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Saturday, April 09, 2022

映画『今はちょっと、ついてないだけ』

【4月9日 記】 映画『今はちょっと、ついてないだけ』を観てきた。

いろんな要素を盛り込みすぎて、しかも時間が頻繁に前後するので、ちょっと分かりにくくなっている部分もあるが、まあ、良い話である。

そう、辛い境遇にあっても、「今はちょっとついてないだけ」と思うことができたら、なんとか生きて行ける──。

これはそんな、今はちょっとついてないだけの4人が少しずつ再生して行く物語である。

写真家の立花浩樹(玉山鉄二)は若い頃世界の秘境を旅するテレビのレギュラー番組でそれこそ一世を風靡したのだが、何があったのか今は表舞台から姿を消してひっそりと生きている。

テレビマンの宮川(音尾琢真)は人気バラエティの担当として活躍していたが、ある日風向きが変わって露骨な左遷を受け、やがて辞めてしまう。辞めてしまったため家族との関係も壊れ、家を出ることになってしまう。

美容部員の寛子(深川麻衣)は人とのつきあいが下手で、仕事でも壁に当たって悩んでいた。

この3人が、たまたま前から寛子が住んでいたシェアハウスで同居することになって、そこからドラマがスムーズに転がり始めるのだが、それまでの3人の境遇を描いた序盤がやや複雑で、ややわざとらしく、ちょっともたもたする感はある。

大仰な劇伴が鳴りっぱなしだったのも、僕としては気に入らなかった。

でも、3人が出会ってからは割合良い感じの映画になったと思う。

やがてその3人に落ちぶれ芸人の会田建(団長安田)が加わって、彼らは4人のチームとなる。カメラマンとして昔の感覚を取り戻した立花を中心に、寛子はメイクで、宮川は元テレビマンの経験で立花を支える。

この映画は地方都市の振興策として千葉県茂原市、長野県千曲市、愛知県幸田町、長崎県島原市と提携しており、この4箇所でロケを行っている。

そのため落語の三題噺みたいな後付けでやや無理やりなところがあって、その結果映画も長いものになってしまった感はあるが、しかし、これらのロケはいずれも大変美しい画になっている。

そして、主演の4人は、動の音尾琢真と団長安田、静の玉山鉄二と深川麻衣の組合せと対比が絶妙のバランスを生んでいる。その4人に加えて、立花の母役のかとうかず子や、立花の出演番組の元プロデューサー役の高橋和也も非常に良かった。

特に高橋和也の役は劇中唯一の悪人キャラと言えるのだが、物事には別の見方があるということを教えてくれる非常に重要な役柄で、このキャラがドラマをぎゅっと締めたような印象があった。これは伊吹有喜の原作通りなのだろうか?

脚本・監督・編集を務めたのは柴山健次。全然知らない人だったけれど、大阪芸大出身の人らしい。カメラワークも非常に頑張っていた。後味の良い映画になったと思う。

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