映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』
【5月21日 記】 映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』を観てきた。
まずは何と言ってもこれだけの豪華キャストが1人も欠けずに、入れ替わることもなく、全員が再結集したこと。これはちょっとやそっとのことではない。
前作は、原作ファンの間ではあまり芳しくない評価もあったようだが、少なくとも僕はあのキャストは大正解だと思っていて、とりわけマスタング大佐(ディーン・フジオカ)、ホークアイ中尉(蓮佛美沙子)、エンヴィ(本郷奏多)、グラトニー(内山信二)、ウィンリィ(本田翼)らは大のお気に入りだった。
とは言え、前作から撮影は4年ぶり、公開は5年ぶりという月日はあまりに長く、エド役の山田涼介は前作ではまだ少年の面影が少し残っていたのが今作では完全に青年のイメージであり、まあハリー・ポッターほどではないのだが、ちょっと辛い部分もあった。蓮佛美沙子も然り。
僕は原作は読んでいないが、TVアニメと映画版アニメは観ている。しかし、ろくに何も憶えていないのはいつものことだ(笑) とは言え、この映画を見ていると、「あ、慥かにこんなシーンがあったな」とか「そうそう、こいつは悪い奴だった」などと思い出すことも少なくなかった。
ただ、(何しろおぼろげにしか思い出さないので、ここがそうだと正確に指摘できないのだが)あれだけの長い作品を3本の構成とは言え映画で全て描くのは至難の業で、当然省いたり、組み替えたり、大胆に書き換えたりということが起こる。
そこが少しうまく行っていない感じもあり、展開上やや破綻を来している印象を持ったところもある(特にスカーの言動に関して)。また、台詞が滑っていたり、演技が大げさになっていたりするところもいくつか引っかかってしまった。
いや、ひょっとしたらアニメと同じ設定や進行であったにも関わらず、アニメで見たら違和感がなかったのに、実写で見ると引っかかったのかもしれない。それはそれで演出の問題である。
でも、前作公開時はまだ芸能界入りしていなかった渡邊圭祐(シン国の王子リン役)や、物語において大きな比重を占めるキング・ブラッドレイ役の舘ひろし、そして今作最強の敵役・スカーを演じた新田真剣佑など、新たなキャストも含めて、やはりキャラは一人ひとりよく立っていて、そこは充分楽しめた。
女性陣でも風吹ジュン、奥貫薫、堀内敬子ら、僕の好きな役者さんたちが脇を固めていたのも嬉しかった。
剛腕の錬金術師が山本耕史だったとは全く見破れず、見終わった後パンフレットの写真を見てもやっぱり分からなかった(笑) リンの手下の爺さんを演じていた筧利夫も同じで、ことほどさように特殊メイクや特撮・CGの技術は高かったということか。
多くの役者がグリーンベースをバックに演技するのは難しかったと言っている中で、新田真剣佑が、曽利文彦監督の指示がすごく分かりやすく丁寧だったので全くやりにくくなかったと言っているのが印象深い。そう、やっぱりこの監督は最初からそういう画が見えている人なのである。
さあ、約1ヶ月後には完結編が上映される。今回はちょっと粗もあったけど、どっちにしても最終的な評価をするのはそれを見終わってからかなと思う。
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