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Friday, May 06, 2022

NHK BS4K『ふたりのウルトラマン』

【5月6日 記】 NHK BS4Kから録画しておいた“沖縄本土復帰50年 ドキュメンタリードラマ”『ふたりのウルトラマン』(2022年5月2日放送)を観た。

ウルトラマン・シリーズの初期を支えた2人の沖縄出身の脚本家、金城哲夫と上原正三(通称・ウエショー)の物語。

ウルトラマン・シリーズの放送素材を含むアーカイブ映像と、この番組用に新たに収録されたインタビュー、そして、ドラマを組み合わせた作品。

監督は『ナビィの恋』の中江裕司、出演は金城役に満島真之介、ウエショーには佐久本宝と、沖縄出身者で中核を固めたスタッフ/キャストである。佐久本については完全に忘れていたが、李相日監督の『怒り』で広瀬すずと2人で離島で暮らす高校生役を演じた俳優だ。

僕は普段から監督や脚本家に注目してドラマを観るタイプだから、この年齢の男性としては割合脚本家の名前も知っているほうだと思う。しかし、考えてみたらヒーロー物の脚本家なんてほとんど知らない。かろうじて知っているのはこの番組にも1シーン登場した飯島敏宏ぐらいのものだ。

だから、ウルトラマンやウルトラセブンをこの2人が書いていたなんてことは全く知らないし、その番組がどんな環境の中でどんな風に作られたのかも全く知らなかった。

円谷英二という名前はもちろん当時から知っていたが、その息子たちについては、(僕はそもそも親と同じ職業につく奴を軽蔑していたこともあって)親の七光りであぐらをかいているボンクラだと思っていた。ところが、ここで描かれている円谷一は名監督であり、名プロデューサーであった。

円谷英二を演じたのは綾田俊樹、円谷一を青木崇高、実相寺昭雄を玉置玲央、金城の妻を沖縄出身の蔵下穂波、60歳になったウエショーを平田満が演じている。

ドキュメンタリーやドラマとしての構成や演出がどうこう言う前に、僕にとっては全てが初耳の話だったので、何も考えずにのめり込んでしまった。ウルトラマンもウルトラセブンも毎週必死で観ていたので、なおさらである。

大ヒットの『ウルトラマン』に対して、『ウルトラセブン』は『ウルトラマン』ほどの高視聴率が取れず、CXの『マイティジャック』に至って円谷特技プロダクションは倒産の危機に瀕したということも改めて知った(その後も何度も倒産の危機に瀕したのは知っていたが)。

その『マイティジャック』を書いていたのが金城で、同じ頃『怪奇大作戦』(これも毎週観ていたなあ)を書いていたのがウエショーだった。

ドラマは金城と円谷一の友情を絡めながら、金城の挫折を中心に描かれている。あんまり救いのない話かもしれない。しかし、あの時代と沖縄という土地の歴史的特殊性をしっかりと描ききった秀作だと思った。

結構深い余韻が残っている。

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