映画『コンビニエンス・ストーリー』
【8月6日 記】 映画『コンビニエンス・ストーリー』を観てきた。
三木聡は僕とは相性の悪い監督で、3本ほど観たが、2010年以降は1本も観ていない。ひとことで言うと、僕とは趣味が合わない。具体的な何かがダメということではなく、結果的にできあがった作品が全体として僕の趣味に合わない。
脚本家の加藤(成田凌)は同棲中の女優・ジグザグ(片山友希)が飼っている犬のケロベロスを山中に捨てに行って、そこで車がエンコしてしまう。近くにコンビニがあったので行ってみたのだが、そこに車が突っ込んできて異世界に飛ばされてしまう。
そこは同じコンビニで南雲(六角精児)と妻の恵子(前田敦子)が切り盛りしていた…。
とにもかくにも非常に作り物感の強い作品で、今回もしんどいなと思って観ていたのだが、しかし、最後まで見通すとそれなりの感懐はある、とだけは言っておこう。
謎解きをして最後には全ての辻褄を合せてしまおうという監督ではないので、当然なんだか分からないところは残るし、それはそれで良いのだが、しかし、この映画はもっとプリミティブな次元で分かりにくいところがある。
例えば、南雲は胸に人面のタトゥーを入れているとのことだが、これが人の顔を象っているとは俄に分からなかったり、他にもそれは誰で、それがどうなったのか、みたいなことがあんまりうまく伝わっていない部分があった気がする。
あと気になったのは、画面の色合い。随分暗い。そして画像が粗い感じのシーンもある。
もちろん考えた上でそういう画作りをしているわけだが、しかし、映画館に貼ってあるポスターや売っているパンフレットの写真は極めて色鮮やかで、この不統一感は何故なんだろうと気になる一方で、僕は全体をこういう人工的で明るい色合いにしたほうが良かったように思う。
この映画には僕が気づかない、いろんなオマージュが満載だったらしいが、パンフを読んでそれを知っても、「なるほど!」というより、「それがどうした?」という感じなのだ。とにかく僕とは相性が悪いとしか言いようがない。
最初に観た2本(『イン・ザ・プール』と『転々』)はそこそこ面白かったので、そろそろ面白い作品に当たるかなと思ったのだがダメだった。
今回何故観たかというと、それは僕が女優として高く評価している前田敦子が出ていたからである。今回のこの役のこの感じ、この浮遊感と不気味さとちょいエロい感じは敦ちゃんにしか出せない気がする。やっぱり大した女優だ。
もうひとり、片山友希も目当てにしていたのだが、こちらはピストルで撃たれて血みどろになったり、口からドロドロとイクラを吐き出したりするようなシーンばかりで、あまり観るべきところがなく残念だった。
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