« February 2022 | Main | April 2022 »

Wednesday, March 30, 2022

耳が良い女優──川栄李奈

【3月30日 記】 僕が NHK の朝の連続テレビ小説を毎日見ていたのは宮﨑あおい主演の 2006年『純情きらり』が最後だが、最近時々『カムカムエヴリバディ』を観る。と言うか、テレビをつけたときにたまたまやっていたらチャンネルを変えずにそのまま観てしまう。

最初は全く観る気がなかったのだが、三部作の最後「ひなた編」になってからチャンネルが止まるようになった。それは川栄李奈が出ているからだ。

前にも書いたが、AKB48 に全く興味がなかった僕が漸く彼女の名前を知ったのは 2014年の握手会傷害事件だった。記事を読んで気丈な娘だなと思った。やまえーさんとしてはそれ以来かわえーさんのことがなんだか気がかりになったのだ。

役者として彼女の魅力をはっきり意識したのは 2017年の『亜人』だった。それ以来ずっと好きな女優である。とりわけ『センセイ君主』での主人公・浜辺美波の友だち役があまりに魅力的で印象深い。

Continue reading "耳が良い女優──川栄李奈"

| | Comments (1)

Saturday, March 26, 2022

『DISCOVER JAPAN DX』鈴木雅之

【3月26日 記】 twitter で長年相互フォロー関係にある女性(本名も年齢も知りませんが、多分僕より少し年少)が買ったというのにつられて買ってしまいました。いや、買って良かったです(笑)

鈴木雅之はこれまでに『DISCOVER JAPAN』というタイトルで3作のカバー・アルバムを発表していますが、今回タイトルに「DX」をつけて出したこのアルバムには、その3作から厳選された曲を2枚の CD に、残りの1枚には新録音/リミックスを収めた3枚組です。

この人の場合はもうアレンジがどうとか曲の解釈がどうとかいうことじゃなくなってしまうんですよね。何と言ってもあの声! あの声が全てです。

どんなアレンジで何を歌っても、全部が全部鈴木雅之になってしまうのです。そして、そこには誰にも真似できない魅力があります。

と言っても、このアルバムのアレンジがつまらないということではありません。過去作は全て服部隆之の編曲です。正統で本格的なオーケストレーションです。新録音盤のほうも井上鑑、本間昭光、武部聡志ら錚々たるメンバーが編曲を担当しています。

16ビートのフュージョン風のアレンジから、8ビートのフォーク・ロック的なアプローチ、お洒落な4ビート・ジャズからしっとりとしたスローバラードまで、全くスキがありません。そのオーソドックスさに飽き足らない向きも多少あるかもしれませんが、いや、良いのです。鈴木雅之の場合はこれで。

Continue reading "『DISCOVER JAPAN DX』鈴木雅之"

| | Comments (0)

Friday, March 25, 2022

『こわい本 ─異形2─』楳図かずお(書評)

【3月25日 記】 一昨日、東京シティビューに「楳図かずお大美術展」を観に行ったのである。そしたら、子供のときに読んで一番怖かった『半魚人』と『ひびわれ人間』関連の展示が何もなくてとても残念だったのである。

それで、会場を出る前に出口の側にある売店に寄ったらこの『こわい本』シリーズが何冊か置いてあって、その「8」を手に取ったら、なんと冒頭に『半魚人』、その次に『ひびわれ人間』が載っているではないか!

飛びつくようにして買って帰ったのがこの本だ。

さて、当日の夜、寝る前にベッドで読んでみると、昔ほど怖くないのである。

それはひとつには僕が大人になったということなんだろうとは思うのだが、それだけではないような気もする。世の中も変わってきているが、漫画の構造も変わってきているのである。

この本に収められている漫画は、それぞれに幾分「大きい/小さい」はあるが、マスがほぼ碁盤の目に近い形で並んでいる。

今の漫画はそんなことはない。まるで漫画の用紙を破ったみたいに突然巨大なマスが出てきたりする。しかも、それが周りのマスを跳ね飛ばすみたいに斜めになっていたり、あるいは人物がそのマスからはみ出したり飛び出したりすることもある。

そういう構造に慣れていると、この漫画のマスの端正な並びには少し刺激が足りない気もするのだ。

Continue reading "『こわい本 ─異形2─』楳図かずお(書評)"

| | Comments (0)

Wednesday, March 23, 2022

楳図かずお大美術展

【3月23日 記】 会社を休んで夫婦で楳図かずお大美術展(於:東京シティビュー、3/25まで)を観に行ってきた。2_20220323213501

前半はほとんど写真撮影OKだったので、珍しくいくつか写真もアップしてみる。

楳図かずおという漫画家は、人間や化け物の表情がとても怖くて、そこに焦点が当たることが多い恐怖漫画家だが、それ以外にも風の描写がとても独創的で怖い。

そして、今回この大美術展を観て改めて痛感したのは構図の凄さである。

圧倒的な構図。そう、圧倒的に怖い構図。

たくさんの絵を見て回ると、何故この範囲を、この角度で、この距離から描いているのかが如実に解る。それが怖い構図だからなのだ。3

Continue reading "楳図かずお大美術展"

| | Comments (0)

Tuesday, March 22, 2022

【note】 「テレビ離れ」という厄介な発想

【3月22日 埋】 これまでにも何度か投稿してきた境治さん主宰の Media Border に久しぶりに投稿した。そして、いつもそうしているのだが、Media Border は有料サイト( note にも有料コンテンツとして展開している)なので、少し遠慮して少し期間を開けてから自分の note にも転載している。

その記事を、今回始めてこのブログにも再転載(と言うかエンベディングだが)してみる:

| | Comments (0)

Monday, March 21, 2022

facebook に何を書くか

【3月21日 記】 facebook に何を書いているかは人によってかなり違う。

もっぱらどこへ行ったとか、何を食ったとか、あるいは子供が卒業したみたいなことを書いている人もいる。

僕はそういうことは書かない(もっとも子供はいないのでそういうことは書けないのだが)と決めているわけでは決してないのだが、ま、結果として滅多に書いていない。

僕は自分が感じたこと、思ったこと、考えたことを書いているケースが多い。

そうするとありがたいのは「思い出」の機能である。

Continue reading "facebook に何を書くか"

| | Comments (0)

Saturday, March 19, 2022

映画『猫は逃げた』

【3月19日 記】 映画『猫は逃げた』を観てきた。『愛なのに』の記事にも書いたように、城定秀夫と今泉力哉のコラボ企画"L/R15"の第2弾である。で、今回は前回と逆で、脚本が基本的に城定秀夫、監督が今泉力哉。Photo_20220319171301

両作に直接の繋がりはないが、共通の登場人物はいる。

『愛なのに』で主人公の瀬戸康史の大学の同級生・町田広重だった毎熊克哉(『猫は逃げた』でも同じ役名)と、瀬戸康史の古本屋の前を歩く猫(前作では名前なし、今作ではカンタ)である。

猫のほうは芸名をオセロと言うベテラン俳優で、最近では CX『ミステリと言う勿れ』第5話、6話で放火犯の井原香音人(早乙女太一)の飼い猫の役を演じている。

今作もパンフレットには2人の監督のインタビューが載っていて、読むと大変面白い。

城定は今作の脚本を今泉力哉に「寄せた」と言っている。なるほど確かに、城定秀夫という人はそういう器用な人なんだろうなと思う。城定はこう言っている:

僕はそんなに決まった作風みたいのがなくて、今泉さんはもう今泉ワールドがはっきりあるんで

うーん、確かにそんな感じ。

で、じゃあ、この映画はそんなに今泉ワールドかと言うと、いつもほどではないと僕は感じた。やっぱり、良い意味でも悪い意味でも、城定秀夫が今泉力哉に寄せて書いた本なのである。

Continue reading "映画『猫は逃げた』"

| | Comments (0)

Friday, March 18, 2022

iPhone 買い替え記

【3月18日 記】 ところで iPhone が割れたと書いた。で、翌日に買いに行った。

「iPhone13 を買いたい」と言うと、店員に「iPhone SE じゃなくて?」と問い返された。そう、非常に評判が良い iPhone SE が発売されたばかりのタイミングだったから。

確かに記事を読むとかなり良さそうだ。しかし、僕はもうホームボタンのある機種には戻りたくないのだ。その一点だけが引っかかって iPhone13 に決めていた。

家に帰って、乗り換え作業。「クイックスタート」というのができてものすごく楽になった。買いに行く直前に当然 iTunes にバックアップは取ってあったが、こっちのほうが楽だ。

ただ、Wi-Fi に接続する前にかなりのダウンロードをして、しかも Wi-Fi に接続できるようになった後しばらく接続するのを忘れてモバイルデータ通信でやってしまったので、かなりの所謂「ギガ」を喰ってしまった。

そもそも使える「ギガ」が少ないプランにしているので、今月の電話代はそれを超過してしまった。まあ、仕方がない。

Continue reading "iPhone 買い替え記"

| | Comments (0)

Thursday, March 17, 2022

血圧記

【3月17日 記】 「あなたぐらいの年齢になったら、血圧計を買って毎日測りなさい」と言われて血圧計を買ったのはいつだったか。それ以来、原則として毎日測っている。

で、測ってみると、血圧ってこんなに変動しているのかと驚いた──というようなことは、ここにも以前書いたような気がする。

激しい運動をした後とか入浴後とかに上がるのは容易に想像がつくが、ちょっと歩いてどこかに移動した直後とか、ちょっと不安なことがあるみたいなことでも覿面に上がる。

所謂、白衣性高血圧症と言うやつで、白衣を着た医者に測られると、自分で測ったときより遥かに高い値が出たりもする。

良性発作性頭位めまい症で救急搬送されたときには、救急隊員が測って口に出していた数値は、(具体的にどれくらいだったか忘れてしまったが)我ながら、へー、そんなに高血圧になっても死なないのかと逆に安心したくらいである。

一方で、家で測ってちょっと高めの値が出ても、深呼吸して測り直すと、一挙に 10mmHg や 20mmHg ぐらいは下がる。たまに下がらないこともあるが、もう一回測ったら一気に下がることも多い。

Continue reading "血圧記"

| | Comments (0)

Wednesday, March 16, 2022

【note】 猫から熊まで

【3月16日 埋】 こないだ書いたやつを埋めておきます:

| | Comments (0)

Monday, March 14, 2022

Play Log File on my Walkman #147

【3月14日 記】 ほぼ4ヶ月ぶりのプレイログ披露。今日も5曲。

  1. オトノナルホウヘ→(Goose house)
  2. 乙女座宮(山口百恵)
  3. 乙女のワルツ(藤田恵美)
  4. 乙女のワルツ(伊藤咲子)
  5. おどるポンポコリン(B.B.クイーンズ)

Continue reading "Play Log File on my Walkman #147"

| | Comments (0)

Sunday, March 13, 2022

iPhone が割れた

【3月13日 記】 iPhone を使い始めてから 4483日目にして初めて、iPhone をアスファルトの道路に落として画面のガラスが割れるという悲劇を経験した。

今までにも何度か手が滑って落としたことはあるが、ディスプレイのガラスが割れたことはなかった。傷がつくことさえほとんどなかった。

考えてみれば、外の、アスファルトの道路に落とすという経験は今回が初めてかもしれない。手が滑って一旦手の高さより少し宙に浮いてから地面に落ちたのは初めてかもしれない。画面全体がバシャンッと地面に衝突したのは初めてかもしれない。

とにかく割れた。

結構ひどい。これは明日新しいのに買い換えるしかないと直感的に思った。

一緒に歩いていた妻に「このまま新しいのを買いに行く?」と言われたが、まずはどの程度動くのかを確かめてしっかりバックアップを取った上で、買いに行くのはその後だと思ったので、今日は用事を済ませてまっすぐに帰宅した。

Continue reading "iPhone が割れた"

| | Comments (0)

Saturday, March 12, 2022

映画『ウェディング・ハイ』

【3月12日 記】 映画『ウェディング・ハイ』を観てきた。大九明子監督。今回はバカリズムの脚本が先行していて第6稿から参加したとのこと。もちろん彼女自身がバカリズムのファンであり、彼を大天才と慕っているからこそ、後乗りで参加したのである。

自分自身のであればまだしも、他人の結婚披露宴を自分の一世一代の晴れ舞台と勘違いしてハイになりすぎた困った人たち(しかも新郎新婦の父親たちまでも!)の群像劇。言うまでもないがコメディである。

料金の安い昼間の披露宴を選んだために、その後にもう1件別の宴会が入っていて所謂ケツカッチンなのに、冒頭のスピーチから大延びに延びて、その後の出し物が収まるはずがない状態になるというドタバタ。

笑いに持ち込むまでの段取りがやや長いので、前半はちょっと中だるみ感もあるが、最後にはドッカン、ドッカン笑わせてくれる。

観ている途中で「あ、あのシーンはこれの伏線だったのか!」と気づくところが何箇所もあり、そういう意味でよく練られた脚本である。

Continue reading "映画『ウェディング・ハイ』"

| | Comments (0)

Friday, March 11, 2022

note: エンタメ小説家の失敗学

【3月11日 記】 前に書いた「ロマンポルノ無能助監督日記」(金子修介監督)以来久しぶりに note の連載記事をフォローして読んでいる。

それは「エンタメ小説家の失敗学 by平山瑞穂」である。

僕がこの作家を初めて読んだのは『有村ちさとによると世界は』だった(と言うか、全部で3冊しか読んでいないのだが)。

このタイトルを見て、ピンと来る人は来ると思うのだが、これはジョン・アーヴィングの『ガープの世界』を踏まえたタイトルである。ご存じない方のために書いておくと、『ガープの世界』の原題は The World According to Garp なのである。

そして、作中には In the world according to Garp, というフレーズが何度か出てくる。

そこまで知っていると、この平山瑞穂という作家が、少なくとも『ガープの世界』が好きなんだろうなということは容易に想像がつく。

それで僕はこの『有村ちさと』に飛びついて読んだ。とても面白かった。それで、てっきりこの人は純文学系の作家だと思っていたのだが、その後2冊を読んでみたら、どうもそうではない。

あれっ?と思って調べると、この人のデビューは2004年に第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『ラス・マンチャス通信』という小説だったのだ。僕はその辺のことを全く知らずに、その系譜からはちょっと外れた『有村ちさとによると世界は』を読んで、大いなる感銘を受けたというわけだ。

Continue reading "note: エンタメ小説家の失敗学"

| | Comments (0)

Thursday, March 10, 2022

【note】 CDラックは語る

【3月10日 埋】 こちらに貼るのを忘れておりました。

先日 note に、以前書いた『本棚が語れることの限界』の続編みたいなものを書きました。例によってこっちにも埋めておきます。

| | Comments (0)

Sunday, March 06, 2022

映画『ウェスト・サイド・ストーリー』

【3月6日 記】 映画『ウェスト・サイド・ストーリー』を観てきた。

僕は『未知との遭遇』を、当時住んでいた大阪府豊中市内の映画館で初めて観たときのショックがいまだに忘れられない。

映画が良かったとか感動したとかいうレベルを遥かに通り越して、「自分と僅か10歳ぐらいしか違わない青年監督になんでこんなにすごいものが撮れるんだろう」という悔しさと敗北感に打ちひしがれて、阪急宝塚線の線路沿いの道をとぼとぼ歩いたことを今でも鮮明に思い出す。

そのスティーブン・スピルバーグが、あの時誰にも思いつかないようなぶっちぎりに独創的なフィルムを作ったスピルバーグが、今作りたいのはリメイクなのかい!?という思いが僕には強くあった。

それが老境に達した監督の心境なのかもしれないし、年齢から考えると恐らくスピルバーグは少年期に映画『ウェストサイド物語』を観て感銘を受けたのだろうと思うし、恐らくブロードウェイでミュージカルも観ているだろう。以来ずっとこの作品を撮りたいという思いがあったのかもしれない。

でも、僕はスピルバーグがこんな有名な作品のリメイクをしたということに少し失望して、観に行くかどうかを少し躊躇したぐらいだった。

◇ ◇ ◇

Continue reading "映画『ウェスト・サイド・ストーリー』"

| | Comments (0)

Saturday, March 05, 2022

映画『余命10年』

【3月5日 記】 映画『余命10年』を観てきた。

僕は難病ものが苦手で、あまり観ない。

加えて、この映画の監督・藤井道人はどういうわけかずっと全く観る気が起こらない監督である。一度も観たことがないので、どこが悪いとかどこが嫌いだとか言うつもりはないし、言えるはずもないのだが、でも、とにかく観る気が起こらない。

なのに今回観たのは脚本が岡田惠和(と渡邉真子)だったからと、奈緒が出ていたからだ。

奈緒は最近僕が特に入れあげている女優である。僕が彼女を認識したのはかなり遅く、一昨年のカンテレ発のドラマ『姉ちゃんの恋人』だったのだが、その時の脚本家が岡田惠和だった。だから、この映画にも、大げさに言うと何か因縁めいたものを感じて観に行った。

しかし、それにしても、余命10年と言うのはむしろファンタジーにさえ聞こえる。どんな医者にもそんなに長い余命を正確に診たてられるはずがなく、実際には 7年だったり 15年だったりするのではないだろうか?

そう思って観ていたら、映画の初めのほうで、茉莉(マリではなくてマツリ、小松菜奈)が自分で自分の病気のことを勉強して書き取ったと思われるノートのアップに、「10年生存率は極めて低い」などと書かれていて、なるほどそういう意味かと納得はしたが、一方でそれを余命10年と言い切ってしまうのも如何なものかという気がしないでもない(それが茉莉の悲痛な感慨なのだろうけれど)。

というわけで、これはそういうドラマだ。「余命10年」の茉莉が郷里の中学の同窓会で和人(坂口健太郎)と会う。その時はほとんど憶えてもいなかったのだが、その後いろいろあって、自殺未遂をした和人の入院先で彼と再会する。

和人はすぐに茉莉に惹かれるのだが、この男、不器用と言うか、自分をうまく伝えられないと言うか、煮え切らない感じの男でちゃんと告白ができない。一方、茉莉のほうは自分の余命を考えて恋なんかしないと心を閉ざしているので、和人を冷たくあしらう。

その態度を見て、和人はますます悩む。

ドラマは暫くそういう構造で進む。

Continue reading "映画『余命10年』"

| | Comments (0)

Wednesday, March 02, 2022

『大河への道』マスコミ試写会

【3月2日 記】 映画『大河への道』のマスコミ試写会に行ってきた。Photo_20220302214201

伊能忠敬を題材にした立川志の輔の新作落語が原作ということで、基本的に会話劇のコメディなのだが、ピクトリアル的にも随所に見せ場がある。

伊能忠敬が海岸線を歩いて測量する実態はそれほどつぶさに描かれるわけではないのだが、最後に来て完成した日本全土地図の豪華絢爛な見せ方などは却々見事だった。

そして、最初のほうのシーンでもカメラワークに驚かされた。

多分千葉のどこかの海岸で、千葉県香取市役所総務課の池本(中井貴一)が脚本家の加藤(橋爪功)に薀蓄を垂れていたら加藤がぷいっとフレームアウトして、気がついた池本が加藤を追い始めたところでカメラがスーッと引いたかと思ったらどんどん上空に上がってすごいロングの画になったのだ。

海岸線と波頭がものすごくきれいに描かれて、大げさかもしれないがちょっと度肝を抜かれた。プレスリリースに撮影監督の名前が書いていない(プロデューサー名もない)のだが、確か柴主高秀だったと思う(見間違えていたらゴメンナサイ)。

さて、映画の冒頭は、松竹の富士山が終わると蝋燭を照明とする薄暗い和室。どう見ても現代ではない。そこに顔に布を被されて横たわる遺体と、それを取り囲む何人かの人たち。

──映画館を間違えて入った人ででもない限り、これが伊能忠敬臨終のシーンだという察しはつくだろう。するとそこで「先生にはもう少し生きていてもらいましょう」と何やら面妖な声が聞こえる。

場面は変わって現代。当地出身の伊能忠敬を郷土の自慢に思っている池本は、伊能忠敬が一度も NHK大河ドラマで描かれないことに不満を持っていて、香取市の観光振興のために NHK に掛け合おうという提案をするが、同僚たちは冷たい。

しかし、そこに千葉県知事から伊能忠敬を大河ドラマにする働きかけをしてほしいとの要請が来て事態は一変し、役所を挙げての運動となる。そして知事直々の指名で脚本は加藤に依頼することになるが、彼はもう20年以上何も書いていないし、この話にも乗り気ではない。

Continue reading "『大河への道』マスコミ試写会"

| | Comments (0)

Tuesday, March 01, 2022

映画『愛なのに』追記

【2月27日 追記】 映画『愛なのに』はその半分近くが古本屋が舞台なので、そこに置いてある古書を用いた遊びがある。

ひとつは、いつまでも一花(さとうほなみ)のことが忘れられない多田(瀬戸康史)が読んでるのがレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』。

内容は関係なく、ただタイトルだけの言葉遊びだけれど、振られたのに、いつまで経ってもお別れができない多田への皮肉。

ちなみに、村上春樹訳ではなく(あれはタイトルが『ロング・グッドバイ』だし)、昔の清水俊二訳のほうね。ちなみに僕は両方読んでるけど。

Continue reading "映画『愛なのに』追記"

| | Comments (0)

« February 2022 | Main | April 2022 »