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Friday, June 03, 2022

いろんな人がいる

【6月3日 記】 世の中にはいろんな人がいる。

もう何か月か前だが、僕がひとりで映画を観に行った日のこと。

上映開始は 13:00 ちょい前で、僕は腹ペコだった。映画館と言えばポップコーンで、僕はポップコーンが大好きだが、ポップコーンで空腹を埋め尽くそうとは思わなくて、そういうときは大体ホットドッグ系のものを買う。

ところが、その映画館ではあまりその手のものを置いていなくて、ほとんどが袋入りのパンだったりするのだ。その日も一応わずかに何人分かは用意してあったホットドッグは午前中で売り切れて、あとは袋入りのパンしかなかった。それで僕は仕方なくそれを買った。

何の映画だったか忘れたが、結構混んでいた。僕の右隣にも若い女性が座った。しかし、僕は男の子だと思っていた。

髪の毛は短く、ベースボールキャップみたいなのを被って、スカートではなくパンツスタイルだった。映画が終わってから彼女が女子トイレに入る姿が目に入り、その時初めて、ああ、女性だったのか、と気がついた。

で、最近はコロナ対策で、映画本編が始まるまでは飲食が禁じられている。昔だったら CM と予告の間にむしゃむしゃと食べ尽くしたものだが、それができなかったのが運の尽きだった。

ともかく腹が減っていたので、本編が始まってすぐに僕はカバンからさっき買ったパンを取り出して、ビニールの袋を開けた。そして、当然そのままでは食べられないので、パンの頭を少し袋の外に出すべくずらそうとしたのだ。そしたら、右隣の女が言った。

あー、うるさいうるさいうるさい

「うるさい!」ではない「うるさいうるさいうるさい」である。そして、あろうことか、自分の両手の指を思いっきり広げて、僕の両手とパンをぐっと押さえつけてきたのである。

確かに多少音はした。それはパンを食べられる形にするまでのことであって、その後はそんなに大きな音はしないはずだ。しかし、その「うるさいうるさいうるさい」で僕はパンを引っ込めるしか仕方がなくなった。

そして、それから数分後。

僕の右隣の右隣、つまり両手で僕を押さえつけてきた女性の右隣の女性も、実は袋入りのパンを買って持ち込んでいたことに僕は気づいていた。そして、彼女もこの顛末を見ていたはずだからどうするかと思ったら、彼女も空腹だったのだろう、やおらパンの袋を開けようとした。

すると件の女性は、今度は「うるさいうるさいうるさい」とは言わなかったが、僕にやったのと同じように自分の右隣の客の手とパンをぐいっと押さえつけたのである。無論彼女もパンが食えなくなった。

いろんなことを書く気はない。ただ、世の中にはいろんな人がいるものである。

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