『新しい星』彩瀬まる(書評)
それぞれの家族や仕事仲間とのギクシャクした関係もある。でも、4人ともそれぞれができることをする。出過ぎたことはやらずにできることをやる。その辺りがとても気持ちが良い。
必ずしも心が晴れるような物語ではないかもしれない。でも、少しじんわりと温かみを感じられる物語なのだ。
その不思議な景色を、青子は遠い、よく晴れた日の水平線を前にした心地で眺めた。爽やかで、美しくて、さわれない。
うまい表現だ。この作品を通じて、そんな人生観が通奏低音となっている。
最後の『ぼくの銀河』の、ほんとにどうでも良いような終わり方が却って温かい。
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