映画『ホリック xxxHOLiC』
【5月3日 記】 映画『ホリック xxxHOLiC』を観てきた。大ヒットしたコミックスの映画化。
パンフレットを買う直前に、この題名 xxxHOLiC は何と読むのかが分からなくて、(読めないと店頭で題名が言えないので)スマホで調べてみたら単に「ホリック」で良かった(よく見たら入場券にも書いてあったw)。
が、パンフレットは売り切れだった。なるほど、SixTones の松村北斗のせいか。
蜷川実花は僕とは相性が悪い監督のひとりで、こんなことを書くと監督のファンは怒るかもしれないが、僕にとって彼女は単に画が綺麗なだけの監督というイメージが強い。
とにかく初めて観た(そして、蜷川実花にとっても処女作の)『さくらん』が、画はものすごく綺麗なのだけれど、あまりのつまらなさに(僕はあまりそういうことはないのだが)途中で観るのをやめてしまったほどだから…。
中には『ヘルタースケルター』みたいな、僕も非常に気に入った作品もあるにはあったが、どうも最初の印象が強烈すぎて、やっぱり観るのを躊躇してしまう。この映画も相当迷った上で一大決心をして観に行った感じだ(笑)。
さて、これまでの蜷川映画の例に違わず、非常に絢爛な衣装とセットに加えて、今回は CG/VFX がてんこ盛りである。それだけに画はいつもにまして綺麗だった。
四月一日君尋(わたぬききみひろ、神木隆之介)は人の弱い心に取り付く真っ黒なアヤカシが見えてしまう。しかし、それを自分ではどうすることもできないので、そこから逃げ回るしかない。
毎日逃げ回って疲弊しきり、もういっそのこと死んでしまおうかと思ったときに現れた蝶に導かれて壱原侑子(柴咲コウ)の店にたどり着く。侑子は自分の一番大切なものを差し出せばどんな願いでも叶えてやると言う。
侑子の店にはいろいろな客が来る。中には美咲(趣里)のように見栄を張って嘘ばかりついて破滅に追い込まれる者もいる。四月一日はそんな彼らの姿を目の当たりにする。
やがて、四月一日は侑子の店の住み込み家政夫となる。そして、今までずっと人を避けて生きてきた四月一日に、初めて百目鬼(どうめき、松村北斗)とひまわり(玉城ティナ)という友だちができる。いずれも高校の同級生だ。
寺の息子で“祓う人”の百目鬼、逃れられない不幸な運命に苦しむひまわり、そして、四月一日のアヤカシが見える目を食べてしまいたいと言う魔性の女・女郎蜘蛛(吉岡里帆)と、その一味であるアカグモ(磯村勇斗)らを巻き込んで物語は展開する。
今回は単なる画の綺麗さだけではなく、カメラワークがとても良いと感じた。
複数のカメラで捉えた細かいカット割りが良いテンポを生んでいる。時折インサートされる喉元や足許のアップも功を奏している。次のシーンに移るときに時間を飛ばして進める手法も巧く機能していると思う。撮影監督は相馬大輔だ。
そんなこともあって、アクションもの/活劇として、結構楽しんで観られた。
だが、最後まで観たあとの満足感は小さい。何と言うか、込められたメッセージはかなり薄っぺらいのだ。うーん、吉田恵里香ってもっと良い脚本が書ける人なのにな…というのが正直な感想。
映像美はさらに進んだのだが、蜷川実花監督の次回作についてはさらに躊躇することになりそうだ。
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