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Friday, November 11, 2022

ベルウッド・レコード50周年記念コンサート

【11月11日 記】 ベルウッド・レコード50周年記念コンサート@中野サンプラザに行ってきた。

ベルウッドを知らない人にベルウッドとは何ぞやということを語り始めるとかなり長くなってしまうので割愛するが、要するに日本のフォークの老舗レーベルである。この日はそのレーベルに属していた所謂レジェンドたちが一堂に会したコンサートだった。

まずはセットリストを入手したので、それをご覧いただこうかな。◆印は当日の歌手、その下は曲名、曲名の右はオリジナルの歌手/グループ名。

◆高田漣
『コーヒーブルース』高田渡
◆いとうたかお
『あしたはきっと』いとうたかお
『生活の柄』高田渡
◆大塚まさじ
『こんな月夜には』ザ・ディランⅡ
『プカプカ』ザ・ディランⅡ
◆中川五郎
『ミスター・ボー・ジャングル』中川五郎
『ミー・アンド・ボビー・マギー』中川五郎
◆森山直太朗
『君住む街に』西岡恭蔵
『一本道』友部正人
◆あがた森魚 supported by 鈴木慶一、武川雅寛
『赤色エレジー』あがた森魚
『冬のサナトリウム』あがた森魚
◆鈴木慶一、武川雅寛
『塀の上で』はちみつぱい
『煙草路地』はちみつぱい
◆高田漣
『ろっかばいまいべいびい』細野晴臣
◆なぎら健壱
『鉱夫の祈り』高田渡
『告別式』高田渡
◆伊藤銀次
『とめ子ちゃん』ごまのはえ
『乱れ髪』大滝詠一
◆佐野史郎
『夜汽車のブルース』遠藤賢司
◆佐野史郎 supported by 鈴木慶一、鈴木茂
『かくれんぼ』はっぴいえんど
◆鈴木茂
『氷雨月のスケッチ』はっぴいえんど
『花いちもんめ』はっぴいえんど
◆六文銭(小室等、及川恒平、四角佳子、小室ゆい)
『私は月には行かないだろう』六文銭
『キングサーモンのいる島』六文銭
『旅立ちの歌』上條恒彦と六文銭

出演者の中では森山直太朗と佐野史郎がちょっと異色だと思うが、彼らはベルウッドからレコードを出したりはしていないけれど、要するにふたりとも強烈なベルウッド・フリークなのである。

この2人は別として、ほとんどの歌手が自分の持ち歌を歌ったのであるが、唯一なぎら健壱だけは自分のオリジナルを歌わなかった。『教訓Ⅱ』とか『悲惨な戦い』とか『葛飾柴又にバッタを見た』なども聴きたかったが、それをせず高田渡のレパートリーをやったところが逆になんか凄かった。

大体の歌手が2曲ずつ歌っては交替するような構成だったが、その中で高田漣ひとりだけはほぼ出ずっぱりである。これは彼がユーティリティ・プレイヤだからということもあるが、もちろん故・高田渡の子息であるということが一番大きな要素だ(今日のバックバンドには坂田明の息子・学もいたらしい)。

この日の出演者の多くは、多分漣を赤ん坊のころから知っていたりするはずだ。いみじくも鈴木慶一が、

友部正人が『一本道』で「お調子のすき間からのぞいてみると そこには幸せがありました」って歌ったのは、あれは漣くんの両親のことだよ。友部は羨ましかったんだろうな

と言っていたのが印象に残っている。

それにしてもこの日の高田漣は1曲ごとに違う楽器に持ち替えて演奏しており、いつもながら大したもんだと思った。アコギをエレキに持ち変えるなんて生易しいものではなく、マンドリンもあればドブロもスティール・ギターもある。3フィンガーからボトルネックまで、奏法も極めて多彩だった。

僕は今回の出演者の中では特に大塚まさじ(ザ・ディランⅡ)、あがた森魚、鈴木慶一&武川雅寛(はちみつぱい)の大ファンである。3組とも素晴らしかった。とりわけあがた森魚がいまだにしっかり声が出ているのに驚いた。一緒に聴きに行った仲間も同じことを言っていた。

あと、森山直太朗の『一本道』もガツンっと来たなあ。

一点だけ、僕は六文銭は好きだが、このコンサートを『出発の歌』で締めるのだけはちょっと違うと思った。あれはベルウッドではなかったはずだし、あれは上條恒彦である。「最後に盛り上がる曲」という発想だったのだろうが、それは間違っていたんじゃないだろうか。一緒に聴きに行った仲間も同じことを言っていた。

まあ、でも、なんであれ愉しいコンサートだった。楽曲のサブスクリプションをはじめ、今後他にもいろいろな企画が出てくるようだ。

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