映画『愛なのに』
【2月27日 記】 映画『愛なのに』を観てきた。城定秀夫監督、今泉力哉脚本。
今泉力哉監督の『街の上で』を観た人なら記憶に残っているかもしれないが、あの映画で中田青渚が演じた衣装スタッフの役名が「城定イハ」で、彼女が自分の名前の漢字を説明するときに「映画監督の城定秀夫」を引き合いに出していた。
僕はあれを見て、「ははぁ、今泉力哉は城定秀夫のファンなのか。ひょっとしたらこれは今泉力哉から城定秀夫へのラブ・コールなのかもしれないな」と思った。
同じ年に公開された今泉監督作品『あの頃。』では脚本が冨永昌敬で、この組合せもすごいなと思って、映画を観たら実際面白くて、僕は twitter に「今度は今泉脚本、冨永演出の映画を観たい」と書いたりしたのだが、そうこうしていると耳に入ってきたのが今回の L/R15企画である。
今泉監督と城定監督のコラボレーションとして、この『愛なのに』と『猫は逃げた』の制作が発表され、前者は今泉が脚本を書いて城定が演出、後者は城定が脚本を書いて今泉が演出と聞いて驚いたのだった。
僕は『愛がなんだ』で完全にノックアウトを食らって、それ以降の今泉作品は全部観ているし、それより前の作品も何本か遡って観た。
一方、城定秀夫については『アルプススタンドのはしの方』が初めてで、それまで名前も知らなかった。あの映画は原作となった高校生の戯曲のほうにスポットが当たって、監督については「それを料理した手練れ」みたいなトーンで軽く触れられただけで、それほど注目もされなかったように思う。
でも、あの映画のテーストと今泉力哉のテーストは合っているなと思った。
その後、佐藤二朗原作・監督・脚本・出演の『はるヲうるひと』を観て、エンドロールに「脚本協力 城定秀夫」の名前を発見し、その「協力」の内容や度合いは分からないが、世間で言われているように、確かにこの人は幅が広くて多才な人なのだと僕は直感した。
僕は観ていないが、城定秀夫は首藤凛の脚本による『欲しがり奈々ちゃん~ひとくち、ちょうだい~』も撮っている。
さて、前置きが長くなったが、この『愛なのに』はそういう風に他の監督や脚本家と精力的に組んでいる2人の監督の夢の合作第一弾なのである。
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