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Tuesday, May 31, 2022

映画『流浪の月』

【5月31日 記】 映画『流浪の月』を観てきた。凪良ゆうの原作小説の映画化。魂を揺さぶられた。ただし、途中までは――。そのことについては最後に書く。でも、李相日監督らしい、非常に濃密で堅牢な作品になっていたのは確か。

冒頭はブランコに乗った少女を後ろから撮った映像。ただし、カメラは彼女の背後に、常に彼女の頭の高さで、頭のすぐ後ろに固定されている。

だから、バラエティ番組でタレントが頭に自撮りカメラがついたヘルメットを被ってジェットコースターに乗ったときみたいに、少女の頭は常に画面の中央に固定されていて、ブランコが揺れるのに合わせて背景が揺れる。――酔うからやめて、と見ていて思った。

すると次は同じ構図で少女の前から撮る。またも顔が固定されて風景が揺れる。白鳥玉季だ。なるほど、この子を持ってきたか、と思った。彼女の出演ドラマはたくさん観てきた。とても上手い子だ。そして、そう言えばなるほど広瀬すずにも少し似ている。

主人公の家内更紗の少女時代を白鳥が、15年後を広瀬が演じている。

話をカメラに戻すと、カメラマンはこういう構図が好きみたいで、他にも同じような画を作っている。

こちらに歩いてくる更紗を固定カメラで撮るのではなく、後退りしながら彼女の顔を中央に、サイズを一定のまま撮って、背景を後ろに流して行く。あるいは走る車を上空からカメラに収めるときにも同じようなカットがあった。

カメラマンは韓国のホン・ギョンピョ。『パラサイト 半地下の家族』などを撮った名匠とのことだ。

結構強烈なフォーカスアウト、フォーカスインも目立った。そして、タイトルの一部になっている月だけではなく、雲やら青空やら鳥やらの風景のインサートも多く、全体に凝りに凝った画作りという感じ。李監督は韓国語ができるのだそうで、だからこそこんな職人のカメラマンと組んで映画を作ることができたんだろう。

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Sunday, May 29, 2022

映画『犬王』

【5月29日 記】 映画『犬王』を観てきた。湯浅政明監督。Photo_20220529152401

僕は別にアニメ・オタクではないし、とりたてて湯浅監督を信奉しているわけでもないので、湯浅監督の名前しかなかったらこの映画を観なかったかもしれない。観ようと思ったのは脚本を野木亜紀子が書いていたからだ。

僕の好きなドラマの書き手で言うと奥寺佐渡子もアニメ台本を何本か手がけているが、野木亜紀子にとってはこれが初めてのアニメ作品である。

しかし、映画が始まると、湯浅政明の圧巻の画作りの前に、野木亜紀子なんかどっかに吹っ飛んでしまった。ことほどさように、これはものすごい画である。

原作小説があったわけだが、よくもまあこんな話をアニメにしようと思ったものだ。そして、よくもまあこんな画を作ったものだ。度肝を抜く構図、見たこともないタッチ、脳裏に張り付く色遣い──そのどれも、僕だったら決して思いつきもしないものだ。

冒頭の、現代の日本の雨に濡れた夜の舗道の、写真かと見紛うばかりの写実的な画から、時代は次から次へと遡り、一気に600年の昔に飛ぶ。そのときにはもう冒頭の作風はどこにもない。

そこで描かれるのは2人の若者。平家の祟りで視力を失い、都に出て琵琶法師となった友魚(ともな、のちの友一、友有)と、猿楽一座の棟梁であった父親が悪霊に魂を売り渡したために異形の者となって生まれた犬王(実在の人物であり、観阿弥・世阿弥にも大きな影響を与えたとされている)。

2人はすぐに意気投合し、路上のパフォーマンスでたちまち街中の人間を虜にする。そう、それはまさに現代で言うパフォーマンスなのであって、猿楽や能、琵琶法師のイメージとは程遠い。文字通りの正調ロックであり、そこにところどころ和楽の要素が取り入れられている。

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Saturday, May 28, 2022

童謡

【5月28日 記】 童謡・唱歌の歌詞について時々考える。何故こんなに怖い歌詞なんだろう、と。

最初に思ったのは、もう何十年も前。ヒカシューのボーカリスト・巻上公一が、ソロで出したカバー・アルバムで『赤い靴』(野口雨情・詞、本居長世・曲)を歌っているのを聴いたときだ。

そう、この野口雨情のように、明治~大正に作られた童謡・唱歌の類には錚々たる詩人が歌詞を提供しているのだ(ちなみにその時期に書かれた詞は全てパブリック・ドメインになっている)。

この歌の恐ろしいのは3番である。1番と2番で、赤い靴を履いていた女の子が「異人さん」に連れられて横浜港から外国に渡るところが描かれるのだが、3番はこうだ:

今では青い目になっちゃって
異人さんのお国にいるんだろう

これ、ほとんどホラーではないか! そして、4番では:

赤い靴見るたび考える
異人さんに逢うたび考える

と言う。考えるたびに恐ろしくなる。

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Thursday, May 26, 2022

【note】 「地球最後の日に持ち金を使い果たす」報道に思う

【5月26日 埋】 また忘れてましたが、note に記事を書きました。ここにも埋めておきます:

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Tuesday, May 24, 2022

映画『バブル』

【5月24日 記】 映画『バブル』を観てきた。

僕はアニメに詳しいほうではないが、虚淵玄という名前は知っている。ま、読み方が難しいから憶えていただけかもしれないが(笑)

その虚淵玄が脚本を書き、WIT STUDIO が制作したという情報と、あとは予告編で若干見た印象だけで観に行った。どういう話なのかも全く知らず(他に「企画・プロデュース」で川村元気というビッグネームも名を連ねていたが、それは後から知った)。

しかし、初めのほうでいきなり説明的な台詞があってげっそりした。僕は登場人物が観客に状況を説明するために不自然な台詞を吐くのが大ッ嫌いである。それと、せめて英語のタイトルだけでも BUBBLES にしておけば良いのに、単数形はあり得ないだろう、などと余計なことを考え始めていた。

しかし、話がどんどん展開して行くと、その圧倒的な作画能力の前に完全に屈してしまった。

モチーフは『人魚姫』だそうだ。しかし、僕は男の子だったので、小さいときに絵本で『人魚姫』を読んだという記憶もないし、いまだにどんな話かも知らない。でも、荒木哲郎監督は知ってたってことか?

ただ、この作品の面白さは人魚姫自体にあるのではなく、その人魚姫を“重力が壊れた東京”という舞台に置いたことである。

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Sunday, May 22, 2022

Play Log File on my Walkman #148

【5月22日 記】 2ヶ月ぶりにプレイログを披露します。と言っても、今回も5曲だけ。

  1. ふたりは若かった(小山ルミ)
  2. 私の家(六文銭)
  3. ロックンロール・ナイト(佐野元春)
  4. いいじゃない(渡辺美奈代)
  5. MIDNIGHT(甲斐バンド)

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Saturday, May 21, 2022

映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』

【5月21日 記】 映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』を観てきた。

まずは何と言ってもこれだけの豪華キャストが1人も欠けずに、入れ替わることもなく、全員が再結集したこと。これはちょっとやそっとのことではない。

前作は、原作ファンの間ではあまり芳しくない評価もあったようだが、少なくとも僕はあのキャストは大正解だと思っていて、とりわけマスタング大佐(ディーン・フジオカ)、ホークアイ中尉(蓮佛美沙子)、エンヴィ(本郷奏多)、グラトニー(内山信二)、ウィンリィ(本田翼)らは大のお気に入りだった。

とは言え、前作から撮影は4年ぶり、公開は5年ぶりという月日はあまりに長く、エド役の山田涼介は前作ではまだ少年の面影が少し残っていたのが今作では完全に青年のイメージであり、まあハリー・ポッターほどではないのだが、ちょっと辛い部分もあった。蓮佛美沙子も然り。

僕は原作は読んでいないが、TVアニメと映画版アニメは観ている。しかし、ろくに何も憶えていないのはいつものことだ(笑) とは言え、この映画を見ていると、「あ、慥かにこんなシーンがあったな」とか「そうそう、こいつは悪い奴だった」などと思い出すことも少なくなかった。

ただ、(何しろおぼろげにしか思い出さないので、ここがそうだと正確に指摘できないのだが)あれだけの長い作品を3本の構成とは言え映画で全て描くのは至難の業で、当然省いたり、組み替えたり、大胆に書き換えたりということが起こる。

そこが少しうまく行っていない感じもあり、展開上やや破綻を来している印象を持ったところもある(特にスカーの言動に関して)。また、台詞が滑っていたり、演技が大げさになっていたりするところもいくつか引っかかってしまった。

いや、ひょっとしたらアニメと同じ設定や進行であったにも関わらず、アニメで見たら違和感がなかったのに、実写で見ると引っかかったのかもしれない。それはそれで演出の問題である。

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Tuesday, May 17, 2022

【note】 パワハラ時代を乗り越えてきて

【5月17日 埋】 忘れていましたが、先日 note にまた記事を書きました。ここ最近同じようなことばかり書いてますけどね(笑)

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Sunday, May 15, 2022

『ヒット曲は発明だ!』羽島亨(書評)

【5月15日 記】 本屋でたまたま見つけて買った。こんな本が読みたかったのだ。2018年に発売されていたのに全く知らなかった。

著者はポニーキャニオンでさまざまな歌手のプロデューサーを務め多くのヒット曲を放ってきた人。

昭和歌謡ブームもあって、「ヒット曲の秘密を探る」みたいな本は結構出ている。が、僕にとってはどれもこれも食い足りない感じだった。

それらの多くは歌詞ばかりに注目して音楽面の考察が不足していたり、音楽的な構造に踏み込まずに単なる印象で語っていたり、とかく抽象的、あるいは部分的で、「○○っぽい」とか「○○の要素を取り込んだ」などの曖昧な表現が多かったりした。

それに対してこの本のありがたいのは、まず、取り上げている全曲の楽譜が載っていること。それも4小節や8小節ではなく、全曲の全スコアがコードネーム入りで記載されていることである。

第1部「1960年代」から始まって、10年ごとに第5部の「2000年代」までで23曲を扱っているのだが、単にそれぞれについて解説しているだけではなく、これらを読み進むことによって、作曲するための、あるいは楽曲を分析するための基本的な知識が身につく構造になっているのだ。

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Saturday, May 14, 2022

映画『シン・ウルトラマン』

【5月14日 記】 映画『シン・ウルトラマン』を観てきた。

知人が facebook に

『シン・ゴジラ』のように、ゴジラだけどゴジラじゃなかったー!的な面白さではないかも。ウルトラマンより、もっとウルトラマンだったー!って感じ。

と書いていたが、確かにそんな感じ。

ただ、オリジナルのウルトラマンの頃より特撮技術は長足の進歩を遂げているから、やっぱりリアリティも迫力も格段に上がっている。

いや、特撮と書いたが9割はミニチュア特撮ではなく CG なのだそうだ。ビルの破壊などの物理計算をする CGI が格段に良くなっているとのこと。なるほど、それであんな画が完成するわけだ。

とは言いながら、神永(斎藤工)がウルトラマンに変身するシーン、そして、ウルトラマンが空にビューンと飛び上がって行くシーンについては、昔の円谷プロがやっていた、動かない人形を使った感じをそのまま残しているのが憎い。

カメラは、演じている役者自身が手持ちで至近距離から共演者を捉えた GoPro や iPhone を含めてかなりの数を用意し、さらに役者に何度も何度も同じシーンを演じさせて一番良いアングルを選んだと言う。

結果的には、人物を徹底的に下からあおって撮った画が圧倒的に多く、たまに俯瞰、そして時々ものすごいドアップの1ショットが入る構成で、これは却々面白かった。

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Friday, May 13, 2022

NHK BS4K 『雪国』

【5月13日 記】 NHK BS4K で録画しておいた『雪国』を観た。脚本は藤本有紀。

川端康成にも主演の高橋一生にもさしたる興味はない。ひたすら駒子役の奈緒が観たくて録画したのだ。奈緒はこのところ僕が一番推している女優である。

まず驚いたのは画の綺麗さ。いや、綺麗は綺麗なのだけれど、綺麗と言うよりもむしろ「リキ入ってるな!」という感じ。「4K だとこんな綺麗な映像をお見せできるんですよ!」とカメラマンが誇らしく語っている感じがある。

夜のシーンでの陰影のつけ方、画面の奥行きの出し方、等々。

最初のシーンで、書斎で仕事をしている島村(高橋一生)を女中が呼びに来る。手前に島村を置いて、奥のドアを開けて女中が顔を覗かす2ショットなのだが、2人の会話の間中、カメラの焦点はずっと女中に合っていて、島村はぼかしてある。島村の台詞の間もずっとそうなので少し驚いた。

ドラマを通してこんな風に被写界深度を浅くして(他のシーンでは無論手前ではなく奥がぼかしてあるのだが)見事な奥行きが出ている。

宿の浴場から帰ってきた島村が部屋に続く廊下の階段を上がろうとしたら、上に駒子が来て立っているシーンも凄かった。階段の下からあおった画なのだが、相当の角度がついていて、駒子の着物の裾が広がっていることもあって彼女が大きく、存在感たっぷりに映り、角度がきついのでその奥に映っているのは壁や襖ではなくて天井である。

他にも挙げればきりがないが、全般にコントラストが非常にくっきりしていて、どうよ、4K ってこんなに綺麗に映るんだよ、と言わんばかりにまざまさと見せつけてくれた。

先日観た『ふたりのウルトラマン』も 4K だったが、アーカイブ映像が多かったこともあるのか、あのドラマではそんなことは全く感じなかったな。

4K が登場した当初は、カメラがちょっと速く動くと、観ているほうは軽く乗り物酔いしたような感覚に襲われたものだが、技術の進歩で、今はカメラが動くとなんとも言えない趣を感じたりしてしまう。

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Thursday, May 12, 2022

『謎ときサリンジャー―「自殺」したのは誰なのか―』竹内康浩・朴舜起(書評)

【5月12日 記】 僕はサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を3回読んでいる。最初は野崎孝の訳で、次いで原文で、そして最後に村上春樹の訳で。

初めて読んだ J・D・サリンジャーは短編集『ナイン・ストーリーズ』に収められていた The Laughing Man で、これも翻訳ではなく英語で読んだ。

『ナイン・ストーリーズ』については For Esmé—with Love and Squalor も原文で読み、その後この短編集の9編を野崎訳で読み、まだ読めていないのだが柴田元幸の訳も手に入れている。

それ以外にも、Franny and Zooey は原文、野崎訳、村上訳で3回読んでいるし、『大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア-序章-』も『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年』も読んでいる。

そんなサリンジャー・フリークにとっては、この本はたまらなく面白い。もう寝っ転がったまま飛び上がりたいぐらい面白い。

『ナイン・ストーリーズ』冒頭の『バナナフィッシュにうってつけの日』では、グラス家の長兄であるシーモアがピストル自殺をするところで終わるのだが、実はシーモアは自殺したのではなかったのではないか、というところからこの本の考察が始まる。

全ての読者がシーモアが自殺したことを疑いもしていないはずだが、しかし、この小説の後半になると、急にシーモアという主語は出てこなくなり、「若い男は」という書き方しかされていないことを、この本の著者はまず指摘する。

とは言っても、この本が展開しているのは、ミステリ小説の謎解きのような分析ではない。

著者はシーモアは死んでいないとは言わない。著者が言うには、死んだのはシーモアであっても、引き金を引いたのはその弟で作家のバディーだったのではないかということなのだ。

しかし、他の作品を読めば、バディーがシーモアの訃報を受けて駆けつけてくる記述があり、シーモアが死んだときに側にバディーがいなかったのも明らかだ。

読み進んで行くと、著者の指摘は、死んだのは「シーモアかバディーのどちらか」であり、それはどちらかとしか言いようのないどちらかだったのだという、何だか分からない主張になってくる。しかし、そのことは『ハプワース』の中で7歳だったシーモアが予言していると言う。

それを読み解いた著者の解釈は「若い男」が死んで、その二重性をバディーが背負い込んだということなのである。

バディーという人格の半分が死者シーモアによって成り立つことになった。

サリンジャー自身もまた、自分が書くものは死者が半分を書いていると感じていたのかもしれない。

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Wednesday, May 11, 2022

GW を振り返る

【5月11日 記】 ゴールデン・ウィークが終わった。

妻は会社勤めではなく、ちょっと不規則な働き方をしていて、この連休中にも仕事の日が何日かあった。毎年そんな感じだったのだが、今年は仕事が多めに入っていたような気がする。

彼女にとってはせいぜいがブロンズ・ウィークぐらいだったんじゃないかな。

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Monday, May 09, 2022

【note】今それをやる意味

【5月9日 埋】 昔このブログに書いた文章に少し筆を入れて note にアップしました。

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Saturday, May 07, 2022

映画『ツユクサ』

【5月7日 記】 映画『ツユクサ』を観てきた。

脚本家の安倍照雄という名前に聞き覚えがなかったので、調べてみたら『ふしぎな岬の物語』を書いた人だと言うので一旦は観ないことにした(笑)のだが、映画通の知人が褒めていたので、気を取り直して観に行った。

平山秀幸監督の映画を観るのはこれが6本目だが、僕の中ではこの人は結局『しゃべれども しゃべれども』を超えるものを撮れていない気がしていた。

この人はあまり SF的だったりサスペンスっぽかったり、あるいは“感動の人間ドラマ”みたいな題材よりも、今回のようなネタのほうが向いていると思う。いみじくも本人が、

ここのところ、作る方も観る方も力が入って構えるような作品が続いたので、今回はリキまない映画づくりをしようと思っていました。

と言っている。そう、まさに今回の作品は「力が入って構える」ような作品とは対極的なところにある。そして、まさに力みの取れた良い作品に仕上がったと思う。

冒頭は天文学好きの少年・航平(斎藤汰鷹)が語る隕石の話。そして、彼が「親友」と呼ぶ、親子以上に年の離れた女性が五十嵐芙美(小林聡美)だ。

芙美は海辺の街のウォッシュタオル工場で働いている。一人暮らし。断酒会に参加している。──そういう彼女のプロフィールが少しずつ語られる。そして、彼女の運転する車に隕石の欠片(だと航平は主張する)が当たって、車は横倒しになる。

横倒しになった軽自動車の中で立ち上がっている小林聡美の構図がなんとも愉快だ。

その芙美を車で迎えに来てくれたのが、同じ工場で働く直子(平岩紙)で、実は彼女が航平の母親である。芙美はこの直子と、同じく同僚の妙子(江口のりこ)と親しく、いつも3人で昼食を取り、たまに3人で買い物にも行く。

そして、芙美と同じく、やっぱりいろいろと悩みを抱えている直子や妙子のサイドストーリーも、芙美の心情と並行して描かれて行く。

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Friday, May 06, 2022

NHK BS4K『ふたりのウルトラマン』

【5月6日 記】 NHK BS4Kから録画しておいた“沖縄本土復帰50年 ドキュメンタリードラマ”『ふたりのウルトラマン』(2022年5月2日放送)を観た。

ウルトラマン・シリーズの初期を支えた2人の沖縄出身の脚本家、金城哲夫と上原正三(通称・ウエショー)の物語。

ウルトラマン・シリーズの放送素材を含むアーカイブ映像と、この番組用に新たに収録されたインタビュー、そして、ドラマを組み合わせた作品。

監督は『ナビィの恋』の中江裕司、出演は金城役に満島真之介、ウエショーには佐久本宝と、沖縄出身者で中核を固めたスタッフ/キャストである。佐久本については完全に忘れていたが、李相日監督の『怒り』で広瀬すずと2人で離島で暮らす高校生役を演じた俳優だ。

僕は普段から監督や脚本家に注目してドラマを観るタイプだから、この年齢の男性としては割合脚本家の名前も知っているほうだと思う。しかし、考えてみたらヒーロー物の脚本家なんてほとんど知らない。かろうじて知っているのはこの番組にも1シーン登場した飯島敏宏ぐらいのものだ。

だから、ウルトラマンやウルトラセブンをこの2人が書いていたなんてことは全く知らないし、その番組がどんな環境の中でどんな風に作られたのかも全く知らなかった。

円谷英二という名前はもちろん当時から知っていたが、その息子たちについては、(僕はそもそも親と同じ職業につく奴を軽蔑していたこともあって)親の七光りであぐらをかいているボンクラだと思っていた。ところが、ここで描かれている円谷一は名監督であり、名プロデューサーであった。

円谷英二を演じたのは綾田俊樹、円谷一を青木崇高、実相寺昭雄を玉置玲央、金城の妻を沖縄出身の蔵下穂波、60歳になったウエショーを平田満が演じている。

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Thursday, May 05, 2022

浪花節シェイクスピア『富美男と夕莉子』

【5月5日 記】 浪花節シェイクスピア『富美男と夕莉子』を観てきた。紀伊國屋ホール。Img_1164

タイトルから分かるように(分からんか?)『ロミオとジュリエット』のパロディ。場所が日本に、時代が昭和32年に変えられて、富美男が元・関西ジャニーズJr.の浜中文一、夕莉子が桜井日奈子。全編大阪弁のシェイクスピアである。

モンタギュー家は紋田木家、キャピュレット家は九羽平家という2つのヤクザの家に変えられている。

女性の一人客がとても多くて、最近の女の子たちはひとりで芝居を観に行くのか!我々の若い頃にはあまりそういう子はいなかったが、と思ったが、彼女たちはどうやら浜中のファンらしい。彼ももう34歳である。

対する桜井日奈子は大東建託の CM で名が売れ始めた頃には「岡山の奇跡」と言われ、僕もその当時から目をつけていたのだが、最近は少し露出が減っているような気もする。彼女は今25歳。

さて、この芝居、企画としては非常に面白いのだが、一番面白かったのはその題名と言って良い。中身はちょっと単調。何と言っても最初から最後まで役者が大声を張り上げすぎ。これは役者じゃなくて演出の責任かなと思う。

作・演出は惑星ピスタチオ出身の末満健一。劇団が解散した後は特定のメンバーを組まずに、公演ごとに役者を募ってプロデュースしているらしい。

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Tuesday, May 03, 2022

映画『ホリック xxxHOLiC』

【5月3日 記】 映画『ホリック xxxHOLiC』を観てきた。大ヒットしたコミックスの映画化。

パンフレットを買う直前に、この題名 xxxHOLiC は何と読むのかが分からなくて、(読めないと店頭で題名が言えないので)スマホで調べてみたら単に「ホリック」で良かった(よく見たら入場券にも書いてあったw)。

が、パンフレットは売り切れだった。なるほど、SixTones の松村北斗のせいか。

蜷川実花は僕とは相性が悪い監督のひとりで、こんなことを書くと監督のファンは怒るかもしれないが、僕にとって彼女は単に画が綺麗なだけの監督というイメージが強い。

とにかく初めて観た(そして、蜷川実花にとっても処女作の)『さくらん』が、画はものすごく綺麗なのだけれど、あまりのつまらなさに(僕はあまりそういうことはないのだが)途中で観るのをやめてしまったほどだから…。

中には『ヘルタースケルター』みたいな、僕も非常に気に入った作品もあるにはあったが、どうも最初の印象が強烈すぎて、やっぱり観るのを躊躇してしまう。この映画も相当迷った上で一大決心をして観に行った感じだ(笑)。

さて、これまでの蜷川映画の例に違わず、非常に絢爛な衣装とセットに加えて、今回は CG/VFX がてんこ盛りである。それだけに画はいつもにまして綺麗だった。

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『新世代のビジネスはスマホの中から生まれる』天野彬(書評)

【5月2日 記】 電通メディアイノベーションラボ主催の「情報メディア白書セミナー」を受講したときの付録。いや、実際にはセミナー当日は発売前だったので、後日送られてきた本。

僕と天野さんは twitter で長年相互フォロー関係にあって、直接会ったことも何回かある。

本が届いてまずその厚さに驚いた。2cm5mm くらいある。ぎっしり活字が詰まった状態で 380ページぐらい。随分頑張って書いたなあ、と思った。

この大著を前にして、読み終わるまでに一体どれくらいの時間がかかるんだろうと不安になったが、幸いにして大事なところは全部青字で書いてある。青字の部分だけ読めば良いとは言わないが、青字に意識を集めながら読み進むと結構スピードは上げられる。

で、少し読み進んで2度びっくり。確かに天野さんは電通の社員と言うよりも学究肌の研究者という感じがあったが、この本は本格的な学術書ではないか! 大学の講義の教科書として使えそうな、網羅的で、かつ深掘りした内容。

メディア関係の古典や名著、有名な理論/定説などには全て当たった上で、統計調査やインタビューを重ね、独自の分析を加えてまとめ上げてある。

そうか、彼はずっとこういう俯瞰図を書きたかったんだろうな、きっと。

これまでにも、「『ググる』から『タグる』へ」、「消える、盛る、ライブ」など、キャッチーなまとめ方が巧い人だったが、ここでも彼らしい洞察による分類やネーミングを、これまでに発表されているマーケティング理論と絡めながら展開してある。

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Monday, May 02, 2022

『異端の純愛』オンライン試写会 追記

【5月2日 追記】映画『異端の純愛』のオンライン試写会について、twitter で呟いた。

ご存じの通り、twitter は 140字なので、2回呟いたとは言え、ここに書いているほどの分量はない。それでも、ここに書いているのとエッセンスは同じである。

すると、出演者の何人かにリツイートや「いいね」されたあとに、井口昇監督から2通のリプをもらった。その全文を以下に追記しておく:

ご無沙汰しております! ご支援ならびに「異端の純愛」を観て頂いて本当に有り難うございます! しかも僕の想っていた通りの事柄を汲み取って頂いて本当に感謝しております! なにが正常や常識で、異常な状況がどれなのかが分からなくなった今こそ純粋さや愛について描きたくなって撮りました。

自分が映画に救われたように、この世に生きづらい人が本作を癒しに感じて貰えたら嬉しいです。今後とも宜しくお願いします。

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Sunday, May 01, 2022

【note】 上映が開始になる

【5月1日 記】 note に文章をアップしました。以前 ALiS に投稿した記事に、ほんの少しだけ筆を入れたものです。

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