生まれるのが15年遅かったら
【11月1日 記】 年を取ってくると「ああ、自分がもう少し若ければ!」と思うことも全くないではないが、それよりも「ああ、生まれるのがもう 15年遅ければ!」などと思うことのほうが多い。
僕はコンピュータやインターネットが本当に、心から大好きだが、僕の人生にコンピュータが現れるのはあまりに遅すぎた。
考えてみれば、生まれてから何十年間かはコンピュータも携帯電話もなかったのだ。電話は家とか会社とかにあったが、コードで壁の穴と繋がっていたので、それを持って歩くことさえできない、そんな環境で育ってきたのだ。
僕が初めて PC を買ったのは 37歳のときだ。ブームが来て皆が買い始める少し前だったから、タイミングとしては遅くはない。だが、コンピュータを始めるには 37歳という年齢はいささか遅かった。
あれが 22歳だったら、もっともっとコンピュータに習熟して、ひょっとしたら何か資格も取得して、今とは違う人生のフェーズに立っていたのではないかと思うと無念でならない。
希望が叶って僕がインターネット関連のセクションに異動したのは 49歳の時だった。すでに部長である。せっかくコンピュータを駆使する部署に行っても、管理職では面白いことも何もない。
あれが 34歳の時だったら、もっともっと、バリバリ仕事を、つまり実務をこなして楽しかっただろうと思う。
僕が勤めていた放送局が番組配信を本格的に開始したのは僕が定年間近の 59歳の時だった。あれが 44歳の時だったら…、などと考え始めるときりがない。
そんなことをいくら考えても仕方がないので、もし本当に来世というものがあるのであれば、今度こそ若いうちからコンピュータと戯れ、コンピュータを駆使し、コンピュータとともに生きるような人生を送りたいと、心の底から願うばかりである。
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