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Thursday, November 10, 2022

『カセットテープ少年時代 80年代歌謡曲解放区』マキタスポーツ、スージー鈴木(書評)

【11月10日 記】 マキタスポーツとスージー鈴木が BSトゥエルビでやっている音楽解説番組の書籍化である。

僕もこの番組を何度か観たことがあるし、見始めると前のめりに見続けてしまうのだが、何せ普段はほとんど見ない、と言うか、その存在さえほとんど忘れている BSトゥエルビである。却々レギュラーで観るというところにはたどり着かない。

だから、こういう本が出るのは大歓迎である。大変面白かった。

テレビというのは基本的に自らを大衆メディアと位置づけているので、一部の人にしか分からないようなこと、いろいろ深い解説をしないと理解しにくいようなことは反射的に避ける傾向がある。

だから、この2人がやっているような、Jポップ・シーンを賑わした名曲をさまざまな音楽用語や音楽理論を駆使して紐解いて行くような番組は基本的に成立しないのである。成立したのはひとえに BSトゥエルビであったからに他ならない(笑)

で、多くの人にとってはあまりピンと来なかったり、そもそも何を言っているのか分からないような番組であっても、その一方で僕のようにドンピシャリ嵌ってしまう視聴者もいるわけだ。僕は常にこんな番組があれば良いなあと思っていたし、こういう番組がほとんどないことを嘆いてきた。

そんな欲求不満がこの本で爆発的に解消されたのである。

僕はほとんど全ての本を今では Kindle で読んでいる。Kindle には気になったところにマーカーを引く「ハイライト」という機能があって、僕は普段は1冊の本にそんなに何箇所も何箇所もハイライトすることはないのだが、この本に限ってはマーカーを引きまくってしまった。

しかもそれは、「そんなことになっていたのか!」「なるほど、それは知らなかった!」という思いからハイライトしたのではなく、ほぼ全てが「そうそう、当時から僕もそう思ってた!」とか「前々からこのことに気づいている人がいないのを残念に思ってたんだ!」とか、そういうこみ上げる共感から引いたーマーカーであった。

そう、そのうちのいくつかは僕自身が自分のブログに書いてきたこととも完全に重なるのである!

今回は僕が感想をウダウダ書くよりも、そんな風にハイライトした箇所をただただ列挙しておこうと思う。これらについての本文を読むと、大体の人にとっては「それがどうしたの?」とか「それってどういう意味?」という感じなのだろうけれど、ごくごく一部の人は間違いなく僕と同じように飛び上がって喜ぶこと請け合いである。

  • サザンオールスターズの『C調言葉にご用心』の歌詞「そうでなきゃ Hand job」
  • サビのところで音が低くなるという桑田佳祐の特徴
  • スージー鈴木が選んだ浅香唯の『セシル』
  • スージー鈴木による薬師丸ひろ子の『Woman』のメロディ図解
  • 最優秀転調賞は渡辺美里の『My Revolution』(小室哲哉作曲)
  • だから小泉今日子には文化人が寄ってくる
  • アレンジ面で 9th の活用を確立したのは大村雅朗
  • スージー鈴木が選んだ松任谷由実作詞・桑田佳祐作曲の『Kissin' Christmas』
  • 佐野元春の『アンジェリーナ』の4分音符ひとつに詰め込まれた「シャンデリアの」
  • チェッカーズの『ジュリアに傷心』はグループサウンズの再来
  • マキタスポーツが選んだ泉谷しげるの『春のからっ風』
  • マキタスポーツが選んだ H2O の『僕等のダイアリー』(『想い出がいっぱい』ではなく)
  • スージー鈴木による松任谷由実『中央フリーウェイ』のコード図解

これらは僕がハイライトしたうちの一部である。これに興味を惹かれた人はこの本を読まない手はないと思う。

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