ソーシャル・メディアとムーンライダーズ
【10月3日 記】 このブログにも何度か書いたことがあるかもしれないが、僕はムーンライダーズの大ファンである。オリジナル・アルバムは、SACD やアナログ限定、配信限定のものを除いて全部持っている。
ファンだったら全部持っていても不思議はないと思うかもしれないが、なにしろ 1975年から活動しているバンドである。ミニ・アルバム、ライブ・アルバムを含めると三十数枚(組)になる。
長いことやっていればそれくらいの数にはなるだろうと思うかもしれない。それはそれで正しい。
だが、それを1枚も逃さず買い続けているのはかなりのものだと自分でも思う。他にそんなアーティストはいないし、それにライダーズの場合はアルバムごとに作風がかなり違ったりするのに、例外なく全部好きだというのも我ながら凄いと思う。
ただし、収集家ではないのでベスト・アルバム(20種類ぐらいある)は1枚も持っていない。
亡くなったかしぶち哲郎を含む6人のメンバーが全員曲作りを手掛け、全員がソロ・アルバムを出していて、当然そういうアルバムも結構買っているので、僕の CDラックのかなりの部分をムーンライダーズが占めている。
しかしながら、周りにムーンライダーズのファンという人がほとんどいなかったし、シングルを出してもヒットした試しがなかったので、熱狂的なファンに支えられてはいるものの、ファンの数はかなり少ないのだと僕は勝手に思っていた。
ところが、インターネットの時代になって(って、今ごろ何を言っているのかと思われるかもしれないが、何しろインターネットどころかパソコンさえ存在しなかった時代から聴いているバンドなのである)、ソーシャル・メディアというものが出てきて、そしてハッシュタグによる分類や検索が可能になってみて初めて、日本中にこれほど大勢のファンがいるのだということを知ったのである。
まずは、僕自身が facebook や twitter で繋がっている人がムーンライダーズのファンだったという例が次々出てきたのである。そして、例えば note で #ムーンライダーズ を検索してみると、書いている人が山ほど見つかるのである。
そうだったのか!とちょっと驚いた。昔からこんなに多くの人がムーンライダーズを聴いていたのか、この半世紀の間に少しずつファンが増えたのかは分からない。でも、少なくとも今現在、彼らの歌を聴いて楽しんでいる人は少なくないのである。
僕はムーンライダーズの人気に驚いたのではない。ムーンライダーズの人気を僕に知らしめたインターネットとソーシャル・メディアとハッシュタグの威力に驚いたのである。
多分それらの導きによって新たにファンになった人も少なくないのではないだろうか? それらの助けによって随分昔の作品がまた聴かれたりすることもあるのではないだろうか?
昔だったら1枚アルバムを出したもののヒットには至らず、そのまま引退に追い込まれ、そのまま世間から忘れ去られる歌手がたくさんいたのではないだろうか。
インターネットとソーシャル・メディアとハッシュタグによって、音楽ビジネスは昭和の時代のそれとは全く違うフェーズに入ったのだと改めて痛感した。
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