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Tuesday, November 08, 2022

昇る

【11月8日 記】 僕が今の家に移る前に住んでいた中で一番高かったのは(と言っても値段の話ではない)5階である。

で、当時はまあこのぐらいの高さがちょうど良いかなと思っていた。丘の上に建ったマンションで景色も良かったし。

ところが、今はその倍以上の高さのところに住んでいる。都内の、わりとビルが多いところで、ある程度の眺望を確保しようとしたらこうなった。眺望と言ってもそんなに大したことを望んだわけではない。ただ、窓を開けたら隣のビルの壁、みたいな現象を避けたかったのだ。

でも、多分このくらいの高さが限界かなと思う。もちろん、もっと上に行けば眺望はもっと良いのだろうが、災害などでエレベータを止まった時のことを考えると、20階以上は如何にもしんどい。

東京支社勤務時代に、毎朝 28階のオフィスまで階段を昇って出勤してくる同僚がいた。

さすがに真夏の暑い時期はやっていないと彼は言っていたが、真夏でなくてもちょっと気温が上がった日には、外から見ても分かるくらい、かなりの汗だくで、シャワーでも浴びたほうが良いんじゃない?と思ったくらいだ。始業時にすでに汗だくというのは僕としては避けたいと思う。

本社勤務時代には、年始や創立記念日などには、自社ビルの2階のスタジオをホール代わりにしてそこで式典が行われた。式典終了後は出席していた社員がどっとエレベータ・ホールに押し寄せるので、僕はいつも混雑を避けて、12階の自分の職場まで階段を昇っていたのだが、これでもかなりしんどかった。

昇っているとよく後ろから南雲さんが昇ってくるのが見えた。彼は所謂シニア・スタッフだった。

そのころ僕はまだ 40代だったのだが、階段室を昇っていると、後ろから南雲さんがヒタヒタと、いやコツコツと迫ってくるのを感じて、いかん、60代に負けてはならじ、と思いながらゼーゼーハーハー言いながら階段を昇った記憶がある。

昇ったと言えば東京タワーにも昇った。

ご存じの方はご存知の通り、あれは外階段である。踊り場のところに「ビルの10階相当の高さです」とか「ゴジラの身長と同じくらいです」みたいなことが書いてあって、さすがにもう展望台近くまで昇っただろうと思ったら「これでちょうど半分です」と書いてあって絶望的な気分になった(が、もちろん上まで昇るしかない)。

寒い季節だったけれどあれだけ動くと寒く感じなかったのは良かったのだが、てっぺんまで行ってドアを開けて展望室に入ると強烈に暖房が効いていて、真冬だったから厚着をしていたせいもあって一気に汗が吹き出して肌着がベトベトになるのを感じた。

しかし、そんなところでアンダーシャツを着替えるわけにも行かず、結局翌日は風邪を発症して一日寝ていた。

僕の主治医は「冬場は、昇るのであればオフィス・ビルなどはやめて、デパートの階段を昇りなさい」と言う。その心は外階段ではなく、エアコンの効いている内階段を昇れということだ。冬場の外階段は心臓に悪影響を及ぼす可能性がある、とのこと。

もうすぐ寒い冬がやってくる。うちのマンションは(大体どこでもそうだろうけれど)外階段である。

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