僕はこのシリーズを読み続けてきた。ある人はこれを「減らず口のミステリ」と名づけていた。
ところが、このシリーズは日本ではあまり売れなかったのか、2002年に7作目の『ウィニング・ラン』が出た後ぱたりと出版されなくなった。
そしてその後、このシリーズとは趣を変えた作品が何作か翻訳され、僕も何冊か読んだが、正直言って物足りなかった。なんか、フツーのミステリになってしまった感じ。でも、世間のミステリ・ファンはこういうのを本格ミステリなどと呼ぶのだろうな、という感じ。僕に本格ミステリはお呼びでないのだ。
Recent Comments